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「No aflojés」 (1933) (気を落とすなよ)
Letra : Mario Battistella (1893-1968)
Música : Pedro Maffia (1900-67) + Sebastián Piana (1903-94)
お前は 皆の中でも一番出来る男*だった *púa : persona sutil, astuta y taimada
俺は考えた 世間がどんな手段(て)で *ganzúa: (ス) ピッキング=錠前を開ける道具、
お前の評判を落とした*のかと 泥棒、他人の秘密を巧みに引き出す人
お前が居なくなって 行きつけのバー*では *piantar : ここでは=quitar, sacar, arrancar
酒の棚の趣味が変わった *borrachería : bar frecuentado por borrachos
あの頃の仲間よ
俺は嘆きのタンゴになって
お前の格好よさ*を真似て歩こう *pintón : que tiene pinta, elegante
お前と同じ悩みを悩もう
お前は踊りの王様だった
ラウラの店でも ラ・バスカでも
考えてみたか いい女たち*が *churrasca : mujer hermosa, apetecible
お前の後を追ってどんな夢を見ていたか
誰もが呟きを洩らしたものだ
お前が格好良く靴音を立てるのは
Yuyoの花みたいだったな
いつも人の心を酔わせるような
嫌な時代*が お前をゴミ扱いした *maula:(単・複同形) miedoso, cobarde (muy despectivo)
お前の街区(まち)の通りを
アスファルトで塗装(ぬ)る時に
俺はそれほど腹を立てたいわけじゃない* *tomar (se) pecho a ~ = ~に固執-執心する、腹を立てる
だけど あっていいのか 今頃
そんな馬鹿なことがまかり通って* *tallar : destacarse, predominar en medio de otros
いい雄(おとこ)だったよ あの頃のお前は // dominar, imponerse a otros
俺は淋しく*お前に話しかける *desconsolado : 沈んだ、悲しげな
お前の気持ちの奥に
人生の最後の曲がり角を回る気持ち**を吐きだすのだから
**この部分は、競馬用語の volcar el codo (最終コーナーを回ってゴールまでの直線に入ること)にひっかけた俗語的な表現で “歳を取ったこと” “人生の末期に差し掛かっていること” を言うのだろう
邦訳:大澤 寛