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返信先: 大澤寛のタンゴ訳詞集

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匿名
無効

「Sorbos amargos」(苦い酒の滴(しずく))
Letra y música : Agustín Irusta, Roberto Fugazot y Lucio Demare 3人の合作
(sorbo はチビチビと飲む・啜る量、一口で飲む量を指す。 訳し難いので “滴” として置いた)

なあ、おい!
お前に分かるかなあ
あの娘(こ)があの日の午後 出て行ったドアを
夜になるといつも 俺が 胸を絞るように
見つめていることが
あの娘は愛想よく ひとつキスをして
散歩に行くと嘘をついて
さよならと言って出て行った

これまでには無かったぜ!
あの夜みたいに俺が悩んだことは
俺の心は あの娘を空しく待った
なあ お前
お前は俺があの娘を可愛がるのを見た
古い仲間よ
俺が悩んだのが分かるだろう

どんなことでも思い出になる
どんな思い出も涙になる
俺はあの娘を愛している
血管の中に入れてもいいくらいに
もしも血が泣くことがあるなら
十分に気をつけて取り出そう
俺を食い尽くすこの苦しさを

夜明けになると いつも俺は
死にそうな顔をして
瞳には願いを込めて
唇は 思い出の苦しみを取り去ってくれる
愛の言葉を呟いた

あのドアを通って あの娘が戻って来るなら
そんなことは決してあり得ないけれど
そうしたら俺の心は もう一度この世で 
あの娘が愛して呉れる喜びの数々を 
汲み尽くしたいと願うだろう

現実には不可能な夢さ
古い仲間よ
そしてこの悩みの十字架は重いぜ
優しいお袋には 決して知られたくない
人生が俺に呉れたものが
苦しみの愛撫だったことは

邦訳:大澤 寛

Con cien ojos : estar(se) con ~ andar(se) con ~ 注意して・警戒して・用心して・監視して
Sembrante : 1.顔つき・表情   2.(物事の)局面・様相
Sinsabores : 悩み・不快