ホーム › フォーラム › 資料掲示板 › 大澤寛のタンゴ訳詞集 › 返信先: 大澤寛のタンゴ訳詞集
「Café de los Angelitos」(天使たちのカフェ)(店の名前)
Letra : Cátulo Castillo (1906-75)
Música : José Razzano (1887-1960)
思い出すぜ 生活に埋もれているけど
今 燻る煙に包まれて
煙草を吸いながら 心地よい想い出と
濃い珈琲を前にしていると
リバダビアとリンコン*の あの古い街角 *どちらも通りの名前
昔の仲間たちが帰って来る
そこにあるテーブルに
歳を取ったとふざけながら
昔の夜の騒ぎを思い出しながら
天使たちのカフェ!
ガビーノ*やカソン*が居たバー! *Gabino Ezeizaも Higinio Cazónも当時の高名な吟遊詩人
リバダビアやリンコンの通りで
騒いで叫んで楽しかったぜ
カルリートス*の居た頃 *Carlos Gardel を指すのだろう
皆 どんな夢を追いかけて去(い)っちゃったのかな?
どの星に住んでいるのだろう?
昨日やって来て 通り過ぎて 消えた声は
何処に居る?
どの街角を通って帰って来るのだろう?
雨が降って寒い夜には
俺は 昔の決まった場所に戻って来る
すると今度も ベティノッティ*が傍に座って *José Betinotti この人も当時の高名な吟遊詩人
喉を震わせて歌うのだ
俺のものだった あの心地よい片隅で
人生は退屈して欠伸をする
誰も あの昔のテーブルに
俺を招んではくれないし
何もかもが不在で 別れなのだから
邦訳:大澤 寛