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「Arrabal amargo」 (1935) (苦い想い出の下町よ)
Letra : Alfredo Le Pera (1904-35)
Música : Carlos Gardel (1890-1935)
呪いの言葉が咎めるように
私の人生に入り込んだ
苦い想い出の下町よ
お前の影が
眠れぬ私を苦しめる
お前の夜が
私の心に閉じこもる
あの娘(こ)が傍に居た頃は
お前の悲しみも 泥沼(ぬかるみ)も みじめさも
私には見えなかった
あの娘(こ)は私の灯りだった
そして今 私は捨てられて
お前の街角に 十字架のように
打ちつけられた心を引きずっている
私の好きなお前の中庭では
星のテント*に覆われて
*toldo : テント・天幕、日よけ、雨覆い
なにもかもが輝いている
下町の小さな街角よ
あの娘(こ)がお前に会いに来れば
お前の古いスイカズラは
お前を愛して花盛り
去って行く雲のように
私の夢が行ってしまう
行ってしまって もう帰らない
誰にも言うのではないよ
お前がもう私を愛していないことは
私が人から訊かれたら
お前が帰って来ると言おう
だからお前が帰って来ても
誰も驚いたりしないと誓うよ
皆が どれほどやきもきしながら
お前を待っていたか判るだろう
私の白い家も 古い薔薇園も
どれほど悲しみから蘇るか
祭りの衣装を付けた
私の美しい下町よ
邦訳:大澤 寛