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返信先: 大澤寛のタンゴ訳詞集

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匿名
無効

「Sentimiento gaucho」(ガウチョの心)
Letra : Juan Andrés Caruso (1890-1931)
Música : Francisco (1888-1964) y Rafael Canaro (1890-1972)
パセオ通りの 古い飲み屋には
神を信じる心を失くした者たちが集まる
或る日そこで俺は 暗い片隅に座っている
汚れ切って 襤褸を纏った酔っ払いを見付けた
その男を見て 深く心を動かされた
その男が 心に悩みを隠していると思ったから
傍に座って話しかけた
するとその男は こんな風な嘘の無い告白(はなし)をした

よく聞いてくれよ あんた
判るだろう 苦しむことは男である条件なんだ
俺が心から愛した女は 口説きが上手い男の
後を追って去(い)ってしまった
あいつは 俺の愉しみを奪い去ったけれど
決してあいつに会いたいとは思わない 
あいつは幸せにしてくれる男と
楽しく暮らせばいいんだから
どうなるか俺には判らんけどなあ!
俺があいつに抱いていた愛情の全てを
裏切りと言う刃(ナイフ)の一刺しで殺したんだから

無駄なことだな 忘れようとしても駄目なんだ
俺の愛の たったひとつの対象だった女の想い出を
あいつにとって俺は 生えていても引っこ抜かれて
匂いがするクローバーみたいなものでないといけない
あいつが 何時かひょっとして 
再た俺のところに戻って来たいと言うなら
許してやらないといけない
男が嫉妬に狂って他人(ひと)を殺しても
許されるだろう どんな女に対するものでも
その愛がとても深いものであったら

邦訳:大澤 寛