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「El bulín de la calle Ayacucho」 (アヤクーチョ街の小部屋)
Letra : Celedonio Esteban Flores (1896-1947)
Música : José Servidio (1900-67) y Luis Servidio (1895-1963)
邦訳の対象とした歌詞の歌われている順序はガルデルが1925年12月25日にBarcelona ODEÓN に収録したもの。
(todotangoに収録されている) 訳詞には便宜上番号を付けた。この順番で歌われていないものがあるため。
①
アヤクーチョ街で借りていた小部屋
俺が遊び暮らしていた頃の
夜になると 仲間たちが
賭け事をやりに来たものだ
大勢の若者が
長い貧乏暮らしの中で パンとベッドに
あり付いたその小部屋は
怒って 泣いているように見える
②
灯油を使う湯沸かし器*は primus : 灯油を使う湯沸かし器の商標だったのだろう
いつも俺に強い酒をくれたものだ
そして熱い湯があると
マテ茶が鎮座していた*ものだ el mate era allí señor : マテ茶がその場の主人公だったということか
何時も必ずギターがあった
上手く弦が張られて 綺麗に磨いてあった
そして誰かが必ず 鼻に掛った声で
女たらしの恋歌を歌っていた
③
あの共同(な)住宅(がや)の奥の
絨毯も無い 贅沢なものもキラキラしたものも無い
貧しく散らかった小部屋
ここで俺はどれほどの楽しい日々を過ごしたことか
俺のものだった 甘えん坊の 真面目な女の子の
熱い愛を受けて
その娘(こ)は 冬の 嫌な或る晩
ひと飛びに空へ去って行った
④
何もかもが 人生が俺を苦しめる
想い出なのだ
だから俺は 人生を
賭け事と 愚かな 淋しがりやで過ごしたのだ
⑤
仲間たちは離れて行った
俺がこんなに悩むのを見て
そして俺は 悩みを詰め込んで
この部屋で過ごしたのだ
⑥
アヤクーチョ街で借りていた小部屋
貧しく 寂れて 今もある
だけど もうあの夜遊び人の歌い手が
間違えて調子を合わせるのを聴くこともない
そして そこに仲間が喜んで集まった
あの湯沸かし器がマテ茶を沸かすこともない
そして あの馬鹿騒ぎをした男は
泣いて涙が枯れている
邦訳:大澤 寛
rana : individuo divertido
timbear : jugar por dinero
racha : ひと続き・一連 una racha de éxitos
marroco : (ル)= marroque = pan
gangoso : 鼻声の・鼻にかかった hablar gangoso
mistongo : (ル)= humilde, pobretón, muy pobre casi miserable
cabrero/a : persona de mal character, enojadiz // disgustado, enojado
rante : = atorrante = se aplica personas y cosas, fuerte connotación despectiva
empollar : (ス)詰め込み勉強する・ガリ勉・猛勉強する ここから“詰め込む”
pava : マテ茶用の湯沸し・薬缶