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返信先: 大澤寛のタンゴ訳詞集

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匿名
無効

「La casita de mis viejos」(父母(おや)の家)1931
Letra : Enrique Cadícamo (1900-99)  Música : Juan Carlos Cobián (1896-1953)

俺が昔住んでいた 静かな町の街角へ
年老いた俺は 悲しい夕暮れの様に戻って来た
ひどく年老いて戻って来た
人生は俺を変えてしまった
髪には少し白いものも混じっている
俺は悩める旅人だった
夢みて彷徨い歩きながら
この世の俺の不幸に気が付いた
唇付けは酒に埋めて
女にはいつも夢を砕かれた

打ちひしがれて戻って来た 親の家に
何もかもが想い出となり 俺の記憶をかき立てる
二十年遠く離れていた 
若さに狂い 諫めてくれる人も無く
家には 深く残酷な 人を近づけない沈黙があった
他人がするように戸をたたくと
古くからの使用人が出て来た
俺はすっかり変わっていたのだろう
声を聴いてやっと俺だと判ってくれた

お袋がいた 哀れな病人になって
声をかけたら こちらを見た
涙で潤んだその眼で
“どうしてこんなに遅くなったの?”と言うように
もう俺は離れない お袋の傍に居て
大きな愛の暖かさを感じるのだ
この世で許してくれるのは母親だけだ
それが只一つの真実なのだ
それ以外はみな嘘っぱちだ

邦訳:大澤 寛
「Los mareados」「Nostalgias」など数々の名曲を生んだCadícamo+Cobián コンビの第1作。
Huraño : 人嫌いな・ひどく内気な、 misántropo, insociable, esquivo
Criado : 召使い・下男・女中、爺や・婆や  現代語でどう訳すか

1943年のPedro Pablo Ramírez 政権下の検閲でタイトルを「La casita de mis padres」に変更し、歌詞の一部も入れ替えている