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返信先: 大澤寛のタンゴ訳詞集

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匿名
無効

「El circo se va」(1925)(サーカスは去り行く)
Letra : José González Castillo (1885-1937)
Música : Cátulo Castillo (1906-75)
ゆっくり 悲しく のろのろと
絵を描いた荷馬車が 列を組んで
行きたくなさそうに もう去(い)ってしまう

或る日 あんなに楽しさを運んで来た
その同じ楽隊(バンド)の音が 今日はとても悲しく響く
行くのは嫌だと言うように

何処でテントを張るのかな?
もう一度一緒に笑えるのは何時だろう?
サーカスはいつも流離(さすらい)の旅
片言の英語を話す あのピエロを連れて
楽しく響く楽隊(バンド)の音
色とりどりの光りと花火
町は静まりかえっている
心を無くしたみたいに

サーカスは去ってしまった 町は歳をとって
憂鬱(うれい)に沈んでいるようだ
サーカスが連んで来た 只ひとつの 子供の頃の何かが 
サーカスと一緒に 永久に去(い)ってしまったように思えるからだ
逞しい筋肉を輝かせる若者も 
ひょうきんなクラウンと言い争うピエロも
未だ幼い身体つきで 驚く私たちの前で 得意げに踊った
あのぽっちゃりした女の子も

ゆっくり 悲しく のろのろと
とても 行きたくなさそうに
荷馬車は隊列を組んで去ってしまう
あの演しものの名残のように
楽隊(バンド)の音が別れを告げる
悲しみの他には 何も無い
サーカスが 別れに残して行くものは                             邦訳:大澤 寛