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「Café la Humedad」(“ラ・ウメダー”という名の酒場)
Letra y Música : Cacho Castaña (1942-)
湿気 小ぬか雨 それに寒さ
古い酒場の青いガラスに 俺の気も弱くなる
ここでどれほど待ってるかは 訊かないでほしい
コーヒーはとうに冷めて 吸い殻の山
相手が決して来ないのは判っていても
雨が降ると 俺はこのカフェまで走って行く
じゃれて俺の靴の紐を解(ほど)こうとする
猫だけが俺の仲間
Café La Humedad*よ ビリヤードと仲間たち
俺はひたすらお前に感謝しないといけない
そこで夜毎教えて貰ったことで 死ななくて済んでるのだから
土曜日 カードのトリック “いいなあ”
Café La Humedadよ ビリヤードと仲間たち
胴元が勝つカードのトリック “いいなあ”
俺はただ感謝する そこで夜毎学んだ数々の詩が
若い日の俺に教えてくれたことに
独り身の孤独
夢見ることに疲れた30年の歳月
だから俺は 変わらない仲間たちを求めて
Gaona と Boyacá の角*の この酒場に戻って来るのだ
仲間の数はもう多くはないけれど
“さあ みんな 今夜は思い出そう
過ぎた昔に仕出かした騒ぎをひとつずつ
そしてLa Humedad という名で呼ばれた酒場を”
(注-1)Café La Humedad どう訳すか? “湿り気・湿度の高い酒場”ではしっくりこないのでそのままにして置く。
humedad にはラ米での用法に“結末・顛末を知る・察知する”がある(sentir la humedad)がこのタイトルとの関係は判らない。
(注-2)Gaona 通りとBoyacá 通りの交差点にCafé La Humedad はあった。親しみとからかいが混じり合った”Boliche a los comercios”とも呼ばれていたという。
邦訳:大澤 寛