SEXTETO TANGUERO を聴く

SEXTETO TANGUERO を聴く

 

2019年3月19日雑司ヶ谷の「エル・チョクロ」で“SEXTETO TANGUERO”という六重奏団の初ライブが開催された。メンバーは全員オルケスタ・タンゴ・ワセダのOB/OGで、既に卒業生となっている人と、間もなく卒業して社会人となる人との混成で、一種の卒業公演の雰囲気でもあった。

因みにメンバーは:

バイオリン: 濱川千紘(事実上このセステートのバンマス)と

小山那総(前年度タンゴ・ワセダのバンマス)

バンドネオン:秦野貴幸(自らバンドネオンの修理修復を手掛けている大先輩)と

伊藤美紀(先年度タンゴ・ワセダのマネジャー)

ピアノ:                 守田春菜(既に四谷のシン・ルンボで毎月プロとしてピアノを演奏している)

コントラバス:宮崎有紀(先年度タンゴ・ワセダの幹事長)

の6名で、謂わば身内であるから当然とも言えるが息の合ったアンサンブルを披露してくれた。

冒頭にMCの濱川千紘が「今日はお集まりの皆さんには多少馴染みの少ない曲目もありますが、それも我々の練習の成果と思って聴いて下さい...」と断りを入れて第1曲目エドアルド・ロビラの“EL ENGOBBIAO”の力強い演奏に入った。「馴染みのない曲」とは言っても、2曲目エンリケ・デルフィノの“RE FA SI”あたりは誰しも知っている名曲であったし、また第2部でアストル:ピアソラのMILONGA DEL ÁNGEL や“DECARÍSIMO” を取り上げているところなど、矢張りタンゴ・ワセダの面目躍如たる処かと感じた次第であった。

多分当日の来客は日本タンゴ・アカデミーの飯塚久夫会長夫妻のようにベテランのタンゲーロも居れば、ワセダ絡みの縁で来場していた平素タンゴとは左程関わりの少ない人も多かったようで、そうした人たちにしてみればタンゴの楽曲に「馴染みのない」曲もあったのかも知れない。そういえば、第2部の途中でバンドネオンの伊藤美紀が「バンドネオンという楽器」の説明をするに当たり、「今日おいでの方でバンドネオンをご覧になったことのない方は?」と問われて何人か手を挙げていた人も居り、タンゴの演奏会に来る人は誰でもバンドネオンのことは知っているもの、と思い込んでいた私達に考えを一新する必要があることを教えられた処であった。

演奏メンバーの中には既に夏休みを利用してブエノスアイレスに行って「現地修行」してきた者や、濱川千紘や宮崎有紀のように現職のプロの演奏家に直接師事している者もおり、到底学生バンド出身のアマチュアなどといった観方の出来るものではなかった。

それにしては当日ミュージック・チャージが一般1500円、学生1000円という極安ライブで何か申し訳ないような気がしたが、当日は「エル・チョクロ」伊藤店主の肝煎りで、全てタンゴ・ワセダにお任せとなっていたようで聴きに行った方が大変得をした訳で、「これからもこうした催しをちょくちょくやって頂ければ...」などと勝手なことを放言したが、チャージの額よりも(ということは通常料金でも納得)折角4年間腕を磨いてきた実力を、大学は卒業しても、タンゴの演奏は卒業せずに続けて、なお一層磨きを掛けて披露して貰いたいものと思っている。2018年10月にタンゴ・ワセダの現役とOB/OG合同のコンサートが目黒のパーシモンホールで開催されたが、あのような催しができるのも卒業後引き続き演奏力を維持してきた人たちの努力があればこそと思っている。

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