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無効
「El corazón al sur」(南へ向かう心)
Letra y música : Eladia Blazquez (1931-2005)
私の生まれた町では 贅沢なんかは賭けみたいなものでした
ですから私の心は 南へ向かうのです
父親は 巣箱に蜜を運ぶ働き蜂
悪いことはしない 綺麗な心の持ち主でした
そうした幼い頃に 私の控えめな気質が造られました
その後の人生は 私に沢山の進むべき道を用意してくれました
そして大金持ちになることや ペテン師のことも判りました
ですから私の心は 南へ向かうのです
私の町は ジャスミン畠のようでした
庭にいる母親の姿 とても質素な優しいお祭り
太陽の方を向いたグラミージャ*の平和な眺め
私の町は 今は居ない私の人々なのでした
こうしたものは もう決して戻って来ません
夢と十字架を抱いて 私がそこを離れた日から
私の心は南へ向かっているのです
* gramilla (ラ米) 植物 スズメノヒエの1種
私は 私の町の隅々までを心に抱いています
この町の何もかもから 私の心が離れてしまったのではありません
覚えていますよ 町かど 雑貨屋 子供たち みんな何かしら私のものなのです
現実には そうしたものたちから私は遠く離れています
それでも私は お金の世界から離れて 幼い頃に戻り
あの大切な町にいます いつも南へ向かう心を抱きしめて
邦訳:大澤 寛
社会派的な作風の多いE.Blázquez が素直に親と故郷の町を讃える美しい作品。この歌は、タンゴでは珍しいことだが、家庭のために働く父親への賛歌となっている。