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「El bazar de los juguetes」 (玩具屋)
Letra : Reinaldo Yiso (1915-78)
Música : Alberto Podestá (1924-2015) + Roberto Ruffino (1922-99)
店のご主人 もうドアを閉めて下さいよ
そんなに驚いて 俺を見ないで
店に在るだけの玩具を全部買いたい
そう 全部買います 幾ら費(かか)っても構わない
払う金はあります
一晩だけでいいから 俺はRey Mago* になりたい
この場末の町の子供たちが 明日の朝 目を覚ましたら
俺が恵んでやる この太陽のような楽しみを
両手で握りしめるように
子供(ガキ)の頃の俺は 玩具屋へ何度も出かけたものさ
そこへ行って 店の外から ショーウインドウ越しに
決して 自分の手には入らないものを
只 眺めるだけのために
俺の母親(おふくろ)は貧しくて 俺たちにパンを買う小銭にも困ってたんだ
だけど 今の俺には出来る 運が付いたからさ
遊ぶ玩具がひとつも無い子供がいないようにしたいんだ
クリスマスイブに 贈り物は一かけらのパンだけというのが
どんな気持か 俺は知っている
通りの向こうでは 他の子供たちは 貰った玩具を庭に放り出していた
どんなに安くてちっぽけな玩具も買えない 貧しい母親(おふくろ)が
俺にくれたのは 優しい唇付けだけだった
だから今 俺は玩具を買うんだ だから それだけだよ
邦訳:大澤 寛
bazar : ここでは、特別な日に開かれるバザーのことではなく、普通の店を指す
Rey Mago : 普通は複数で ”Reyes Magos” 或いは単に ”Magos”。キリストの生誕を祝って宝ものを持って訪ねて来る“東方の3賢人” のこと。現在でもカトリックの国々では1月6日が祝日= ”El día de Los Reyes Magos” で子供たちに玩具などを贈る習慣がある。日本語訳としては“偉い魔法使い”くらいでも良いだろうが、この歌詞の中では訳語として長いので原語のままにして置いたもの。