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返信先: 大澤寛のタンゴ訳詞集

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匿名
無効

「Tomo y obligo」 (交わす盃)
Letra : Manuel Romero (1891-1954) Música : Carlos Gardel (1890-1935)
(ここにも「交わす盃」という先人の名訳がある)
おれも呑みやすから お宅もいっぱいやって下さいよ
故郷(くに)からは離れ 友達(だち)も居らんし
今日は思い出を消しちまいたいんでさ
俺の悩みを お宅の胸にぶちまけさせて貰いてえんだ
一緒に呑んでくだせえ そして 時々俺の声が曇っても
それは 俺を騙した女を恨んで泣いてるんじゃねえんだ
男は泣くもんじゃねえことくらい判ってやすよ

パンパの草が口をきけたら 
お宅に話してくれるでしょう
俺がどんなにあいつを愛し 
どれほど熱くあいつを想っていたか
葉を散らした木の下で 
昔あいつにキスしたあの木の下で 
何度俺は 震えながら跪いていたことか
そして今 落ちぶれたあいつが
他の男の腕に身を任せているのを見ると
嫉妬に目の眩んだ俺のナイフの
ほんの一刺しでよかったんだ
誓って言いいやすが 俺には今でも判らねえ 
どうやって思い留まれたのか
あそこであいつを殺っちまわなかったのか

俺も呑みやすから お宅も一杯やって下さいよ
女のことは話さないようにしやしょう
女ってのは皆、兄さん、酷いことをするものでさあ
今になると それが経験(とし)で判るんでさあ
言うことを聞いて下さいよ、兄さん、女に惚れちゃいけねえ
もしそういうことになったら 頑張るんですぜ、兄さん
悩んで だけど泣くんじゃねえ
男らしい男は泣くもんじゃねえんだ
邦訳:大澤 寛
ガルデルが航空機事故で亡くなる前夜,最後に歌ったのがこの曲。(todotangoから)