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匿名
無効

「Nostalgias」(郷愁)1935
Letra: Enrique Cadícamo (1900-99)
Música : Juan Carlos Cobián (1896-1953)

俺は心を酔わせたい 
狂った愛を消すために
過剰(よぶん)な愛は 苦しみだから
ここへ来たのはそのためだ
古い昔の唇付けを 
別の唇に埋めて 消すために
あいつの愛が ひとときの花だったなら
この惨い取り憑かれた不安な気持ち*が      *obstinación は“強迫観念”だがそのままでは訳にならない
何故 いつまでも俺に着いて来るのだ
二人のために乾杯したい
俺のしつこい思いを忘れるために
そして 再たあいつを強く思い出すために

思い出すぜ
あいつの狂った笑いを聴くのを
あいつの火のような喘ぎを
俺の口元に感じるのを

辛いことだぜ
捨てられたことを感じるのは
他の男があいつの傍に居て
すぐに、、、すぐに愛を語らうと思うと

仲間よ!
俺は へりくだってあいつに懇願(たのん)だり
あいつのせいで泣いたりはしたくない
もうこれ以上生きて行けないなどとは
あいつに言いたくない
俺は悲しく孤独(ひとり)で 俺の青春の薔薇が
枯れ落ちるのを眺めよう

バンドネオンよ お前の暗いタンゴを弾いてくれ
多分お前も 似たようなセンチメタルな愛に
傷ついているのだろう 
泣けよ 操り人形みたいな俺の心
独りで 悲しく この夜に
この暗い 星の無い夜に

グラスの酒が慰めになるのなら
俺は眠れずにここにいて 俺の
眠れぬ悩みを 一息に飲み下そう
俺は心を酔わせたい そしたらその後で
壊れた愛に乾杯出来るだろう

邦訳:大澤 寛