LAST TANGOライブを聴く(2024年4月29日@雑司ヶ谷「エル・チョクロ」)

齋藤 冨士郎

雑司ヶ谷の「エル・チョクロ」でLAST TANGOのライブを久し振りに聴いた(2024年4月29日)。前回聴いたのはコロナ禍の前だったから、かなり前になる。この楽団(というよりはグループといった方が合っていると思うが)は2011年結成というからすでに13年間同じメンバーで活躍していることになる。こういう長寿楽団は1950年代までは数多くあったけれども、現在では世界的に珍しくなった。日本では福岡市に拠点を持つTrio Los Fandangosが二十数年の長寿命であるが、それに次ぐ存在である。これは成増のNyarangoというミュージック・バー(私は行ったことは無いが)を安定的な活動拠点としていることに依るのであろう。

グループのメンバー構成からして伝統的なタンゴよりもモダンな、そしてオリジナル作品やフォルクローレを交えたプログラムが向いているのは当然で、この日も「Malena」、「Nada」、「La puñalada」のような有名曲は混じってものの中心はピアソラ作品とオリジナル作品、それにフォルクローレであった。しかしそれで違和感を与えないところがよい。特に印象に残ったのは田ノ岡三郎のアコーディオンで、その大音量とテクニックに圧倒された。確かに音色はバンドネオンとは異なるが、何の遜色も感じなかった。そして田ノ岡、西村、江森の3人を柴田奈穂の力強いバイオリンがリードした。彼女のバイオリンは決してアカデミックなタイプではないが、タンゴにはそれでよいのだ。私は秘かに彼女に「女エドガルド・ドナート」というニックネームをつけているが、それが見当違いではないと言わせるような演奏であった。

当方も高齢となり、そういつまでもライブに足は運べないと思うが、次の機会に間に合えば幸いである。

One thought on “LAST TANGOライブを聴く(2024年4月29日@雑司ヶ谷「エル・チョクロ」)

  1. 柴田奈穂さんのお名前の漢字を誤って記載していたので修正しました。大変失礼しました。

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