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返信先: 大澤寛のタンゴ訳詞集

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匿名
無効

「¡Quién hubiera dicho!」 (誰が言っただろうか)
Letra : Luis César Amadori (1902-77)
Música : Rodolfo Sciammarella (1902-73)

何と言うことだ 仲間よ
この世で起きることは!
俺はあの女を愛してはいなかった
初めて会ったときには
或る晩 あいつが あっさりと
俺に言うまでは
もう何事にもとても疲れたのと
そしてあいつは出て行った
何と言うことだ 仲間よ
この世で起きることは!
あの時からだ
俺があいつを愛し始めたのは

あいつを忘れるために
俺はどれだけの苦労をしたか!
どれだけの狂った夜を
過ごしたことか
誰が言っただろう
あんな女*のために *por ese mono = por esa mujer
俺がしたような苦労が
したいと!
俺は人生を投げ出した
酒場に
俺はもうあの女を忘れたと
世間の奴らに判らせるために
しかしそれは全部 嘘なのだ
俺は独りになると
泣いたものだ 仲間よ
女みたいに

2年もの間
俺はあの女と暮らした
しかし決して 夢の中でも
あいつを愛しているとは思わなかった
誰か俺に教えようとしていたか
俺がどんなに 狂ったように
何でもするだろうと
いつかあの女に再た会うためなら!
何と言うことだ 仲間よ
この世で起きることは、、、
俺たちはマンガの主人公*さ
愛することを始めるなんて!

*machietta=machieta=maquieta:イタリア語macchiettaから = caricatura = マンガ、戯画、風刺画

邦訳:大澤 寛

 平明な歌詞で知られるCésar Amadori 作品だが、タイトルの 「¡Quién hubiera dicho!」 とそこから始まる4行が訳し難い。主人公(この歌詞の語り手)が言いたいのは、自分がこの女と関わりを持って(一時期を一緒に暮らして)経験したような苦労は他人は誰も判らないだろう、そんな苦労がしたいなどと誰が言っただろうかという内容だと解する。
 Carlos Saura 監督作品の映画 “Tango” の冒頭でこの曲をAdriana Varela が歌っている。