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「Mis amigos de ayer」 (1945) (昔の仲間たち)
Letra : José María Contursi (1911-72)
Música : Francisco Lomuto (1893-1950)
今夜俺は 思い出に浸ってぼんやりしたい
この場所のものごとが持つ 濃い じわっと来る冷たさの中で
時が経ち変わってしまった古い通りをうろつきたい
そして 街区(まち)の忘れられた敷石の中に身を沈めたい
星たちも 藤の花の匂いのするゼラニウム色の町角も
驚いて俺を見つめる
多分俺は 年老いて物憂げで だらしなく見えるのだ
この熱い思いが 両の眼から流れるから
何処に居るんだ 俺の仲間たちは
俺の昔の仲間たちは?
俺が小悪魔みたいにやって来て泣くのを
帰って来て泣くのを あいつらに見られたらどうする!
あいつらは消えちまったのか?
多分 灯りも 決まった行く先も 信じることもない何処かへ
違う道に
俺もまた沈んだ
俺が 小悪魔みたいにやって来て泣くのを
昔の仲間たちに見られたらどうする!
何のために今 時が運び去ったものに泣くんだ?
俺の愛が死んでいるように 俺の過去が死んでいるのに
声がひとつ 俺の耳に忘れた歌を歌って聴かせる
そして匂う夜は 全てが歌になる
通りも 星たちも 藤の花の匂いのするゼラニウム色の町角も
俺を悲しくさせる
俺は ずっと年老いて物憂げで ずっとだらしなくなっているんだ
そして 俺の想いは涙になって 両の眼から流れる!
邦訳:大澤 寛