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返信先: 大澤寛のタンゴ訳詞集

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匿名
無効

「Mi barrio tenía cosas」(俺の町にあったもの)
Letra : Juan Bernardo Tiggi (1911-78)   Música : Pedro Noda (1901-67)

俺はタバコを吸っている
コオロギがしきりに鳴いている
その退屈な声の響きが
俺に昔を思い出させる
俺が若くて ガライ*とパボン*の間の
ポソス*という通りに住んでいた頃を
俺の町よ 出来ることなら
昔のお前に 今会いたいものだな
慎ましくて綺麗で歌の好きだった
*ガライ=Garay *パボン=Pavón *ポソス=Pozos すべて通りの名前
俺の町には 今はもう無くて
俺がどうしても忘れられない
様々(いろん)なものがあった
お袋やマリア・ロサ
あいつとは結婚するつもりだった
セントロ* には部屋を借りてあった
ラバージェ*とパラナ-*通りの間に
俺の町には
俺がどうしても忘れられない
色んなものがあった
*セントロ=centro 中心街・街中・旧市街などをいう
  *ラバージェ=Lavalle も パラナー=Paraná も通りの名前
俺はタバコを吸っている
もうコオロギは鳴かない
二十年が過ぎたのだ
俺の町で 俺は他所者
あの古い敷石を踏んで
マリア・ロサは去って行った
或る午後に 別れに向かって
俺の町よ 出来ることなら
敷石道に 書きたいものだ
お前は俺の心の中にいると                  
邦訳:大澤 寛