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「Frente a una copa」 (グラスを前に)
Letra : Elías Santiago Wainer (n/d) Música : Francisco Amor (1906-72)
朝から晩まで飲みながら
世を過ごしているこの俺は
操り人形と同じこと
俺の理性(こころ)を蝕んで
殺してしまう酒を前にして
消えることない苦しみに疲れ
忘れたいとの思いが募る
来る日も来る日もこの俺を
馬鹿げたことに誘い込む
あの暗い影を忘れたい
俺の哀れな親たちは
子供の俺を金に酔わせ*
若い日の俺は唄と踊りの
夢に酔わされ
死ぬほど惚れた女から
歓びに酔わされた
そして今その女を失った思いに
酒でも癒せぬ心の傷が拡がる
*luz (ル)お金、 ポーカーなどの賭け金・賭け札
人は言う どうして悲しむのかと
俺から逃げようが俺を助けに来ようが
あんな不実な女に構わなければ
人生は楽しくてどうでもいいものだと*
グラスを前に時々ぼんやりしていると
再たあの女の瞳が見える
唇には変わらぬ微笑みも
そんなものたちをガラスに投げつけ粉々にすれば
あの女の幻も消え去ってゆく
*corto (ル)= cortina 少ないこと・取るに足りないこと
邦訳:大澤 寛