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返信先: 大澤寛のタンゴ訳詞集

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匿名
無効

「Barro」(泥)
Letra : Horacio Basterra (Horacio Sanguinetti の本名) (1914-57)
Música : Osvaldo Pugliese (1905-95)

何のために生き続けるのだろう
生きることが泣くことなら
泥をかけられて 俺の心は傷ついている
忘れることが俺の願いだ 忘れることだけが
神様が俺につけた名前は 
悩みと孤独の“こぼれ花”*      *Flores という姓にmustias = しおれた・しなびた という形容詞。

この残酷な男の戦いの中で
俺は惨めさと苦しみに耐えた
昨日のことだが女がひとり 嘲りながら
俺の名前を泥で汚した
俺が友情を求めても 出会えたのは偽ものだった
カーニバルの作り物の高笑いの後で
俺が見つけたものは

愛の奇跡だけが 俺を生き返らせるかも知れない
扉を閉ざした俺の心に もし訪れる心があれば
悲しむ俺の白髪に 差し伸べられる手があれば
白髪を消してくれるだろう
それが無ければ死ぬ方がましだ

俺の青春は酒びたりだった 悩みを鎮めたくて
俺がよろめき歩くとき
俺の心も気持ちも鎮まっていると誰が思うだろう
何のために思い出すのだ 忘れる方が良い
俺の人生の全ては 場末のタンゴのように
いつも泥沼だったのに 

邦訳:大澤 寛