ホーム › フォーラム › 資料掲示板 › 大澤寛のタンゴ訳詞集 › 返信先: 大澤寛のタンゴ訳詞集
「¿Por qué la quise tanto?」 (どうしてあれほど愛したか)
Letra : Rodolfo Taboada (1914-87)
Música : Mariano Mores (1918-2016)
遠くでアコーディオン*が *バンドネオンと歌う歌手も多い
迷いの小鳥たちの音を 夜に拡げる
亡霊たちが 暗闇の中で声をそろえて俺に訊く
再た俺に訊く
何故 泣くのか 何故 歌うのかと
何故 あの娘のことを悪く言わないのかと
何故 あの娘をあれほど、、、あれほど愛したのかと
俺だけが知っている
あの娘が 俺の暗い人生(くらし)の中の 安らぎの地(ばしょ)だったことを
あの娘が 受難(くるしみ)の打ち続く俺の日々の 淡い灯りだったことを
俺が この黒い十字架のようなあの娘*の幸せを祈っていることを *esta negra cruz は別れた女性を指す
あの娘がここに居ることを、、、そして居ないことを
俺の唇の中に 悲しみに沈んで血を流していることを
亡霊たちが執拗(しつこ)く 俺の悩みを弄びながら
追いかけて来て 俺に訊く
何故今でも 空しくあの娘を待つのかと
何故 夢見ながら生きているのかと
あの娘がひと時 俺の、、、俺のものだったことを
邦訳:大澤 寛
bruma : 霧・もや・ガス、 (複数で)混乱・もやもや、 困惑
remanso : よどみ・流れの緩い場所、 水溜り・溜池、 のろくさいこと・緩慢なこと
remanso de paz 平和のオアシス、安息の地、静かな場所
calvario :十字架の道(Calvario=カルバリオの丘=キリスト磔刑の地=別称がGólgota の丘)
長い苦難・受難の連続、 嵩んだ借金 tener un calvario de deudas
implacable :無慈悲な、 執拗な・妥協しない・根の深い、 冷酷な・非情な
sombra :(影・暗闇の他に)不安・懸念、 幻影・亡霊、 欠点・欠陥
(主に複数で)暗闇・暗がり、 無知、 秘密、 後ろ暗いこと