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「Tristeza marina」 (海の男の悲しみ)
Letra : Horacio Sanguinetti(1914-57)
Música : José Dames (1907-94) + Roberto Flores (1907-81)
“あなたは私より海が好きなのね”
あの娘(こ)は悲しげにそう言って
あの娘の澄んだ声は消えた
俺は 何度も繰り返し*思い出している *obsesión: “強迫観念・憑きもの” だがここは “何度も繰り返して”
あの娘の夕日のような眼差しと
あの言葉を
“あなたの海と私の愛と どちらを取るのか決めて”
“それは出来ない” と俺は言った
するとあの娘は “さよなら” と
あの娘はマルゴという名前で
青いベレーを被って
胸に十字架を掛けていた
海よ
海よ お前は俺の兄弟だ
海よ
お前の果てしない海原に
俺の船*と一緒に *barco carboneroは “石炭運搬船” だがここでは “船” としておく
囚われ人のような俺の運命も
俺の孤独な悲しみも
沈めてしまおう
海よ
俺には誰も居ない
海よ
もう愛する人も無い
何時か或る日 港についても
マルゴが待っていてくれることはない
俺の苦しみは
恐ろしい嘆きの風を伴って
心に襲って来る嵐だ
俺はあの娘を決して忘れない
何時も繰り返して あの娘のあの言葉を聴くだろう
“あなたの海と私の愛と どちらを取るのか決めて”
俺は悲しく “それは出来ない” と言った
そしてあの娘の “さよなら” を聞いた
あの娘はマルゴという名前で
青いベレーを被って
胸に十字架を掛けていた
邦訳:大澤 寛