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「Nunca tuvo novio」 (あの娘(こ)は一生恋人がなかった)
Letra : Enrique Cadícamo (1900-99)
Música : Agustín Bardi (1884-1941)
哀れな独身女(としま)になったなあ
夢を失くして 神を信じることもなく
悩む心は病んでいて
お前の挫けた人生は もう落日(おしまい)を迎える
今も 昔のように
恋にやつれた女の子が空しく待っているという
安っぽくてセンチな小説をずっと読んでいるな
お前の淋しい独り暮らしの部屋には
嘆きが住んでいる
悲しい現実だよ
お前の愛の無い人生が終わるのは
お前は泣いて 泣くと
涙が気持ちを鎮めてくれる
古い三文小説の頁に
お前は力なく胸をときめかせる
王子様を夢見て泣くのは止めな
お前が心に溜まった歌を歌うのに
王子様は 一緒に来てはくれなかった
霧雨が窓のガラスを濡らす時
窓の向こうに お前は涙にぬれた眼で
愛の姿を夢見るのだ
一生 恋人が無かった 可哀そうに!
何故 愛はあの娘の 慎ましい乙女の庭に来て
花の歳月(ころ)を 元気づけてやらなかったのか?
俺も幻滅を積み重ねて
お前と同じ 暗い生活(くらし)をしている
苦しみを忘れさせてくれるような
優しい愛撫を受けることも無しに!
邦訳:大澤 寛
Truncar : 削除する、 挫折させる、 刈り取る・切り取る truncar la vida = 殺す
Novelón : 安っぽい・価値の無い小説、三文小説
Consumido/a : 衰弱した・やつれた
Aguardar : 待つ= esperar, 待ち受ける、 猶予を与える・期限を延ばす
Jornada : ここでは“生涯・一生”の意味
Templar : 基本は“和らげる・緩和する・静める・宥める” 抑制する、
薄める・割る = templar wisky con agua
酒が効き始める Con tres copas ya está templado (三杯でご機嫌になっている)
Rimero : 山積み・山積みの状態、 本や紙などの山
Desengaño : 1.(迷いや騙されている状態からの)目覚め・悟り・気付き
2.幻滅・失望・落胆
3.(複数形で) (苦い経験から得た)教訓
Cruz : ここでは“苦痛・苦難、受難”の意