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「Ave de paso」(1936)(渡り鳥)
Letra : Enrique Cadícamo (1900-99)
Música : Charlo (1906-90)
別れる時が来た なあお前
何時また会えるかは判らない
俺の唇は 別れを告げようと
震えながらゆがむ
俺たちの恋は ひとときのもの
俺の愛は 渡り鳥
蜜の味の サテンの肌触りのような
お前の唇付けは 忘れられない聖らかさ*
*Charloは明らかにbeso sagrado と歌っているが、 vaso sagrado とするテキストが多い。vaso sagradoなら聖盃(キリ
スト教)の ことだから邦訳は ”血の盃” とでもしなければならない。素直に Charlo を採りたい。
さよなら 銅色の人形よ
日焼けした娘よ お前の熱い*愛からは *tropical = ”熱帯の”、”熱帯性の”が本義
塩の味がする笑いの匂い
思い出の歌のように
リオ*の月は *Río de Janeiro のこと
夜になると お前に話してくれるためにある
俺がお前の傍を通ったことを 疲れを知らぬ旅人の俺が
お前の傍を通ったことを そしてお前に心を残したことを
俺の運命は 一生 旅をすること
お前の傍で夢を見たのは間違いだった
空が薔薇色に染まった
お前に別れを告げたから
俺の約束は 無かったことにしてくれよな
忘れてくれよな 俺の狂った愛を
ブエノスアイレスが お前と別れさせるのだ
あの空の下で お前の夢を見よう
邦訳:大澤 寛