大澤寛のタンゴ訳詞集

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  • 大澤 寛
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    「Verdemar」
    Letra : José María Contursi (1911-72)
    Música : Carlos Di Sarli (1903-60)

    Verdemar*… Verdemar…               *海緑色・シーグリーン  女性の名前  呼びかけているもの
    君の瞳は 沈黙で満たされて
    私は君を失った Verdemar
    君の手は血の気を失くし 唇は色を失くした
    君の心には 夜の冷たさが
    君はいない 君はもういない
    君の瞳の輝きは消えた

    思いがけずに君に会い 楽しい日々だった
    私の苦しみの時を忘れて
    しかしそれから 運命が君に襲いかかった
    君に唇付けした私の唇は 冷たさで死にそうだった
    そして今 私は何処へ向かおう
    夜明けの無い道が 再た私を迷わせる

    戻って来てくれ… Verdemar…
    君が帰って来る気がするのだ
    帰って来てくれ 帰って来てくれ
    白い道を通って 君の魂(こころ)が帰って来る
    疲れた私を探して ここで君は私を見付けるのだ
    君はいない 君はもういない
    君の瞳の輝きは消えた

    邦訳:大澤 寛


    大澤 寛
    参加者

    「Vete de mí」(俺から離れて行ってくれ)
    Letra :Homero Expósito (1918-87)
    Música : Virgilio Expósito (1924-97)

    お前は 
    楽しさと若さで何もかも包んでしまう 
    夜の光の影に幽霊を見て 青い匂いのする歌を聴く 
    俺から離れて行ってくれ
    花を咲かせないで萎れてゆく薔薇の枯れた枝を
    見ようとして立ち止まらないでくれ
    愛の景色を眺めてくれ
    それが 夢見ることと愛することの理由なのだから

    俺は
    邪悪なものの全てを敵にして 闘って来た
    俺の手は 握り締めることで力尽きていて
    お前を逃がさないように しっかり捕まえることも出来ない
    俺から離れて行ってくれ

    お前が俺を忘れるときが来たら 俺は 
    お前の人生に現れた 昔の霧のなかの 一番良いものになろう
    俺たちが思い出せないあの詩が 一番すぐれたものであるように

    邦訳:大澤 寛


    大澤 寛
    参加者

    「Vida mía」 (恋人よ)
    Letra : Emilio Fresedo (1893-74)
    Música : Osvaldo Fresedo (1897-1984)

    太陽に照らされて輝く道は いつも変わらない
    たとえ運命が 俺を苦しめるために
    その道を より遠くするように思えても

    そして アザミの育つこの緑の大地は
    遠くで空に届き 俺の愛の傍にある
    そして時々 俺が羨むような塒になる

    恋人よ
    離れていると愛は募る
    恋人よ
    俺が帰って来ることを思ってくれ
    お前の唇は 金では買えない
    だからこそ お前を好きなのだ
    恋人よ
    俺の息が切れるほど
    幸せを撫でる時が近づいて
    お前は私の命
    お前を虜にして 俺の許に連れて来たい
    そうすることで 俺の孤独を圧し殺したい

    太陽の色は薄れて 現れ始める星たちは
    その輝きを全て 空に与えるように見える
    そして太陽が逃げるように沈む間に
    少しずつ 星の瞬きが鋭さを増す
    俺が見ているあの星たちの輝きのひとつは
    あの娘(こ)が灯したものだ

    邦訳:大澤 寛

    流行歌「君こそわが命」(唄:水原弘) 「恋人よ」(唄:五輪まゆみ)のどちらかを邦訳のタイトルに借用しようと考えた。
    とりあえず「恋人よ」こしたが、この歌は男歌なので前者が適当なのかもしれない。


    大澤 寛
    参加者

    「Vieja cumparsita」(懐かしいクンパルシータ)
    Letra : Ivo Peray (1893-1959)
    Música : Francisco Canaro (1888-1964)

    河は流れる 歌いつつ
    遠くから風が運ぶのは
    香りと 夜と 静けさだ
    とても甘いタンゴが聞こえ
    俺はあの愛を思い出す
    真実だった あの愛を

    そうだなあ
    懐かしいクンパルシータよ
    そうだなあ
    お前の歌が聞こえても
    あの娘(こ)は決して戻らない
    あの娘(こ)の明るく澄んだ目も
    やがて涙で曇るだろう
    俺の目と同じように

    そうだなあ
    懐かしいクンパルシータよ
    お前なら 
    あの娘(こ)の許(ところ)へ出かけて行って
    俺があの娘(こ)を忘れていないと
    告げてくれるだろう
    そうだなあ
    俺の懐かしいタンゴよ

    邦訳:大澤 寛

    Ivo Peray と Francisco Canaro というbinomio(コンビ)。こうした罪の無い(?)軽い曲をどれだけ作ったことだろう。


    大澤 寛
    参加者

    「Vieja Recova」(昔のRecova界隈)(注)
    Letra : Enrique Cadícamo (1900-99)
    Música : Rodolfo Sciammarella* (1907-92)

                *Sciamarella と綴られることも多い。Horacio Ferrer 「El libro del tango」Horacio Salas「El tango, una guía definitiva」など。

    (注)よくタンゴの歌詞に出てくるla Recova, la Vieja Recova の Recova とは、スペイン植民地時代の初代ラ・プラタ副王Pedro de Ceballos(在位1776-78)の末期から2代目副王 Juan José de Vertiz y Salcedo(在位1778-84)の初期に立案され、長い検討・準備期間を経てようやく1802年に8代目副王である Joaquín del Pino(在位1801-04)が認可して建築が開始されたという2階建てのイスラム風の建物とその界隈のことを言う。Recova は大文字で表記されることが多い。

    建物は1階が日用品店(いわゆるabasto)、2階が住居。場所は現在のPlaza de Mayo 通りのコロン劇場 (Teatro Colón) の近くだった。
     老朽化が進んだことと、1816年独立後は植民地時代の名残が嫌われたこともあり、長かった建築準備期間に較べて、取り壊しは短時日で行われた。検討・準備に26年間、1802年に9ヶ月かけて竣工、その後83年続いた寿命を1885年に僅か5日間で取り壊されたという。このRecova によってPlaza de Mayo が二分されて La Plazoleta del Fuerte と Plaza Victoria となった。これら二つの広場は Recova のアーケードで繋がれていた。1885年のRecova 取り壊しによって二つの広場が再び合体して現在のPlaza de Mayo となる。

    先だっての晩 俺は酔ったように歩いていた
    歩道を伝いながら 大股で 
    独り寂しく ゆっくりと そのときZurda*の店の傍で
    ふと感じた痛みの穂先 俺の心を切り刻もうとする裏切りの痛み
    物乞いの女がひとり近寄ってきた 
    襤褸を纏って不幸を嘆きながら
    その老いた女の物乞いに 小銭を渡そうとしたとき
    その女が恥じて手で顔を覆うのが見えた
    *la Zurda というのは多分酒場(の女主人)の名前だろう

    昔のRecova
    その女が暮らした街の角
    そこで出会ったのだ 独りぼっちで 身を持ち崩したその女に
    絵に描いたような運命の出会い
    不幸が
    その女に手ひどいカードを切って
    お手玉遊びも もう終わり
    老いに痛めつけられた その女
    “昔のRecovaよ 判るか 俺がどれほど苦しんだか!”

    俺は その女が若い頃 夢を紡いでいたのを知っている
    贅沢な暮らしと シャンパンに酔う夢を
    “可哀相に!”その女の行く末は誰に判るだろう
    今は惨めな施しで生きるのを恥じている
    昔のRecovaよ 俺はその女の傍から離れた “考えても見てくれ!"
    昔仲良くした女からだ “何という苦しみだったか!”
    昨日まで派手だったものが 今日は只のぼろ屑になっている
    しつこく泪が出るのを 俺は隠せなかった

    邦訳:大澤 寛


    大澤 寛
    参加者

    「Viejo baldío」 (古い空き地)
    Letra : Víctor Lamanna (1912-n/d)
    Música : Roberto Grela ()1913-92

    町にあった空き地 あの遠くに離れた俺の下町の
    失くした人生のひと断片(かけら)
    空き地の周辺(まわり)にあったのは 古い小さな家並みと
    町角 沼地 そしてあの柳の木の群れ
    町にあった空き地 幼い頃のひと断片(かけら)
    空を飛ぶことを夢見た悪戯(わるがき)仲間(たち)
    昔の遊びが一杯 遠い夢が一杯
    時が流れて あいつらは何処に居るのだろう?

    月が縁取りをしたあの町の想い出は
    水溜りに浮かんだ光沢(つや)のある目撃者
    夜通し灯がついていたあの古い街灯は
    絹とキャラコの恋を綯い交ぜにした
    タンゴを次々と流していた空き地の回転木馬みたいに
    俺の運はいつも当たらない指輪探し*    *sortija = 誰が手に指輪を持っているかを当てる遊び
    そして人生の曲がり角をうろつく碌でなしの俺は
    今日傷ついた*心で帰って来た *cachuzo/a = ルンファルドで“傷ついた・壊れた・老いた”

    町にあった空き地 俺の瞼が濡れて来る
    虚ろな心が苦しみで締め付けられる
    想い出の楽しさを運んで来る
    古い時間の煙に包まれて
    町にあった空き地 古い仲間たち
    人生は俺たちを何処へ連れて行きたかったのか?
    叫び声も ぼんやりと見えた顔も 消えてしまう
    何と孤独な俺だろう 空き地よ お前も変わったなあ

    邦訳:大澤 寛


    大澤 寛
    参加者

    「Viejo baldío」 (古い空き地)
    Letra : Víctor Lamanna (1912-n/d)
    Música : Roberto Grela ()1913-92

    町にあった空き地 あの遠くに離れた俺の下町の
    失くした人生のひと断片(かけら)
    空き地の周辺(まわり)にあったのは 古い小さな家並みと
    町角 沼地 そしてあの柳の木の群れ
    町にあった空き地 幼い頃のひと断片(かけら)
    空を飛ぶことを夢見た悪戯(わるがき)仲間(たち)
    昔の遊びが一杯 遠い夢が一杯
    時が流れて あいつらは何処に居るのだろう?

    月が縁取りをしたあの町の想い出は
    水溜りに浮かんだ光沢(つや)のある目撃者
    夜通し灯がついていたあの古い街灯は
    絹とキャラコの恋を綯い交ぜにした
    タンゴを次々と流していた空き地の回転木馬みたいに
    俺の運はいつも当たらない指輪探し*    *sortija = 誰が手に指輪を持っているかを当てる遊び
    そして人生の曲がり角をうろつく碌でなしの俺は
    今日傷ついた*心で帰って来た *cachuzo/a = ルンファルドで“傷ついた・壊れた・老いた”

    町にあった空き地 俺の瞼が濡れて来る
    虚ろな心が苦しみで締め付けられる
    想い出の楽しさを運んで来る
    古い時間の煙に包まれて
    町にあった空き地 古い仲間たち
    人生は俺たちを何処へ連れて行きたかったのか?
    叫び声も ぼんやりと見えた顔も 消えてしまう
    何と孤独な俺だろう 空き地よ お前も変わったなあ

    邦訳:大澤 寛
    「Viejo ciego」(盲目の老人)(1925)

    Letra :Homero Manzi (1907-51)
    Música : Cátulo Castillo (1906-75) + Sebastián Piana (1903-94)

    世話役の子供に手を引かれて 夜毎お前はやって来る 
    古いバイオリンの嘆きを道連れに お前の痩せ馬みたいな奇妙(おかし)な影が
    煙の中で操り人形みたいに見える

    几帳面にやって来るなあ そんなに年をとって目も見えなくなって。
    お前の終わりの無い歌が聞こえて来ると 人の心には古い思い出が浮かび
    酒には少し苦さが混ざるのだ

    いつかお前の愚痴っぽいタンゴが消え去る日
    安宿の灯りは濃い煙に包まれ 汚れたカードには不思議な印が浮かび
    がさつな心の持ち主たちも 少しは気持ちを動かされるだろう
    いつかお前のバイオリンが聴こえなくなる日
    お前がとある家の門に屍として横たわるとき
    もう唄わなくなった吟遊詩人たちは 
    偽りの無い気持ちで小唄をひとつ捧げて 
    お前の葬式(とむらい)を出すだろう

    お前はあの気狂いカリエゴの詩みたいだ
    お前はお前のあのバイオリンの心みたいだ
    几帳面にやって来るなあ そんなに年をとって目も見えなくなって
    嘆きを一杯抱えて暗い気持ちを一杯抱えて
    お前のバイオリンの音色を聴いていると
    昔のあの娘の思い出が押し寄せてくるぜ

    どうだい爺さん! 
    ゆっくりしたタンゴをひとつ演ってくれよ
    ひどくゆっくりで ひどく悲しい 
    泣きたくなるようなやつをな!
    邦訳:大澤 寛


    大澤 寛
    参加者

    「Viejo rincón」(1925)(古い町の片隅)
    Letra : Roberto Cayol (1887-1927)         
    Música : Raúl de los Hoyos (1898-1989)

    俺が初めてタンゴを知った頃の古い町の片隅
    そこであいつが俺を好きだと告げた
    今も俺の心に残る幾夜もの狂ったような騒ぎを
    隠してくれた部屋
    ああ いかがわしいヒモたちがいる横町
    あいつらも昔はバンドネオンを弾いていたな
    今は何処にある? 俺の隠れ家は
    俺の愛と あいつの裏切りの証人(あかし)は

    今 俺は捨てた街区(まち)へ戻って来て
    ひと眼見て悲しくなる
    優しいお袋はもう居ない
    俺の家は廃墟(こわれて) 何もかも無くなった
    気の狂った俺は
    あいつに人生の全てを捧げた
    神を信じる心もボロボロになった
    そして只 廃墟(こわれたもの)が俺の中で息づいている

    タンゴが一つ 浮き沈みして
    ひとつの愛に命を与える
    タンゴが一つ 浮き沈みして
    俺たちは裏切られる

    お前が俺に顔を埋めて
    sentada を踊る時 俺は感じる
    タンゴの情熱の中で
    俺の血が燃え上がって行くのを           
    いかがわしいヒモたちがいる古い町の片隅
    あいつらも昔はバンドネオンを弾いていたな
    今は何処にある? 俺の隠れ家は
    俺が身を滅ぼしたあの貧しい小部屋は
    バンドネオンから歌へ
    酒場の舞台でバイオリンが響く
    そして あの角を曲がったところの小部屋では
    ヒモたちが 誘いかけるようなタンゴをうまく使っている
    俺は何のために夢を見るのか? 何のために昔の恋の数々のこの横町に戻って来たのか
    あの女たちの性悪さを 笑い声を 愛撫を 気まぐれな愛を 思い出すためか

    タンゴが一つ 浮き沈みして
    ひとつの愛に命を与える
    タンゴが一つ 浮き沈みして
    俺たちは裏切られる

    邦訳:大澤 寛


    大澤 寛
    参加者

    「Viejo smoking」 (古いタキシード)
    Letra : Celedonio Esteban Flores (1896-1947)                  
    Música : Guillermo Barbieri (1894-1935)

    よく見てくれよ 部屋が寂れて行くのを
    クッションのないベッドが威張っている
    見ろよ この哀れな男がどんなに落ちぶれたかを
    苦しみ 貧しく 警察(さつ)の犬みたいに痩せて
    少しずつ 何もかも 質屋に運んだ
    貧乏暮しが続いて
    プールに飛び込んで泳ぎ始めるしかなかった*      *単なる飛び込み自殺の意味なのか不明
    お前だけが残っている 俺にはお前が
    神様に愛される夢の一つなんだ 
    神様は俺の眼を覚ましに来てくれはしないけれど

    俺の昔の 古いタキシードよ 
    お前を身に着けて 俺は目立ったものだよ
    綺麗な女が幾人 お前の襟に涙を流したことか
    艶のあるお前の襟 女たちの気持ちに火を付けて
    何処へ行っても 俺の評判を立ててくれたようだな
    ジゴロとしての俺の

    俺は 自分が惨めなのが判っても悲しんだりしない
    華やかだった昔を 思い出して嘆いたりもしない
    無駄に費った金や年月を 悔んだりはしない
    だけど泣けて来るよ 孤独(ひとり)で 友も無く 恋も無く
    助けの手を差し延べられることもなく
    余生を楽しませてくれる女もいない
    いずれ近いうちに お前を枕にして
    ベッドに身を投げて そのまま俺は死んでしまおう

    古いタキシードよ 飛びきり綺麗な女が 
    幾度 化粧と唇紅で お前の襟を汚したことか
    俺が冷たくすると どんなに泣いてお前を濡らしたことか
    男たちが どんなに俺の評判を羨ましがったことか
    ジゴロとしての俺の           邦訳:大澤 寛

    Campanear : 鐘を鳴らす・連打する    (ラ米)見る・見張る
    Cotorro : (ラ米)棲み家・塒    del espnañol “cotarro” = asilo, o albergue nocturno para pobres y vagabundos 巡礼者・放浪者のための簡易宿泊所
    Compadrear : Tener actitudes de compadre // alardear, fanfarronear, jactarse,
    darse corte
    colchón : マットレス・クッション・敷布団
    manyar : (ス)食べる、 見抜く
           (ル)comer // conocer // saber // mirar // adivinar una intención
    Perro de botón : botón = 警官・お巡り
    Empeño : (ラ米)質屋
    Pileta : (ラ米)水泳プール
          (l.p.)”darse juego de pileta” : Padecer una seguidilla de dificultades, problemas económicas, fracasos, etc “tirase a la pileta”
          (ス)”dar juego a ~” : ~ に混乱を起こす
    Papusa : (ル)mujer Hermosa y, a la vez, agradable, graciosa
    Solapa : (服の)襟、  口実・ごまかし
    Tallar : (l.p.)destacarse // dominar // tener poder de decisión
    Garaba : (ル)mujer joven, muchacha // amante, querida
    Encandilar : 目をくらませる・幻惑する、 (欲望などを)刺激する・燃え上がらせる、 火をかき立てる
    Sentar (v.i.) : 似合う・相応しい、 (サイズなどが)合う・調和する・釣り合いが取れる
              気に入る・満足する
    Gigoló : フランス語のgigolo のまま  発音はygoló
    Vento : (ル)dinero
    Papa : (l.p.)atrayente, hermoso, excelente una mujer papa
    Estuque : (l.p.) maquillaje
    Carmín : 洋紅色・深紅、 (染料)カーマインレッド、 口紅  barra de carmín / carmín de labios
    Desplante : (ダンス・フェンシングなどで)姿勢の悪さ・構えの乱れ、  
    (尊大な・傲慢な)態度・横柄な言葉


    大澤 寛
    参加者

    「Volver」(帰郷)
    Letra : Alfredo Le Pera (1904-35)
    Música : Carlos Gardel (1890-1935)

    俺が帰る道を 
    ずっと教えてくれている
    遠くの星の瞬きが見える
    俺が過ごした苦しみの時を
    ほの白く照らした
    あの同じ星たちだ
    俺は帰りたくなかったのだが
    人はいつも 初めて恋をした場所に帰るものだ
    静かな街角 からかう様な星たちの眼差しの下で
    木魂が俺に話してくれた
    “あの娘(こ)の命はお前のもの あの娘(こ)の愛はお前のもの”
    あの星たちは今 俺が帰って来るのを 冷たく眺めている

    俺は帰って来る
    俺の額は汚れて 
    時が経って
    髪は白くなったけれど
    俺は感じる
    人生なんてあっという間だ
    20年の歳月なんて何でもない
    暗闇の中に
    お前を探し お前の名を呼んで彷徨(さまよ)う
    俺の眼差しの熱さを
    俺は生きる
    再た俺を泣かせる
    甘い想い出に
    縋りついて

    俺は怖い 
    過去に出会うのが
    俺の人生に再た立ち向かって来る過去に
    俺は夜が怖い
    想い出に溢れて
    俺の眠りを縛り付ける夜が
    しかし 立ち去る旅人も
    遅かれ早かれ 歩みを止めるものだ
    そして 何もかも壊してしまう忘却が
    俺の昔の夢を殺してしまったとしても
    俺はささやかな希望を隠し持っている
    それが俺の心の糧(かて)の全てなのだ

    邦訳:大澤 寛


    大澤 寛
    参加者

    「Volvió una noche」(或る晩 戻って来た女)
    Letra : Alfredo Le Pera (1904-35)
    Música : Carlos Gardel (1890-1935)

    あいつが或る晩 帰って来た 俺は待ってはいなかった
    とても不安げな顔をしていたので
    俺には出来なかった あいつに思い出させることが
    あいつの裏切りと残酷さを
    あいつは俺におとなしく言った “もし許してくれるなら
    昔の時間が帰って来るわ 二人の暮らしに春が来て
    何もかもが二人に微笑んでくれる”

    それは嘘だ 嘘だと 俺はあいつに言いたかった
    時は過ぎたらもう戻りはしない
    俺の愛も同じことだ お前に繋がれていたけれど
    今では もう蘇ることも無い
    古い昔の亡霊にしか過ぎない
    俺は苦しみを口に出さずに あいつを憐れんだ
    あいつは 青い大きな眼を見開いて
    俺の深い悲しみをすぐに読みとった
    そして打ちひしがれた女の泣き顔で
    “これが人生ね”と言った それきりあいつには会ってない

    あの晩 悲しい 光りの無い眼をして
    あいつは戻って来た 俺は決して忘れない
    あいつのあの亡霊を恐れたことを
    あの若さに狂っていた頃の
    あいつは静かに出て行った 恨みごとも言わずに
    俺は鏡を探した 自分の顔が見たかった
    額には年月が刻まれていた
    あいつもそれは憐れんでくれた

    邦訳:大澤 寛

    男が別れた女に再会するというジャンルだが、作詞がAlfredo Le Pera だけに映画のひとこまを観るような趣がある。
    これと逆の情景が浮かぶのが 「Por la vuelta」 だろう。


    大澤 寛
    参加者

    「Vuelvo al Sur」(南へ帰る)
    Letra : Fernando “Pino” Solanas (1936- )
    Música : Ástor Piazzolla (1924-92)

    私は南へ帰ります
    人がいつも 恋人の胸に帰るように
    南よ あなたに帰ります
    願いも不安も引き連れて

    私は南を抱いている
    まるで心の行方のように
    私は南の生まれです
    バンドネオンの呼吸(いき)のように

    私は南を夢に見る
    逆さまの空に 大きな月の出る
    私は南を探します
    果てしない時と その後を

    私は南を愛します
    そこに住む良い人々と その誇り
    私は南を感じます
    慣れたあなたの肌のように

    あなたが好きよ 南
    南よ あなたが好き

    私は南へ帰ります
    人がいつも 恋人の胸に帰るように
    南よ あなたに帰ります
    願いも不安も引き連れて

    私は南を愛します
    そこに住む良い人々と その誇り
    私は南を感じます
    慣れたあなたの肌のように
    私は南へ帰ります
    私は南を抱いている
    あなたが好きよ 南
    南よ あなたが好き

    邦訳:大澤 寛


    大澤 寛
    参加者

    「Whisky」(ウイスキー)
    Letra y Música : Héctor Marcó (1906-87)

    判ってるぜ あの娘(こ)を思い出して泣いているな
    お前は恋狂いだ あの娘がお前にしたみたいな初(うぶ)で甘い唇付けはもうない
    判ってるぜ お前は馬鹿みたいに 心を傷めつけている
    判るんだ 俺だってお前と同じ悩みを 心にしまって生きて来たんだ

    おい臆病者 何故悩んでるんだ?
    おい臆病者 歌でも歌って生きろ
    元気を出せ 世の中はそんな生き方がしたい馬鹿ものたちを詰め込んだ車みたいなもんだ
    さあさあ あの娘が笑ってるのが判らんのか?
    この世は 泣くためにあるんじゃない
    さあさあ もう一杯ウイスキーを飲(や)れよ
    いずれにせよ死神が俺たちを狂わせるんだ

    判ってるぜ お前は部屋からあの娘の想い出を消そうとしてるな
    だけどなあ どこの隅っこにもあの娘の想い出は現れるぜ
    そしてお前の心にまた入りこむのさ
    判るんだ 俺もお前と同じようにそんな悩みを持ってるんだ
    だけどなあ それは黙ってる方がいい
    慰めにはならんのだし 俺もお前も泣くだけだからな

    邦訳:大澤 寛


    大澤 寛
    参加者

    「Y te parece todavía」 (今でもそう思うかい)
    Letra : Abel Aznar (1913-83)
    Música : Juan Carlos Howard (1912-86)

    俺の人生を粉々にして
    俺の希望を破滅へ引き摺って行きたかったのか?
    俺の愛と夢を嘆きに沈めたかったのか
    そうじゃないだろ?
    俺がお前に膝まづいて 
    こんなに苦しめないでくれと叫んで欲しかったのか?
    そして今 俺にあれほどの苦しみに眼をつむって
    何もかも忘れろと言うのか?

    お前は俺に とても酷いことをした
    俺はお前に惚れていて お前は俺を騙していた
    お前は あれほどの あれほどの酷いことを
    出来る限りの 全ての 全てのことをした
    今でも 俺がお前を許せると思ってるのか?
    お前は 俺のこれからの人生の傷跡みたいなものだ
    それ以外の何でもない

    もし俺がお前を騙して
    お前の心を屈辱で埋めて
    お前の唇から真実(ほんとう)のことだけを言わせたとしたら
    お前も俺と同じことをするんじゃないか?
    お前は黙るだろう 俺が本気だから
    俺は思ったことを叫ぶことが出来るから
    もはやお前は俺の悩みの種ではないからだ
    俺の狂った愛の対象ではないし お前の愛など欲しくないからだ

    邦訳:大澤 寛


    大澤 寛
    参加者

    「Y todavía te quiero」
    Letra : Abel Aznar (1913-83)
    Música : Luciano Leocata (1915-2012)
    (以下の邦訳はD’Arienzo の伴奏でLamarque が歌っているテキストによるもの。 女歌として訳して置いた)

    あなたを腕に抱くたびに
    あなたの瞳を見るたびに あなたの声を聴くたびに
    そして 私の壊れた人生を思う時
    あなたのためにしたことの 全ての代償(つけ)を思う時
    私は自分に訊ねるの “何故(どうして)止めないの
    そんな悩みを そんな苦しみを?”
    あなたの傍には居られない運命なのに
    “何故(どうして)この愛を胸から引き抜かないの?”

    何故(どうして)
    一度嘘ついて
    もう一度嘘ついて
    そして再た嘘つくの?

    何故(どうして)
    再たあなたを抱くの
    再たあなたに唇付けするの
    あなたは私を苦しめるのに?

    判ってるわ
    あなたの愛は心の傷
    私の人生の重荷
    そして私の身の破滅

    何故(どうして)あなたのせいで悩むの
    あなたを思う苦しみは
    そのたびに
    深くなるのに?

    そして何故(どうして)
    壊れた心で
    あなたの腕に抱かれるの
    愛してくれてないのに?

    何故(どうして)
    一度嘘ついて
    もう一度嘘ついて
    そして再た嘘つくの?

    そして何故(どうして)
    こうして 壊れた心で
    あなたの腕に抱かれるの
    愛してくれてないのに?
    邦訳:大澤 寛

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