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「Bandoneón arrabalero」 (場末のバンドネオン)
Letra : Pascual Contursi (1888-1932)
Música : Juan Bautista Deambroggio (“Bachicha”) (1890-1963)
場末のバンドネオンよ
古くて もう使われない蛇腹よ
俺はお前を見付けたんだよ
母親に捨てられた子供みたいなお前を
壁に塗装もされていない
とあるコンベント*の入口で *convento は修道院のことだが、ここはconventillo=共同住宅・長屋を指す
夜になると 小さな街灯の明かりが
お前を照らしていたなあ
バンドネオンよ
俺が淋しくて もう歌うことも出来ないのが
お前に見えるから
俺には心に刻み込まれた悩みがあるのを
お前は判るだろう
俺はお前を 俺の部屋に連れて来た
俺の冷たい胸で お前をあやしたものだ
俺も捨てられて この小部屋にいたのだよ
お前は 俺を慰めようとしてくれたなあ
しわがれた声で
だけど お前の悲しそうな音色が
俺の苦しい恋の思い*をかき立てたものだ *berretín は代表的な語義は浮気・移り気=capricho のことだが多義であり頑固・偏執・執着、強い愛情などをいう
邦訳:大澤 寛