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返信先: 大澤寛のタンゴ訳詞集

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匿名
無効

「La última curda」 (最後の酔い)(1956)
Letra : Cátulo Castillo (1906-75) Música : Aníbal Troilo (1907-75)

バンドネオンよ お前は俺の心を
しわがれた底意地の悪い呪いの言葉で傷つける
お前のラム酒のような涙は 俺を連れてゆく
泥の跳ね上がる 深い心の奥まで
判ってる もう言うな お前が正しいんだ
人生なんて馬鹿げた傷跡なんだ
何もかもあんなにはかなく消えてしまう
俺の告白なんて酒の酔いでしかないんだ

お前の罪を話せ お前の不幸を語れよ
俺を傷つけた苦しみが判らないか?
あっさり話そうじゃないか 
あの終わってしまった恋を
もう忘れたことのかけらみたいに
判ってるよ お前は俺には害になるんだ
判ってるよ 俺は飲んでぐだぐだ言って
お前の気持ちを傷つけてる
だけどそれは バンドネオンよ 
酔わせてくれる酒を求めて
震える昔の恋なんだ
酔いはいつかは醒める 
心にカーテンを下ろすように

お前のゆっくりした弾き方のぼやきは
小出しにして来るなあ 思い出と嫌な気分を少しずつ
お前の酒には悪酔いするぜ 最後の酔いがまわるときに
左手が牛の群れを追い払う
窓を閉めてくれよ 夢の中の足の遅いカタツムリが
日に焼けてしまうじゃないか
判らないか? 俺はアルコールを追いかけて
いつも灰色の忘れられた国から来たんだぜ

邦訳;大澤 寛