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「Ya no cantas, chingolo」(もう歌わないなあ チンゴロ)
Letra : Edmundo Bianchi (1880-1965)
Música : Antonio Scatasso (1886-1958)
大草原にはその昔
小さな歌う鳥がいた
大草原の草の上
歌の調子をとっていた
心が泣いているような
とても悲しい歌だった
大草原に鉄道が
敷かれて小鳥は怖がった
かけがえのないその歌は
聞こえることが無くなった
可愛い哀れなあの小鳥
何処で死ぬのかあの小鳥
もう歌わないなあ チンゴロよ
何処で暮しているんだい?
何処かで 一人ぼっちで お前の歌を
泣いて歌っているんだろう
田舎風の小さなギター
流しの歌い手みたいな小鳥
古い昔の伝統(ならわし)を全部(みな)持って
去(い)ってしまったなあ
流しの歌い手 チンゴロは
大きなオンブーの木にとまり
昔はお前の唄もまた
天(そら)まで昇っていったもの
夜になったら南十字が
神々しく輝くあの天(そら)へ
今はもう歌は止み
小鳥も流しの歌い手も
心のこもったその声を
遠くへ隠しに去(い)っちゃった
大草原は今はもう
ジャズとアメ公とフォードの車に
踏みにじられているからさ
もう歌わないなあ チンゴロよ
何処で暮しているんだい?
何処かで 一人ぼっちで
小さな声で泣いてるんだろう
田舎風の小さなギター
淋しい声
チンゴロ お前が去(い)ってしまってから
誰も歌えなくなったよ
邦訳:大澤 寛