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大澤寛のタンゴ訳詞集

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    「Madre」1922
    Letra : Verminio Servetto (1885-1947)
    Música : Francisco Pracánico (1898-1971)

    Yo viví, desorientado,                 道に迷って生きた俺
    yo soñé no sé qué mundo,              どんな世界を夢見たのか
    yo me hundí en el mar profundo          深い海に俺は沈んだ
    con delirante afán de loca juventud.       狂った若さの 眼の眩むような憧れを連れて

    Me atraían los placeres,                俺は魅せられたのだ 快楽に
    un abismo las mujeres.                 地獄の女たちに
    Ya sin madre ni deberes                もう母は亡く 仕事も無い
    sin amor ni gratitud.                   愛も無く 感謝の気持ちも無い

    Madre…                            母さん、、、
    Las tristezas me abatían                 悲しみに打ちのめされて
    y lloraba sin tu amor.                   あなたの愛が欲しくて 俺は泣いたものだ
    Cuando en la noche me hundía            夜が来て 深い苦しみに
    de mi profundo dolor.                   身を沈める時

    Madre…                            母さん、、、
    No hay cariño más sublime               あなたが俺にくれた愛ほどの
    ni más santo para mí;                   気高く浄らかな愛はない
    los desengaños redimen                  迷いから覚めて
    y a los recuerdos del alma volví.            俺は心が呉れる想い出に帰った

    Yo maté mis ilusiones,                   俺は夢を殺した
    yo amargué mi propia vida,               人生そのものが苦いものになった
    yo sentí en el alma herida                 俺は 傷ついた心に
    el dardo del dolor que el vicio me dejó.         悪習(あく)が俺に投げつけた痛みの槍を感じた
    Desde entonces penas lloro                 その時から 俺は罪に泣いて
    y sólo el cariño imploro                    ひたすら希(こいねが)うのだ あの愛を
    de mi madre a quien adoro                 俺が今も恋い慕う母の
    y mis desvíos sintió.                      俺が道に迷ったのを嘆いた母の

    邦訳:大澤 寛

    匿名
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    「Madreselva」(スイカズラ)
    Letra : Luis César Amadori (1902-77)
    Música : Francisco Canaro (1888-1964)

    下町の古い壁よ お前の影は
    私の 目立たない子供の頃の
    仲間だったわ
    お前をつたうスイカズラが
    私の友達だったの
    私の初めての恋が
    希望を連れて 震えながら
    私の心に唇付けたとき
    私はお前の傍で
    清く幸せで こんな風に
    私の初めての告白を
    歌にしたものだった

    私が生まれるのを見ていた
    花ざかりのスイカズラよ
    古い壁をつたって
    お前は私の恋を見破った
    お前が控えめに撫でてくれるのは
    私があの人に抱いた
    初めての優しい愛に似ている
    壁を伝って伸びて行く
    花ざかりのスイカズラよ
    お前にしっかりと優しく抱かれるのは
    あの昔と同じようね
    お前が毎年新しい花をつけるのなら
    私の初恋が壊れないようにしてよ

    何年もの時が過ぎて 
    私の壊れた夢も昔のこと
    お前にこんな話をしに来たの
    私の古い壁よ

    こんな風に 私は学んだの
    上手く生きるのには 嘘が要ることを
    愛も信仰も 嘘なことを
    悩んでも人に笑われることを
    今では 人生から罰を受けて
    人生の苦い掟を教えられたわ

    古い壁よ 想いをこめて
    私は お前に近寄って
    お前に話をするの
    昔のように

    邦訳:大澤 寛

    匿名
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    「Maipo」(マイポ)
    Letra : Gabriel Clausi (1911-2010)       
    Música : Eduardo Arolas (1892-1924)                          

    俺のところに帰って来いよ 古い思い出よ
    光の輝きを連れて
    旧いシャンデリアの
    いつも変わらぬ煌きは星のようだ
    もう一度 夜が来たら 震わせてくれよ
    あの愛の夢を 昔の歌を
    遠い昔のこの舞台で跳ね回る影を

    俺の夢の ガラス張りの屋根
    限りない色の輝き 彫像のような姿
    もう忘れられた名前
    時は過ぎ 想い出に混じる苦しみ
    あれほどの愛に包まれて残る
    過ぎた事どもの味わい

    昔のマイポ劇場*は見ていた
    優しさに満ちたあの日々の光の下で
    俺たちがうっとりと愛の夢を見るのを
    心の底から 夢の全てと
    この言葉と この悲しいタンゴで
    お前に語りたい 俺が心に秘めていた
    俺が生きたように 興奮に満ちた
    あの俺の町の劇場のことを

    *小さな町に映画館があった時代の “我が町の映画館・劇場” のひとつだろう。      
    この歌詞の語り手の初恋が生まれた場所だったかも知れない。

    邦訳:大澤 寛

    Volver a la escena : 返り咲きする・カムバックする
    Fulgol : 輝き ~de las estrellas
    Candileja : (カンテラなどの)油皿  (pl) (劇)フットライト
    candil = カンテラ、ランプ (ラ米)シャンデリア
    Corretear : (子供などが)駆けずり回る・遊び回る  
    (ラ米)追跡する、問い詰める、(アル)売り歩く、(チリ)急がせる
    Tablado : 舞台・ステージ
    Marquesina : (入り口・ホームなどの)ひさし、 張り出し屋根、 (駅などの)ガラス張りの屋根
    Escultural : 1.彫刻の arte escultural 2.彫像のような Ella tiene medidas esculturales
    Entrelazarse: 交錯させる・織り合わせる・組み合わせる
    Embeleso : 魅了・うっとりすること、 魔力・魅力的なもの
    embelesar = 魅了する・うっとりさせる

    匿名
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    「Mala suerte」(不運)1939
    Letra : Francisco Gorrindo (1908-63) Música : Francisco Lomuto (1893-1950)
    二人の愛は終わったのよ 冷たくお前は言った
    心の中で俺は思った 多分お前が正しいと
    そう思って俺は お前を独りにした 独りに お前の人生の主人に
    その間俺は努めて心を弄んでいたものだ
    そして強く目を閉じ 唇を強く噛みしめた
    お前を見ないように お前に話しかけないように さよならと叫ばないように
    そしてゆっくりと 町角のバーに向かった
    少し*呑んで酒に紛らせるために お前の愛だったかもしれないものを    *cuatro は“少しの”“僅かの”

    俺はお前に約束できなかった
    生き方を変えると
    俺は生まれつきならず者
    そのままで死ぬのだろう
    俺を呼んでいる 馬鹿騒ぎが
    カフェが 仲間たちが
    そしてミロンガ*があれば                          *このmilonga は踊りの場所
    行かずにはいられない
    お前には良く判るだろう 俺がどんな人間だったか
    お前には良く判るだろう 俺が何を考えて来たか
    俺の落ち着きの無さも
    俺の出歩き癖も
    運が悪いんだ 今日お前と別れるのは
    運が悪いんだ 独りになるのは
    何もかも俺が悪い
    変えるることが出来ないのだから

    判っている 俺の生き方は真っ当じゃないから
    人は愛したら 愛にのめり込むものだから
    そして俺は 金の鳥籠の中にいながら
    気ままに空を飛びたくて泣いている鳥*のようなものだから          *jiliguero は(鳥)ゴシキヒワ
    運が悪かったんだ だけど正直に言う
    俺はお前に感謝している お前は好い女だった
    何時の日か 人生が俺を厳しく責めるとき* *これは “死ぬ時” と訳しても良いだろう
    間違いなく俺はお前を思い出すぜ                                邦訳:大澤 寛

    匿名
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    “Malena”(1942) Letra :Homero Manzi Música :Lucio Demare
    注:各節 (estrofa) の番号は便宜上訳者がつけたもの 邦訳:大澤 寛

    1. マレナは唄う 心をこめて        
    真似の出来ないタンゴを唄う   
    マレナの声にはyuyoの香り       
    バンドネオンの悲しみ抱いて       
    マレナの声に染まるのは          
    遠い子供のあの頃の           
    露地の暗さの色合いか           
    それとも呑んでふと洩らす        
    昔の恋の切なさか
    暗い声してタンゴを唄う          
    バンドネオンの悲しみ抱いて

    2. お前の唄に籠もるのは
    別れたあの日の冷たさか
    お前の唄に残るのは
    思い出すほど苦い味
    お前の声にあるものが
    悲しみに咲く花なのか
    私に判る筈も無い
    ひとつ私に判るのは
    お前のタンゴのつぶやきに
    滲み出て来るひとの良さ

    忘れたいよな暗い目と
    閉じた唇(くち)には恨みが残る
    お前の両手は凍える鳩か
    バンドネオンの血を受けて
    街の扉がみな閉じられて
      唄の木霊が叫ぶ頃
    露地のぬかるみ駆け抜ける
    捨てられたものたちのの唄なのか
    かすれた声でマレナは唄う

    Malena canta el tango como ninguna
    Y en cada verso pone su corazón.
    A yuyo del suburbio su voz perfuma,
    Malena tiene pena de bandoneón.
    Tel vez allá en la infancia su voz de alondra
    tomó ese tono oscuro de callejón
    o acaso aquel romance que sólo nombra
    cuando se pone triste con el alcohol,
    Malena canta el tango con voz de sombra,
    Malena tiene pena de bandoneón

    Tu canción
    tiene el el frío del último encuentro
    Tu canción
    se hace amarga en la sal del recuerdo.
    Yo no sé
    si tu voz es la flor de una pena,
    sólo sé que al rumor de tus tangos, Malena,
    te siento más buena,
    más buena que yo.

    Tus ojos son oscuros como el olvido,
    tus labios apretados como el rancor,
    tus manos dos palomas que sienten frío,
    tus venas tienen sangre de bandoneón.
    tus tangos son criaturas abandonadas
    que cruzan sobre el barro del callejón.
    cuando todas las puertas están cerradas
    y ladran los fantasmas de la canción.
    Malena canta el tango con voz quebrada,
    Malena tiene pena de bandoneón.

    匿名
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    「Malvón」(ゼラニウム)
    Letra : Francisco García Jiménez (1899-1983
    Música : Antonio Óscar Arona (1908- n/d)

    サン・テルモの小路が描く絵には
    ゼラニウム バルコニー そして太陽
    縁取りには 活き活きとして綺麗な少女
    そして 想い出の中の心地よい気候まで
    今ではゼラニウムは珍しく 飾り格子*の形も違う
    堅い壁の上には 空と太陽が見える
    ゼラニウムよ 私の心はもう私から離れ
    夢を蘇らせるのは 漂うおまえの香り
    *reja : 窓や扉の格子・鉄格子だが、単に泥棒よけではなく装飾的なものだった。現在では防犯のためにガラス瓶などを割って先端を尖らせたものを上部に埋め込んだりしているものが多い。
    私の小路よ 私の町よ
    他所の町に飽きて 私は戻ってくる
    元気なゼラニウムを懐かしんでいた 憂鬱なバラ
    大きな家が 私を取り囲んでいた
    そんな家に憧れていた
    玄関口*の影 葡萄棚のある中庭
    そして太陽の豊かな祝福
    私の小路よ 私の町よ
    私は お前が生んだ放蕩息子
    *zaguán : 家の玄関・玄関のホール   貧しい家・小屋またはそれらの入り口
    忘れた後*のゼラニウム バルコニー そして太陽が
    新しい光のように 明るくなった
    年月の重荷が 軽くなって消える
    幻滅も失望も 悪い夢だ
    ゼラニウムは夢の愛 飾り格子は夢の歌
    堅い壁は空と太陽の溢れる私の幼年時代
    ゼラニウムよ 片隅に咲くつつましい花よ
    漂うお前の香りの中に
    私は心を取り戻す
    *sobre el olvido : この sobre は“時間的に”後を示す sobre siesta 昼寝の後,sobre parto 産後
    邦訳:大澤 寛

    匿名
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    「Mañana zarpa un barco」(明日は船出)
    Letra : Homero Manzi (1907-51)     
    Lucio Demare (1906-74)
    (“明日は船出”というタイトルはこれもまた先人の名訳のひとつ)
    錨を下ろすと触れるのは いつも変わらぬあの岸辺
    港は呉れる海の歌
    そこで迎えてくれるのは 悲しい目をした女たち
    酒は何処でも同じ味
    だけどここでは心が弾む お前の住んでるこの港
    リアチュエロ
    バンドネオンの嘆きの音色 最後の一節まで踊ろうぜ
    明日は船が出るのさ 多分戻らない船が

    陸(おか)では人は上手に踊る 
    明日の夜明けにゃ発たねばならぬ
    夜は長いし さあお嬢(ねえ)ちゃん 
    どうして泣くんだ 判らんぜ
    お前が嘆(な)くのは見たくない
    港を離れて遠くに居ても
    俺はお前の名を呼ぶだろう
    海に思い出を語るだろう
    夜は長いし さあお嬢(ねえ)ちゃん 
    どうして泣くんだ 判らんぜ
    お前が嘆(な)くのは見たくない

    二月(ふたつき)の俺の心の船の旅
    二月をバンドネオンの音色に焦がれ
    タンゴは優しい港 そこに夢が錨をおろす
    タンゴの踊りのリズムの中で
    荒れる気持ちは揺られて休む
    夜になれば 海には夢見る月が出る
    俺は波の音に騙される このタンゴを踊ろうぜ
    思い出したくない
    明日は船が出ることを
    多分戻らない船が
    邦訳:大澤 寛

    匿名
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    「Mano a mano」 「五分と五分、貸し借り無し」
    Letra : Celedonio Estéban Flores (1896-1947)           
    Música : C.Gardel (1890-1935) + J.Razzano (1887-1960)

    悲しみに狂って いまお前を思い出している 判るよ 
    お前はいつでも 世間の除けもの*だった俺に いい女でいてくれた
    お前がいてくれるだけで 俺のねぐらを温めてくれた
    いつも変わらない いい女だった 判るよ 俺を愛してくれた
    他の誰も愛さなかったし これからも愛することはないだろう

    人生が都合よく回ったなあ 哀れな小娘だったお前は 
    貧しい家で 貧しさから逃れようと懸命だった
    今じゃお前は大金持ちで 人生はお前に頬笑み歌いかける
    間抜けな男の懐の金を じゃんじゃん遣いまくってる
    性悪な猫が 哀れな鼠をいたぶるように

    今じゃお前の頭の中は不幸な夢で一杯だ
    馬鹿な男たちにも 女友達にも あのヒモにも騙されて
    狂ったように誘いかける大金持ちたちのミロンガ
    そこでは野望が実現したり砕けたりして
    お前の哀れな心の奥に入りこんだ

    俺はお前に礼を言うことはない 俺とお前に貸し借りは無い
    お前がしたことも していることも これからすることも 俺には関係ない
    お前に何かして貰ったら それは払った筈だ
    知らずに何か小さな借りがあって 俺が忘れていたら 
    それはお前が持っているあの馬鹿の勘定に付けておけ

    お前の勝利が 哀れな束の間の勝利が
    冨と快楽の長い列である間は
    お前の金蔓の旦那がずっと金持ちでいる間は
    お前が遊び人たちとの付き合いをやめている間は
    そして男たちが“ありゃ好い女だ”という間は

    明日お前が ガタついて古びた家具になったとき
    そしてお前の哀れな心に希望がなくなったとき
    助けが要るなら 忠告が欲しいなら
    この俺を思い出せよ  お前を助けるためなら
    その時が来たら 生命を投げ出すつもりだから

    邦訳 :大澤 寛

    この邦訳は検閲の時代の前のオリジナル歌詞から訳したもの(「Las letras del tango」Antología Cronológica 1900-80 p.39を使用)。ルンファルドが多用されているため1943
    年に始まる検閲で変更を強いられた歌詞はオリジナルと較べると大きく変わっている。
    “検閲”については「Los mareados」の脚注参照。

    匿名
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    「María」(マリア)
    Letra : Cátulo Castillo (1906-75)     Música : Aníbal Troilo (1914-75)

    君の名前は 多分 ただマリアだけなのか
    君は 古い唄の木霊だったのか
    だけど ずっとずっと昔 心の奥では俺のものだった
    愛に眼の眩んだ 悲しい景色の中で

    苦しみに濡れながら 秋が君を連れて来た
    貧しげな小さい帽子をかぶり 栗色のコートを着た君を
    君は 町の憂鬱な気分そのものだった
    俺の心には雨が降っていた 降り続いていた 

    マリア
    俺の部屋の暗い隅に
    戻って来るのは 君の足音
    マリア
    そして君の細く哀しげな声
    “二人の間には もう何も無いわ”といった告げた
    あの日の 君の声
    マリア
    俺だけのものだった 遠くなったなあ
    いつか戻って来るだろうか
    別れの言葉の町を通って

    君の瞳は そこにはない港
    夢の地平 沈黙の花だった
    だけど 君の優しい手はここに来て
    俺の熱を 色褪せた愛を 癒してくれた

    秋が君を連れて来た 君の名前はマリアだった
    そして俺は 君の不幸の行方を何も知らずにいた
    君は憂鬱な景色のようだった
    暗い町には雨が降っていた 降り続いていた 

    邦訳:大澤 寛

    匿名
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    「Mariposita」(マリポシータ)
    Letra : Francisco García Jiménez (1899-1983)
    Música : Anselmo Aieta (1896-1964)

    バンドネオンは
    悲しく咽びながら
    鏡に浮かぶ夜は
    グラスとバーと過ぎた時代と
    俺の心は
    酔った加減で
    声を変えて ありふれた話の調子で
    俺の代わり映えしない悩みを語る

    マリポシータ
    俺の街に居た女の子
    俺はお前を探している
    盛り場を巡りながら 
    同じ過ちの十字架を背負って
    こんな苦労を続けながら
    探すのだけれど お前は居ない
    俺はお前を探している
    もしかしたら仲良く腕を組めるかも知れない
    お前は道を間違えたのだ
    揺れる絹のようなお前の愛のささやきが
    そして俺は
    騙されやすい世の中で 
    爛れるような夢の馬鹿騒ぎのなかで
    二人で昔に戻ろうぜ!
    腕を貸しなよ さあ行こう!

    お前にも俺にも判らんなあ
    どちらが負けたのか
    良い運でも悪い運でも
    何処で終わりの日を迎えたのか
    そしてまた始まったのか
    俺はまた呑むぜ
    今夜お前が尋ねて来るかもしれないから
    俺の心がお前を見ることになる
    だけど酒が要る 
    もっと もっと酒が
    邦訳:大澤 寛

    匿名
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    「Martirio」(受難)1940
    Letra y música : Enrique Santos Discépolo (1901-51)

    孤独だ
    信じられないほど孤独だ
    俺は お前を待つというドラマを生きている
    今日も
    明日も
    いつも同じことだ
    肉に噛みつく苦しみ
    叫び出させる傷
    お前を忘れられない恥
    俺には判る お前が来ないことは
    孤独だ
    恐ろしいほど孤独だ
    どうしてるんだろう 死んで行く人たちは
    悩む人たちは
    愛する人たちは
    俺はこうやって、、、無慈悲なお前のせいで

    判ることではない
    何故お前を愛するのか
    神は どんな罪で俺を罰するのか
    お前が お前であるという恐怖に
    お前だけだ
    ただ お前だけ
    この世でお前の他には誰も居ない
    俺が欲しいのは
    そして 笑いと嘲りの中で
    俺は俺の愛を引き摺って行くのだ
    お前を呼びながら


    呪われた情熱*の    *キリストの受難は大文字でPasión これに引っ掛けたタイトル (martirio = 受難) なのだろう
    人が別の世から運んで来て
    死ぬまでそれに悩む
    彷徨う愚か者の苦しみ
    刃から逃れようとする

    俺はのたうちまわる お前に受けた打撃から
    立ち直る術もなく
    孤独だ
    残酷なほどに孤独だ
    俺の心がお前の裏切りに向かって
    叫んでいる
    お前の不在という裏切りに
    今日も、、、明日も
    いつも同じことだ

    邦訳:大澤 寛

    匿名
    無効

    「Melodía de arrabal」(下町の歌)
    Letra : Alfredo le Pera + Mario Battistella                Música : Carlos Gardel

    月の明りに照らされて
    銀色をした場末の町よ
    踊りの噂も 宝物
    貧しきものの集いでは
    バンドネオンが呟いて
    花に見まがう美少女が
    静かに照らす街灯に
    科(しな)を作って待っている

    町よ  町よ
    震える心を持った町
    こころ優しい雀の心
    悲しいことや願い事
    やくざな場末のここかしこ
    全てが唄になるところ
    古い  町よ
    もしもお前を思い出し
    俺が涙を流しても
    許してくれるだろうなあ
    お前と一緒に酔いながら
    彷徨う俺が心から
    お前に捧げる
    長い唇付けなのだから

    お前はみんなの揺り籠だ
    伊達男たち歌い手たち
    そして喧嘩と小競り合い
    俺が愛するものたちの
    俺はナイフを取り出して
    お前の壁に彫りつけた
    愛する名前を彫りつけた
    ロサ ダンスホールの花だった
    マルゴー 金髪だったなあ
    そして あの可愛いリータ
    初めて誘ったその時に
    俺に愛をくれたんだ
    邦訳:大澤 寛

    Cortado/a : (l.p.) sin dinero, con muy poco dinero
    Mistonga : (ル=misho) humilde, pobre, insignificante, malo, miserable
    Empedrado/a : (l.p.) borracho, ebrio en pedo “pedo”:embriaguez, borrachera
    Piantarse : (ル=espiantarse)
       Piantar : irse, huir, escapar, fugar, rajar // despedir // despojar, apoderarse de algo
    // enloquecer // robar
    Taura : (l.p.)(m.) persona valiente, audaz // guapo, corajudo // que no teme enfrontar
    ningún peligro // fuerte en la adversidad
    ガルデルは “tauras” ではなく “taitas” と唄っている
    Bronca : disputa, pelea, altercado // antipatía, animadversion // ira, enfado, enojo
    Rabieta Ref: bronca esp. = broma pesada o enojosa
    Entrevero : (l.p.) riña, pelea, duelo
    Muro : 壁・(石・煉瓦・木などの)塀
    Acero : 2.刃物・剣 3.勇気・元気・大胆さ 4.食欲

    匿名
    無効

    「Melodía oriental」 (東洋のメロディー)
    Letra : Enrique Cadícamo (1900-99)
    Música : Juan Carlos Howard (1912-86) + Roberto Zerrillo (1902-55)

    お前は 女の匂いをさせながら
    俺の心に帰って来る 昨日と同じ
    同じように
    今日 憂鬱なバイオリンを聴くと
    うーん そのメロディーは今 俺に残酷に告げている
    もう もう決して お前には会えないのだと
    もう決して 決してお前に会うことは無いのだと
    Amor, amor* *恋人への呼びかけの言葉だからそのままにして置く

    この同じメロディーを
    いつか二人で聴いたなあ
    それはパリで 夜明けが近付いていた
    あの古いカフェで
    雨が降っていた
    お前は煙草を吸っていた
    濁ったペルノー*を飲んでいた   *アブサンといろんなハーブのカクテルで19世紀末から20世紀初頭に流行った。
    或る日 お前の愛は消えたけれど   Pernod は製造元の名前。
    あのメロディーは
    残った 俺の心に

    (語り)バイオリンの嘆き 一夜の恋 そして思い出は乱れる 俺の心に

    今日 憂鬱なバイオリンを聴くと
    うーん そのメロディーは今 俺に残酷に告げている
    もう もう決して お前には会えないのだと
    もう決して 決してお前に会うことは無いのだと
    Amor, amor

    邦訳:大澤 寛

    匿名
    無効

    「Menta y cedrón」(1945)(ハッカとセドロン)
    Letra : Armando Juan Tagini (1906-62)
    Música : Oscar Arona (1908-n/d)

    cedrón は “香水木” とか “防臭木” と訳される香気を発する木で、その小片を引き出しとか衣装棚に入れる。
    またハーブの一種で胃薬として用いられるものの名前。

    夜は友達 俺を街へ連れて行った
    何時か覚えた踊りのタンゴ
    決して会えないタンゴを追って
    胸騒ぐ巡礼の旅へ
    水溜め 鉄のドア 上品な入口のあるあの中庭が
    子供の頃の俺に 土地の*匂いをくれたものだ             *criolloはここでは”その土地の””地場の”
    ハッカとセドロンの

    俺は探す 昔のタンゴを!
    何処に居る?
    どのバンドネオンに隠れている?
    何処に居る? 忘れられない あの
    心に響く 磨き抜かれた 愛しいリズム
    何処にある? 昔の踊りは
    葡萄棚の下で ギターの数々の音色で
    私たちに生きることと 夢を見ることを教えてくれた

    俺は 俺の時代(ころ)のタンゴを聴く
    今はもう無い塀の向こうに
    そして思い出す 空き地と 
    セロファンみたいな空があった街区(まち)を
    そして 木蓮のある中庭を通り抜けると
    俺の心に拡がる あの娘(こ)の消えない思い出と
    あの匂い ハッカとセドロンの

    心に残る懐かしさ
    木蓮と ハッカと セドロン!

    邦訳:大澤 寛

    匿名
    無効

    「Mentira」(嘘) 1932
    Letra:Celedonio Esteban Flores (1986-1947)     
    Música:Francisco Pracánico (1898-1971)

    俺にしてみればお前は
    俺の狂った心を導く灯り
    哀れな人生の証しだった
    お前は愛をくれたのだから
    ぼろ布で作られた小さな人形
    俺は真っ直ぐに愛したけれど
    お前は俺を愛する振りをした
    嘘だ 嘘だった 許されないぞ

    俺は自分に問いかける 
    お前が俺の幸せを壊した理由(わけ)を
    どんな深い理由(わけ)があって
    俺をあれほど不幸にしたのか
    多分お前が他の男にも 俺にしたように
    捧げた愛を 今さら欲しがるのではないし
    こんなにお前を愛したことを後悔もしない

    そして俺は思う
    お前が俺の腕 男の腕の中で
    愛に震えて泣くのを見たことを
    お前が 大切なものの全てに賭けて
    お前の この上ないお袋さんに賭けて
    “神よ あの母御が栄光に包まれてありますように”
    愛を誓うのを聞いたことを 
    そしてそれらが全部(みんな) 嘘だったことを 
    沢山の嘘 嘘 性悪な女の

    邦訳:大澤 寛
    この曲のタイトルを「Mentiras」と複数にしてあるものは「El tango en sus letras」
    単数型で「Mentira」としているものにtodotango やLetra-D がある。
    なお同名異曲あり。1.Ángel Villordo(詩) Luis Roldán(曲) 2.Manuel Romero(詩) + Rodolfo Sciammarella(曲)
    3.Mario Vignale(詩・曲)

    Alimentar :3.(感情を)煽る・かき立てる、(感情を)持つ・抱く
    Grande : 2.重要な

    Pugliese + Morán のCD
    同名異曲あり。Manuel Romero(詩) + Rodolfo Sciammarella(曲)

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