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返信先: 大澤寛のタンゴ訳詞集

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匿名
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「Por las calles de la vida」(1942) (人生の街角で)
Letra y música : Enrique Cadícamo (1900-99)

人生の街角で
お互いを見失ったなあ お前と俺は

誰が苦しみを忘れるだろうか
その苦しみが 気まぐれなものでも
誰が涙を押し殺すだろうか
その涙が 目にあふれる時でも
あの娘(こ)は 俺の悲しみの日々の中に居る
あの娘は 俺が作りだす黒い夜のドラマの中に居る
また あの娘は アルコールのグラスだけのような
俺の暗い人生の中に居る

人生の街角で
お互いを見失ったなあ お前と俺は

もうお前は 夜明けまで待つことも
泣くこともしなくていい
もうお前は 俺の無茶苦茶な生き方を
恨んで苦しむこともしなくていい
愛をこめてアイロンがけしたハンカチを
色っぽい仕種で 俺のポケットに入れることもしなくていい
俺が帰って来ると いつも怒りながらした口付けも
しなくていい
そうした事は 今のお前には無いし
俺には お前の心が無い

人生の街角で
お互いを見失ったなあ お前と俺は

誰が俺に “忘れろ!” と言うだろうか
たとえ忘れても 心にはあの娘を抱いている
誰が俺に “あの娘を消しちまえ!” と言うだろうか
俺は 苦しみに包みこまれても
決して忘れ去ることは無い
もう 俺の命とあの娘の命は
ひとつの結び目になっているのだ
そして今 俺の夢は この激しい愛の墓場で
壊れるのだ

人生の街角で
お互いを見失ったなあ お前と俺は

邦訳:大澤 寛