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匿名
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「A mis manos」(俺の両手に)(1955) (ミロンガ)
Letra : Julio Camilloni                   Música : Alfredo Gobbi

盲いて(めし)生まれた俺の手は 狂える夢をあやしつつ
その手で天に触れるのは 果たせぬことと知りもせず
俺には開くことの無い 開かぬ扉を打ち叩く
既にあの娘(こ)は遠く去り 俺は盲いた物貰い

俺の両手はふたつの炎 そして只管(ひたすら)燃え尽きた
あの娘は氷の立ち像(すがた) そのつれなさに俺の手は
打ちひしがれた俺の手は ただ思い出に縋り付き
水気失くして石のよう

哀れ盲いた俺の手の 思い違いの数々よ
一人の友の両の手に 我が手預けて胸騒ぎ
悪い予感は当たるもの 俺の不実な両の手は
拳(こぶし)握れば鉄のよう 鉄の拳が向かうのは
遠いあの娘の顔でなく 拳は俺に打ちかかる

哀れ盲いた俺の手の 思い違いの数々よ
不幸に仕える兵卒の 俺には黒い喪の腕輪
母に去られた俺の手よ 母を留めることをせず
俺の両手の過ちの 最たるものはこれなのだ
見す見す母を去らせつつ その過ちにいつまでも
気付くことなどありもせず
哀れ盲いた俺の手の 思い違いの数々よ

邦訳:大澤 寛