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匿名
無効

「Ensueño」(夢)
Letra : Homero Manzi (1907-51)
Música : Antonio Sureda (1904-51)

(語り)
俺のまともでない人生の 或る場面に
悲しそうな樹みたいに お前の影が立っている
そして俺の心は その影の中にお前を思い出す
お前が去(い)ってしまったあの日の午後から
昔の俺たちの愛を思い出すと 俺には
苦い嘆きの叫びが聞こえる 時々狂った目をして
あの古い街を お前の躊躇いがちな足跡を
幾度も追い求めるとき

(唄)
暗い気持ちの俺の日々に 愛の小さな星をくれたあの娘(こ)
消えてしまった夜明けの光に刻まれたお前の優しさには 嘘は無かった
俺は人生の魔法にかけられて 時々別の恋の小道に誘われるけれど
懐かしい昔が 俺の心を悲しみで満たし お前の思い出が帰って来る
今 以前(まえ)よりもっとお前を愛しているから

あの愛で 俺たちの愛の巣が建てられた
それなのに 二人があれほど誓って夢見たものを
お前の死が 残酷に奪い去った
暗い中庭に射す一筋の光のようだった鳥も もう唄わない

俺の若い頃 優しい誓いをくれたあの娘(こ)
青春の夢が もう枯れ始めていたときに
貧しい暮らしの中で お前と出会ったのだ
だから ふたりして愛を誓ったあの街の路地で
昔を思い出すと 仕事場に向かったいつもの朝のように
お前を夢見る気持ちが帰って来る

邦訳:大澤 寛