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返信先: 大澤寛のタンゴ訳詞集

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匿名
無効

「Justicia criolla」 (クリオージョの裁き)
Letra : Francisco Brancatti (1890-1980) Música : Rafael Iriarte (1890-1961)

俺を捕まえに来なすったんですね? いいですよ
刑務所(むしょ)は人に悪いことはしないんでしょう
このとおり 抵抗はしませんよ
やられたんですな 俺は罪人ですよ
これでやっと俺の深い苦しみに封をすることが出来たんだ
もうこれ以上苦しみに出会ったって構うもんですか
良い時もあったと嘆くこともないですよ
悪い時だって やって来たように逃げて行くんですから

それじゃあ 哀れな俺の娘に唇づけさせてくださいよ
誰もいない家の中で 孤児(みなしご)みたいなもんでした
さあ 抱っこしよう 隣の伯母さんと一緒に居な 
父さんは そこの角まで行って直ぐに帰るんだから

早く行きやしょう お巡りさん そして俺の目に
泪が浮かんでるのを見て驚かないでくださいよ
刑務所(むしょ)は人のためにあるってさっき言いました
行きますよ たとえそこで死ぬことになっても
天使みたいなこの子を置いて行くと思うと
ひとりでに泪が出るんですよ
この子の他には そうですよ 俺の運命なんてね
けちなもんで 何の値打ちも無いのは よく判ってるんでさ

いつか大きくなったら 母さんがどうなったのか
判るだろう そして 父さんが酔いどれで罪人だったと
思わんでくれ 
いつかあの子に話して欲しい 父さんが母さんを殺したんだと
それは母さんが浮気だったからだと

お願いしますよ お隣の女(ひと)
さあ 行きやしょう お巡りの旦那

邦訳:大澤 寛