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返信先: 大澤寛のタンゴ訳詞集

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匿名
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「Canzoneta」(懐かしい歌)
Letra : Enrique Lary (n/d-1970)                   
Música : Erma Suárez (n/d-1981)

ラ・ボカ 細い道 ロチャの曲がり角
居酒屋 アコーディオン弾きのヘナロ
心を失くした暗い唄
安飯屋の隅に隠れていた
古い悲しみに ふと襲われる
生きることの苦しさ
“ああ お袋(っか)さん”
俺は髪も白くなって いつもこのテーブルで
なすこともなく酒に浸っている

“オーソレミーオ”が聞こえて来ると
“母も無く 愛も無い” 俺の心は冷えて来る
満たされない願いで一杯になる
子供の頃に故郷(くに)に残してきた お袋の心なのか
泣け 泣け“オーソレミーオ”
俺も泣きたいんだ
 
ラ・ボカ 細い道 ロチャの曲がり角
アコ弾きヘナロは もう行ってしまう
“俺の着ているものがどうかしたか?”
ひどく震えて グラスの酒がこぼれて
“汚れたって構うものか!”
Tarento に帰る夢を 何度見たことか
だけど俺はずっとこのラ・ボカにいる
悲しく 壊れた許されない心で
嘆きを 泣いて吐き出している

邦訳:大澤 寛

舞台はイタリア移民の町La Voca。イタリア移民の望郷の念と亡き母を偲ぶ気持ちを典型的に表している。“オー・ソレ・ミーオ”の1節が歌われ幾つかイタリア語が混じる。このテーマはタンゴには極めて多い。

Malón : (インディオの)来襲、 不意打ち・襲撃
Figón : 大衆食堂・飯屋
Aferrar : vt.(しっかりと)掴む、捕まえる aferrarse : 固執する
Senza : (伊)=without
Derramar : こぼす・撒き散らす
Congoja : 嘆き・悲嘆・悲痛・心痛・苦悩、失神