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返信先: 大澤寛のタンゴ訳詞集

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匿名
無効

「El barco María」 (マリア号)
Letra : Horacio Sanguinetti (1914-57)
Música : Carlos Viván (1903-71) 

海の緑*の色をした
君の瞳を曇らしてはいけない
思い出は探さないように 海を眺めてはいけない
あのマリア号は多分もう戻っては来ないのだから
あの船長の夢を見て泣いてはいけない

彼は星空の下で 君の名を船に刻んだ
ずっと君を愛していた 別れの言葉も出せなかった
幾つもの遠い海へ船を進めて
何処の港に錨を下ろしたのか 誰も知らない

あのマリア号は静かな夜に船出した
船長は 愁いに満ちた眼をして 悲しく君に呟いた
“忘れられないマリア 何時か必ず戻ってくる”と
泣きそうだった
あのマリア号は 汐に乗って去って行った
そして君は独り残された 海で迷子になったように

忘れなさい 彼が何時か微笑んで君に言ったことは
海の緑**の色をした君の眼が好きだと
忘れなさい マリア号の船橋(ブリッジ)で夢を見た夜のことは
もう帰っては来ないのだから

月に照らされた海を眺めてはいけない
夜に海の悲しい唄を聴いてはいけない
君の心の寂びれた波止場を霧で満たすような
思い出を探してはいけない 

*原文のaguaverdeは“クラゲ”だが“クラゲ色”では馴染み難いし、後半では**海緑色verdemarと言っているので訳文では海緑色に統一した
邦訳:大澤 寛

Aguaverde : クラゲ、ミドリクラゲ、
Bruma : 霧・もや・ガス  pl.混乱・もやもや