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返信先: 大澤寛のタンゴ訳詞集

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匿名
無効

「Tabaco」(煙草)
Letra : José María Contursi (1911-72)
Música : Armando Pontier (1917-83)

お前の声が 闇から響く
遠くから 俺を咎めるように
泣いて 俺を呼ぶ声が
今夜も現れる亡霊たちさえも怯えさせて
俺は目を閉じている 沈黙の怖さに
俺の心は引き裂かれている
俺は自分を未だ許してはいないのだから
俺がお前に引き起こした不幸の全てを

もっと強く 前よりもっとずっと強く
俺の手は お前の優しい手を欲しがる
もっと強く 前よりもっとずっと強く
俺はぼんやりしている 
お前がこれほど近くにも 遠くにも居る気がして
煙草を吸うと 煙がお前の姿になる
煙草の香りに お前の匂いがして
その匂いが俺に語りかける
お前の忘却と 俺の狂気の隔たりを
お前は幸せに暮らしていて
多分今夜は 俺を思い出すかな

震えながら目覚める 苦しい夢のようだ
苦しみの菫の花は ちぎられて萎れている
俺の眼からは涙が滲み出る
哀れな俺の眼は 沈黙の怖さに閉じたままで
俺は自分を未だ許してはいないのだから
俺がお前に引き起こした不幸の全てを
邦訳:大澤 寛

とても詩的な内容で、男歌にも女歌にも出来る。男性歌手なら “俺” “お前” で、女性が歌うなら “私” “あなた” という気持ちにすればいい。「お前が(あなたが)俺を(私を)忘れていることと、俺が(私)が狂ったようにお前を(あなたを)求める気持ちとの隔たりの大きさを、煙草の香りで気付かされる」