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返信先: 大澤寛のタンゴ訳詞集

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匿名
無効

「La calle sin sueño」(夢のない町)
Letra : Enrique Cadícamo (1900-99)
Música : Lucio Demare (1906-74)


私はそれを失くしたが それでも探し続けてる
私の傷む身体には 今でもそれは生きている
それが私の血の中で 燃えているのが分かるのだ
あの人が 私のグラスに浮かんでくる
微笑んでいる あの顔が
 
そんな姿に唇(くち)を寄せ 唇付けをして吸い取れば 
あの人は 夢見心地になってゆく
あの酒場では売っている
喉の渇きと苦しみを 癒してくれる
毒のある 黄色い酒(注1)を売っている

夢のない町という名のそこで
通りすがりに探してる
少しの酒と 酒場のカウンターに繋がれた夢を


狂った幻の奇跡のように あの人に会う夢
あの人に愛されて 二人を引き離すものはないという
夢を見るのだ もう一度
だけど直ぐに あの狂った幻は
嘲りながら 姿を消すのだ
そして再た全てが 奈落へ転がり落ちる
そして私は飲みながら
酒場で悲しさをつのらせる

邦訳:大澤 寛

注1.Un rubio veneno “rubio” は形容詞で“金髪の・黄金色の”、名詞で“金髪の男・黄金色”などと訳される。もちろん”rubia”という形での“金髪の女性”が一般的。ここでのrubio veneno は“金色の毒””で具体的には白ワイン・ラム・ウイスキーなど黄色みががった飲み物を指し、同時に金髪の女性を連想させるのだろう。