大澤寛のタンゴ訳詞集

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  • 大澤 寛
    参加者

    「Por la huella」(轍を辿って)
    Letra : Homero Manzi (1907-51)
    Música : Antonio Sureda (1904-51)

    淋しい轍(わだち)を辿るのは
    俺の荷車 俺の唄
    空には白い綿の雲
    夜明けの光が指して来る
    そしたら俺は理由(わけ)も無く
    あなたの愛を探しに行こう
    雨が降ったら雨の中
    俺の荷車 愛する思い
    一緒に歩き続けよう

    俺のお日様何処へ行く
    優しい月*は何処へ行く
    嘆きを背負うこともなく
    悩みを運ぶこともなく
    あなたの悪い星たちも
    あなたの心の苦しみも
    来たけどすぐに立ち去った
    あの娘(こ)を想うこともなく
    幸せ求めて俺は行く
    着いてもすぐに発つのなら
    ほんにあなたは何処へ行く
    邦訳:大澤 寛

    *ここは太陽との対比なのに、なぜ月がLuna ではなくてLunar になっているのだろうか? ネイティヴに訊ねたら答えは次の2点でした。
    1) pesar と脚韻 (rima) を踏ませたのだろう  2) luna より lunar の方が優しい響きになる


    大澤 寛
    参加者

    「Por la luz que me alumbra」(私を照らす光に)
    Letra : Héctor Oviedo (n/d)                Música : Osvaldo Tarantino (1928-91)

    カルロス・ガルデル、永遠の、ダビデの詩篇の高みに昇ったひと
    あなたは あなたを不死の存在にした愛すべき人々のもの
    タンゴの町の あのキリスト降誕劇の舞台から 
    あなたの渡り鳥としての運命までの全て

    あなたがフランス人だと言うことは 私には係わりの無いこと
    私は 人生の贅沢話に飽きた流れ者
    美味い話も トランプの賭けも いかさまも知っている!
    食べるためにはお金が要ることも!

    人を騙すどんなペテンも! 作り話も!
    路面電車も郵便ポストもごちゃ混ぜにした頭陀袋!
    同じひとつの夢が私たち二人を産んだ中庭に
    あの或る秘密が隠されていることも

    あなたの幸運の星は 光りに満ちていた
    そして同じように 陽気な東方の三賢人*を                *「Chiquilín de Bachín」 の解説参照
    レバノン杉と蔦かづらのある中庭へ連れて行った
    そこは下町のベレン*の隠れ家、、、、       *belén:クリスマス時に飾るキリスト降誕の場面を表した人形一式
    あなたの瞳の瞬きは薔薇を照らし
    薔薇があなたに呉れるのは その色
    貧しい家の人の声 あなたの声の源(もと)
    そしてあなたの あの不思議な品の良さ
    成り上がりめいた不良っぽいところのある

    三賢人はもういないけれど あの祝祭(まつり)からは
    間違いの無い証(あかし)が残された それはあなたの幸運の星
    それはこの物語(はなし)の中で 私の理性を照らしてくれる
    そして今私たちは三人* 私の想い出と共に    *Gardelと、作者=歌い手と、そしてGardel の想い出
    あの中庭の蔦かづらを思い出すのは 何と心地よいことでしょう!
    そしてあなたの薔薇を 働く者の家系の母胎である薔薇を
    あなたを照らして枯れた そしてあなたの中で幸せに 清らかに
    満ち足りて生きる薔薇を! 成り上がりめいた 不良っぽい薔薇を!         邦訳:大澤 寛


    大澤 寛
    参加者

    「Por la vuelta」 (再会を祝って)
    Letra : Enrique Cadícamo (1900-99)
    Música : José Tinelli (1911-70)

    外は夜で あんなに雨が降っている
    傍に来てよと お前は言った
    今日のお前の言葉は マントのようだ
    親しみの 優しいマント
    あなたのグラスはこれよと言って注いでくれた
    一緒に飲みましょう 昔馴染みよと
    小さなシャンパングラスを挙げて
    お前は言った

    歴史は再た繰り返す
    俺の可愛い金髪の人形
    変わらない愛 変わらない雨
    変わらない 変わらない狂った希(ねが)い
    “覚えてるかい?” 丁度1年前
    俺たちは別れたのだ 泣かずに
    騒ぎもせずに 傷つくことなく
    あっさりした別れだった
    二人とも賢くて

    あなたのグラスはこれよ!そして再た
    二人は 再会を祝ってグラスを挙げた
    お前の赤い 祈るような*唇が
    華奢なバカラ・グラスを飲み干した
    そして 多分泣くのを堪(こら)えながら
    ずっと居てよと お前は言った
    外は夜で あんなに雨が降っている
    そして お前は泣き始めた
    邦訳:大澤 寛
    *Oferente : 普通の訳語は「提供する・贈る・奉納する(人)」だが、現代スペイン語辞典(白水社)の訳語「神に祈りを捧げる(人)」を採用した。
    タンゴでは珍しい男女の幸せな再会を描いたCadícamoの美しい歌詞。 対局にあるのが 「Volvió una noche」 の世界だろう。


    大澤 寛
    参加者

    「Por las calles de la vida」(1942) (人生の街角で)
    Letra y música : Enrique Cadícamo (1900-99)

    人生の街角で
    お互いを見失ったなあ お前と俺は

    誰が苦しみを忘れるだろうか
    その苦しみが 気まぐれなものでも
    誰が涙を押し殺すだろうか
    その涙が 目にあふれる時でも
    あの娘(こ)は 俺の悲しみの日々の中に居る
    あの娘は 俺が作りだす黒い夜のドラマの中に居る
    また あの娘は アルコールのグラスだけのような
    俺の暗い人生の中に居る

    人生の街角で
    お互いを見失ったなあ お前と俺は

    もうお前は 夜明けまで待つことも
    泣くこともしなくていい
    もうお前は 俺の無茶苦茶な生き方を
    恨んで苦しむこともしなくていい
    愛をこめてアイロンがけしたハンカチを
    色っぽい仕種で 俺のポケットに入れることもしなくていい
    俺が帰って来ると いつも怒りながらした口付けも
    しなくていい
    そうした事は 今のお前には無いし
    俺には お前の心が無い

    人生の街角で
    お互いを見失ったなあ お前と俺は

    誰が俺に “忘れろ!” と言うだろうか
    たとえ忘れても 心にはあの娘を抱いている
    誰が俺に “あの娘を消しちまえ!” と言うだろうか
    俺は 苦しみに包みこまれても
    決して忘れ去ることは無い
    もう 俺の命とあの娘の命は
    ひとつの結び目になっているのだ
    そして今 俺の夢は この激しい愛の墓場で
    壊れるのだ

    人生の街角で
    お互いを見失ったなあ お前と俺は

    邦訳:大澤 寛


    大澤 寛
    参加者

    「¿Por qué canto así?」 (俺がこう歌う理由(わけ))
    Letra : Celedonio Esteban Flores (1896-1947)                      
    Música : José Razzano (1887-1960)

    ガキの時分(ころ)の俺には タンゴが子守り歌だったからさ
    俺を眠りつかせるための 母親(おふくろ)の歌だった
    そして 何処かの旧い中庭の葡萄棚の下では
    バンドネオンがつぶやくのを聴いたからさ

    泣き出しそうな 見開いた 哀れな俺の眼で
    世間の無慈悲さの行列を見たからさ
    そして 俺の優しい親たちの貧しい部屋では
    貧しさが 冬の歌を歌ったからさ

    そう 俺はタンゴの中で育ったのさ
    憎しみと 悲しみと 貧しさから来る苦しみと
    母親たちの泪と 腹が減ったら 
    じっと腕を組んでいなければならない
    強い男の意地で 大人になって行ったものさ
    そう 俺はタンゴの中で育ったのさ
    タンゴは 逞しくて 強くて なにか人生みたいなものを
    なにか死ぬことみたいなものを 持っているからさ

    俺は 幸運を求めてめくら滅法に歩き廻って
    夢を繋ぎ合せて 人生を送ったからさ
    俺は 決して花を咲かせない木だからさ
    俺は 飼い主のいない犬だからさ

    俺には 口には出さない憎しみがあるからさ
    愛する時には 唇付けに血を流すからさ
    俺は懸命に愛したのに 誰も俺を愛してくれなかったからさ
    だから 俺の歌はこんなに悲しいんだ! だから、、、!

    邦訳:大澤 寛


    大澤 寛
    参加者

    「¿Por qué la quise tanto?」 (どうしてあれほど愛したか)
    Letra : Rodolfo Taboada (1914-87)
    Música : Mariano Mores (1918-2016)

    遠くでアコーディオン*が                    *バンドネオンと歌う歌手も多い
    迷いの小鳥たちの音を 夜に拡げる
    亡霊たちが 暗闇の中で声をそろえて俺に訊く
    再た俺に訊く 
    何故 泣くのか 何故 歌うのかと
    何故 あの娘のことを悪く言わないのかと
    何故 あの娘をあれほど、、、あれほど愛したのかと

    俺だけが知っている
    あの娘が 俺の暗い人生(くらし)の中の 安らぎの地(ばしょ)だったことを
    あの娘が 受難(くるしみ)の打ち続く俺の日々の 淡い灯りだったことを
    俺が この黒い十字架のようなあの娘*の幸せを祈っていることを *esta negra cruz は別れた女性を指す
    あの娘がここに居ることを、、、そして居ないことを
    俺の唇の中に 悲しみに沈んで血を流していることを

    亡霊たちが執拗(しつこ)く 俺の悩みを弄びながら
    追いかけて来て 俺に訊く
    何故今でも 空しくあの娘を待つのかと
    何故 夢見ながら生きているのかと
    あの娘がひと時 俺の、、、俺のものだったことを

    邦訳:大澤 寛

    bruma : 霧・もや・ガス、 (複数で)混乱・もやもや、 困惑
    remanso : よどみ・流れの緩い場所、 水溜り・溜池、 のろくさいこと・緩慢なこと
            remanso de paz 平和のオアシス、安息の地、静かな場所
    calvario :十字架の道(Calvario=カルバリオの丘=キリスト磔刑の地=別称がGólgota の丘)
    長い苦難・受難の連続、  嵩んだ借金 tener un calvario de deudas
    implacable :無慈悲な、 執拗な・妥協しない・根の深い、  冷酷な・非情な
    sombra :(影・暗闇の他に)不安・懸念、 幻影・亡霊、 欠点・欠陥
    (主に複数で)暗闇・暗がり、 無知、 秘密、 後ろ暗いこと


    大澤 寛
    参加者

    「¿Por qué ?」 (何故?)
    Letra : Homero Manzi (1907-51)
    Música : Alfredo Malerba (1909-94)

    沢山の影が 私の部屋の扉を叩く
    もう忘れてしまった沢山の声が囁く
    私は心で判っている みんなもう死んでると
    何も無いところから 戻って来る影なのだと

    昔の苦い想い出に過ぎないと
    戻って来たがる亡霊なのだと
    私の不幸を嘲笑う亡霊たちと想い出が
    私が二度と聞くことのない声で呼んでるのだと

    何故 沢山の影が私を騙すのだ?
    何故 苦しさが私を追いかけて襲いかかるのだ?
    何故 開けてくれないのだ
    私の壊れた心を庇(ま)護(も)ってくれるような扉を?
    何故 沢山の罪が私に咬みつくのだ?
    何故 私が思い出すのを咎めるのだ?
    何故 私が運命を嘆く中で  
        死ぬことの安らぎさえ私を振り向かないのか?

    私の唇は悲しく叫ぶ
    誰も待っていてくれないのを知っているから
    私の足取りはよろめく
    親しくなった影たちの行列の中で

    哀れな私の心を嘲笑う仮面たちが
    私を泣かせようとする想い出の亡霊たちが
    私が二度と聞くことのない声で叫んでいる

    邦訳:大澤 寛


    大澤 寛
    参加者

    「Por una cabeza」 (首の差で)
    Letra : Alfredo Le Pera (1904-35)
    Música : Carlos Gardel (1890-1935)

    por una cabeza (首の差で)は競馬用語。 しかしここでは賭け事の対象としての競馬(とその馬)だけではなく、愛、情事の対象としての女性に “首ったけ” であることが表現されている。

    首の差だったなあ
    よく躾けられた*1若駒*2だが    *1 noble : (動物が人間に)忠実な *2 potrillo : 通常3歳以下の馬を指す
    まさにゴールへ向かう直線で
    息を抜いてしまう
    帰り道で俺に話しかけるみたいだ
    忘れるんじゃないよ さあ
    あんたも判ってるだろう 
    賭けはやるもんじゃないって

    俺は首ったけなんだ
    或る日 惚れちまった*                   *metejón 1.情事・火遊び 2.賭け事で大きく負けること
    男たらしのふざけたあの女に
    あいつは笑いながら
    嘘っぱちの愛を誓って
    俺の愛の全てを
    火あぶりにしやがる

    俺は首ったけなんだ
    とち狂っているのさ
    あいつの唇付けは
    悲しみを消してくれるし
    苦しさを和らげてくれる
    俺は首ったけなんだ
    あいつが俺を捨てるなら
    俺の命なんて 幾らでも
    投げ出していい
    何のために生きるかだ

    どれほど俺は騙されたことか
    あの女に
    俺は何度誓ったことか
    もう しつこく追いかけないと
    だけど もし通りすがりで
    眼差しが俺を刺すなら
    もういちど あの燃える唇に
    唇付けしたいものだ

    競馬は もういいや
    賭けは終わったんだ
    苛々する結末を
    再た見ることはしないさ
    だけど もし良い馬*が居て            *pingo : (愛情を籠めて)馬=友、仲間、道連れとしての馬
    今度の日曜に そいつが本命*だとしたら       *fija : 確実に起きることの意だが、競馬用語として “本命”
    俺は そいつに有り金全部を賭けるぞ
    他に何が出来る?* *¿Qué le voy a hacer? 脚注参照

    *¿Qué le voy a hacer? 文字どおりに訳せば “私は彼に何をしようか” だが、ここでは前の行の “有り金全部を賭けるぞ” を受けて “そうすることの他に何をするというんだ” ¿Qué otra cosa le voy a hacer? という意味に解する。

    邦訳:大澤 寛

    noble : (動物が人間に対して)忠実な
    potrillo : (3歳以下の)仔馬
    metejón : metedura : apasionamiento amoroso // pérdida importante en el juego
    hoguera : 焚き火、 火刑・火あぶり
    timba : 賭け事、賭け事の勝負  賭博場
    pingo : caballo (en voz afectiva), caballo, como compañero, amigo


    大澤 寛
    参加者

    「Pregonera」 (花売り娘)1945
    Letra : José Rótulo (1905-65)
    Música : Alfredo De Ángelis (1912-92)

    象牙色した金髪のお姫様
    私の青春の夢を虜にした
    呼び売り歩く花売り娘
    4月の或る日
    パリの街路(とおり)の思い出
    “赤いバラを一輪あなたに
    愛の渇きのように赤い
    薔薇と白いカーネーション
    夢のように白い“
    お姫様の売り声は続く

    愛がひとつ カーネーションが1本
    ボタンの穴に あなたの愛に
    夢から生まれたカーネーション
    私の燃える心を突き刺した
    もう午後は暮れかかり
    呼び売りの声が私に付いて来る
    優しい愛と カーネーション
    残ったのは カーネーションだけ

    象牙色した金髪のお姫様
    貴女の あのかすかな微笑みは何処へ行った
    貴女の萎れた花と一緒に
    私の夢も萎んで行く
    私は貴女の声の かすかな木霊を聴いている
    絶え間ない囁きのように
    私の不安をかき立てる
    再た夢を見る
    狂ったような私の想い
    そして再た 貴女の声で幸せになる

    邦訳:大澤 寛


    大澤 寛
    参加者

    「Prisionero」(囚われ人)
    Letra: Francisco García Giménez (1899-1983)
    Música:Anselmo Aieta (1896-1964)

    友らよ 思い違いに気づいてくれよ
    これまでみたいに 俺を馬鹿騒ぎに連れ出そうと考えているのなら

    俺の家の門の辺りをずっとうろついてみてくれ
    もう俺は 苛々しながら仲間が来るのを待ったりしていないのだから

    街よりも 酒よりも ダンスよりも もっと素晴らしいものが
    俺を心の底から捕らえているのだ

    それはなあ 小さな二つの手なのだ だけどそれは この世で
    俺よりずっと強い

    判るだろう 俺には今 子供がいるのだ 俺の命であり夢であり
    俺のあの狂った気持ちを優しく慰めてくれるのだ

    運命が俺の家に 俺の心に天使を連れて来てくれた
    そして俺は その天使の囚われ人になった
    仲間たちよ 俺はとても喜んで獄舎につながれているのだ

    古い同志たちよ 大笑いしながらずっと生きていてくれ
    笑えよ 俺も知っているのだ いつか悲しみに変わるあの歓びを
    俺を この揺り籠の傍にそっとしておいてくれ 俺は 愛し合う
    ものの目で俺の宝物をあやすのだから

    俺はここに居て 何も探しに行かない これ以上何も求めることは
    許されないのだから

    邦訳:大澤 寛

     これもタンゴには珍しい健全な家庭賛歌。同様の雰囲気を漂わせるものに「Mi refugio」がある。


    大澤 寛
    参加者

    「Puente Alsina」(アルシーナ橋)
    Letra y música:Benjamín Tagle Lara (1892-1933)

    俺の町は何処にある? 俺の懐かしい揺籠は?
    あの懐かしい揺籠は何処へ行った? 俺の昔の隠れ家は?
    アスファルトが 一撃で消してしまった
    俺の生まれた あの古い町を

    街外れの 疑わしそうな静けさの中
    悲しい恋のドラマのあった夜
    その時から 俺は弧児(みなしご) 誰の子供でもない
    あの下町の泥の中を転げ回った

    アルシーナ橋よ 昔 俺の隠れ家だった
    大通りが 一跨ぎでやって来た
    古い橋よ お前は孤独で 心を許せる相手だった
    お前は 開発が進むのに正面で立ち向かった郊外の町が残した証なのだ 

    俺は 母親の優しさを知らないで来た
    世間の厳しさだけが 俺の父親だった
    そして今も 悪い血が流れる俺の血管には
    深い恨みを叫び続ける 土くれみたいなものがある

    何故消してしまうんだ? 俺の町を 俺の全てを
    俺は 下町の泥の息子の俺は それが悔しくて泣きに来たんだ
    俺の町は 俺のお袋なんだ もう返事をしてはくれないけれど
    言ってくれよ 全部何処へ埋めちまったんだ?

    アルシーナ橋よ あの悪仲間は何処に居る?
    昨日までお前を守った あの地元の連中は?
    お前を怒らせて だけど皆 泥に埋まって 
    そして 黙って見ていたのだ
    大通りが ナイフを抜いて 
    そこで血を流すお前の命に穴を開けたとき

    邦訳:大澤 寛
    Guarida : (動物の)ねぐら、巣、穴  2.(犯罪者などの)隠れ家、アジト
    Manotada : 平手打ち 2.一握り・一つかみ
    Barriada : (市の)地区・区域  2.スラム街
    Lodo : = barro, fango
    Regazo : = refugio 安らぎの場・逃げ場
    Zarpazo : = (動物の爪のある前脚での)一撃
    Solitario/a : 孤独な 2.うら淋しい・人気のない・人里離れた・孤立した
    Confidente : 何でも相談できる・打ち明けられる・信頼できる人  2.タレこみ屋・犬
    Matrero : ずるい・悪賢い・抜け目のない 2.逃走中の、放浪の
    Gleba : (掘り起こした)土塊、土くれ
    Enconar : 炎症を起こさせる・悪化させる、 (争いやもめ事などを)激しくする
    Arroyar : (雨水などが)溝をつくる、地面をえぐる
    Ojal : ボタンの穴、穴
    Tajo : = puñalada, cuchillada, herida de arma blanca, cicatriz


    大澤 寛
    参加者

    「Que nadie sepa mi sufrir」(知られたくない俺の悩み)
    Letra : Enrique Dizeo (1893-1980)                            
    Música : Ángel Cabral (1911-1997 )

    俺にとってお前は何だったのかを言うけど 驚くなよ
    お前は恩知らずだった 優しい俺の気持ちには
    お前の黒い綺麗な瞳は燃えて (繰り返し)
    別の恋を照らしていたのだから (繰り返し)

    俺はお前に 優しい気持ちで惚れていた 
    お前の傍に居る時だけ そう感じたのだ
    人生には色んな不思議があるものだが (繰り返し)
    気が付けばお前の唇付けは無くなっていた (繰り返し)

    愛するお前 俺の女王 
    お前は俺に何をしたんだ 
    お前を見ないでいると
    俺は気持ちが安らぐことが無い
    あれほど真剣な俺の愛を
    裏切ったのだから
    お前はもう決して 
    俺に名を呼んで貰えはしない

    愛するお前 
    俺を捨てても
    気にすることはない
    誰にも知られないのだから
    女に運命を狂わせられたと
    俺が触れまわって何になる
    笑われるだけだ 
    だから俺の悩みは人に知られたくないのだ

    邦訳:大澤 寛


    大澤 寛
    参加者

    「Que nunca me falte」 (いつも必ず傍に居て)
    Letra :Héctor Marcó (1906-87)  
    Música : Héctor Morales (n/d)
    苦労をした歳月のせいで 母さんの髪は白くなった
    私を思って吐息をつく 活き活きとした眼の母さん
    あなたの守護聖人 サンタ・ロサの日が来ましたね
    あなたに 今までしたことのない 唇付けをしたい
    庭の木々も 露を含んだ
    春になって 冬は過ぎた
    世の中は皆 薔薇の衣装
    私が幸せに歌うように 母さん
    皆が あなたの名を呼ぶようだ

    いつも必ず私を優しく包んで下さい
    私の命はあなたの温もりが必要です
    いつも必ずあなたの眼の光りを私に注いで下さい
    私が激しく苦しむ夜を照らしてくれる その光を
    いつも必ずあなたの慰めの声を私にかけて下さい
    ああ 愛する母さん! 私の不幸を慰めてくれる
    あなたに誓います その時が来たら私も
    あなたの羽に乗って 飛んで行きますと

    月の欠片のような あなたの気高く白い髪
    私の暗闇を照らし 心を暖かくしてくれる
    母さんは 知らないだろう 
    私が どれほどあなたを愛しているか
    あなたは私の宝 あなたの愛に抱かれ
    私の時は幸せに過ぎて行く
    心をこめてあなたの額に唇付けながら
    幸せな気持ちを一杯に 神に感謝する
    あなたの愛に勝る愛はないし 愛に終わりはない
    だから 母さん あなたは永遠の愛の印なのです
    邦訳:大澤 寛
    Santo/a ~ ~に聖人の名前を置く。
    自分の名前が命名される元になった聖人の名前。この場合母親の名前がRosa で、彼女の守護聖人はSanta Rosa


    大澤 寛
    参加者

    「¿Qué querés con ese loro?」(あんなのとどうする気なの?)
    Letra :Manuel Romero (1891-1954)
    Música : Enrique Delfino (1895-1967)

    私に“さよなら”も言わないであんたは逃げて行ったわね
    心なしで意気地なしの卑怯者だわ
    こないだの晩は芝居に行って終演(はね)ても戻って来なかった
    くだらない芝居の踊り子に騙されたってね
    どぎつい青のアイシャドウの 痩せて のっぽで 安い衣装の
    汚い仕事に手を出している女にね

    私とあんな薄汚い女と取り替えるなんて 情けない男ね
    馬面をして上手くやってんのね 馬鹿ったれ
    お宝を手に入れたんだろ 気をつけなよ するっと逃げちゃうよ
    あばずれで 痩せっぽちで 醜女(ぶす)で
    野良犬狩の車に見つかったら お終いね

    趣味の良い人たちなら言うよ 
    あんたを私と取り合ってるあの化け物は
    誰が見ても驚く醜女(ぶす)だって
    あんたが 夜にぼんやりしていて出くわしたらさ
    あんたの惚れたあれが *安飯屋の“トロペソン”で
    食べ齧ってるのを見た人たちは言うに違いないよ
    食べ物を奢ってやるよりは 着るものを買ってやれって
    ついでにみっともないコートもね
    邦訳:大澤 寛

    * El Tropezón : Restaurante muy popular que hallaba en la calle Callao, entre Bartolomé Mitre y Cangallo (ésta última actualmente Presidente Juan Domingo Perón)


    大澤 寛
    参加者

    「Qué solo estoy」 (俺の深い孤独)1944
    Letra : Roberto Miró (1909-82)
    Música : Raúl Kaplún (1910-50)

    お前を失ったと思うのなら
    お前を愛していたことが判ったのなら
    、、、何故 俺はお前を去(い)かせたのだろう、、、
    別れる時 お前は俺の壊れた心を連れて行った
    俺には何も残さずに
    俺がこれほど悩まないように
    時間(とき)が経ち
    今 俺には苦しみと悩みだけが残されている
    出来ることなら いつかお前に会いたい
    何としてもお前に見せたい
    あれから 俺がどうやって生きているか
    慰めも無く 愛も無しに

    孤独だ、、、酷く孤独だ
    人生と言うグラスの中の
    苦さを飲み干しながら
    こんな刑罰(ばつ)を引き摺るのは辛い
    俺の心は悲しんで
    俺を殺し 俺を燃やすから
    冷たい、、、俺の中に感じるのは
    失った春を 
    もう戻って来ない春を
    孤独を知るのが怖い
    、、、二人の日々は過ぎ去った、、、
    そしてもう戻っては来ないことを!

    もしも 俺の行く道で
    俺を救ってくれるような愛に出会ったら
    、、、だけどそれがどうなる、、、
    もう何もかも呪われているのに
    もしも神が 俺にお前を愛するように仕向け
    愛の拷問から俺を逃がしてはくれないなら
    道を辿って行こう
    影を求める旅の
    、、、お前から遠ざける道を、、、
    お前を呼ぶ声が
    俺の行く先に お前を結び付けるだろう
    俺の苦しみに寄り添いながら
    、、、死ぬ日まで、、、
    邦訳:大澤 寛

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