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返信先: 大澤寛のタンゴ訳詞集

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匿名
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「Viejo baldío」 (古い空き地)
Letra : Víctor Lamanna (1912-n/d)
Música : Roberto Grela ()1913-92

町にあった空き地 あの遠くに離れた俺の下町の
失くした人生のひと断片(かけら)
空き地の周辺(まわり)にあったのは 古い小さな家並みと
町角 沼地 そしてあの柳の木の群れ
町にあった空き地 幼い頃のひと断片(かけら)
空を飛ぶことを夢見た悪戯(わるがき)仲間(たち)
昔の遊びが一杯 遠い夢が一杯
時が流れて あいつらは何処に居るのだろう?

月が縁取りをしたあの町の想い出は
水溜りに浮かんだ光沢(つや)のある目撃者
夜通し灯がついていたあの古い街灯は
絹とキャラコの恋を綯い交ぜにした
タンゴを次々と流していた空き地の回転木馬みたいに
俺の運はいつも当たらない指輪探し*    *sortija = 誰が手に指輪を持っているかを当てる遊び
そして人生の曲がり角をうろつく碌でなしの俺は
今日傷ついた*心で帰って来た *cachuzo/a = ルンファルドで“傷ついた・壊れた・老いた”

町にあった空き地 俺の瞼が濡れて来る
虚ろな心が苦しみで締め付けられる
想い出の楽しさを運んで来る
古い時間の煙に包まれて
町にあった空き地 古い仲間たち
人生は俺たちを何処へ連れて行きたかったのか?
叫び声も ぼんやりと見えた顔も 消えてしまう
何と孤独な俺だろう 空き地よ お前も変わったなあ

邦訳:大澤 寛