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返信先: 大澤寛のタンゴ訳詞集

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匿名
無効

「El huérfano」(孤児)1922
Letra : Francisco García Jiménez (1899-1983)
Música : Ancelmo Aieta (1896-1964)

私は 恋人の墓の前で
歩みを止めて この一節を
花を捧げるように 残して行こう
そして 吹く風に私の声を預けよう
風が別れの言葉を運んでくれるから

或る日お前は 恋人よ
私の歩む道と交差した
私は 暗い 宛ても無い人生を
歩んでいた
母親は既に亡く
その優しく気高い愛は
永久に失われて
私の運命には影が差していた
私に残されたものは無く
私は泣き疲れていた

あの頃 お前に出会い
お前の瞳に何かを見た
幸せと夢を連れて来る
オーロラのように輝く瞳に
お前の瞳は裏切らなかった
苦しむ私の願いを
お前は 私の人生の
清らかで優しい愛の対象だった
ただ一度だけの
心の底からの愛の

それなのに今 お前は私を捨てて行く
私の傍から離れて行く
私を夜に沈める
こんなに寒い 悲しみの夜に
私は 哀れな慎ましい衣装で
再た喪に服する
お前が昨日出会った悩める孤児(みなしご)は
今日も孤児のままで
お前の愛を欲しがっている

邦訳:大澤 寛