大澤寛のタンゴ訳詞集

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    「Otra vez, carnaval」(もう一度、カーニバルよ)
    Letra : Francisco García Giménez (1899-1983)
    Música : Carlos Di Sarli (1903-60)

    瞳には 夜を
    唇には 愛を
    カーニバルは 意気揚々としたあの娘(こ)を
    馬車に乗せて連れ歩いたものだ
    魔法のように空を飛ぶ紙テープ
    それがあの娘(こ)の一夜の愛だった
    その後 俺の苦しみが引き摺った紙テープ
    馬車の轍に巻き込まれた紙テープ
    祭列が消えて影になった時

    もう一度 カーニバルよ
    お前の夜に 俺をあの娘(こ)に会わせろよ
    あの娘(こ) 綺麗で
    物怖じしない 仮面をかぶった娘(こ)
    もう一度 カーニバルよ
    もう一度 昨日のように
    あの娘(こ)の狂った愛を
    もう一度 俺は信じよう
    そして多分 あの娘(こ)を思って
    もう一度 明日 泣くだろう

    夜明けには逃げて行く
    幸運(しあわせ)も 微笑みも
    それからの俺の全ての時間は
    暗い孤独に満たされるのだ
    俺の唇には吸穀が残る  
    あの娘(こ)の新しい蔑みの
    そして夢の亡骸は たったそれだけになる
    空気に漂うパフュームと
    地面に落ちた小さな仮面だけに

    邦訳:大澤 寛

    匿名
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    「Pa’ mí es igual」(俺にはどうでもいいことだ)
    Letra : Enrique Cadícamo (1900-99)             
    Música : Lucio Demare (1906-74) + Roberto Fugazot (1902-71)

    お前と俺はここにいる しっかりと向き合って
    手を握らせろ 俺の手を握れ
    この日 不幸が起きたのは
    俺たちが真実(ほんとう)の男かどうかを知るためだ
    今日俺はそれを知って泣いたぜ 嘘じゃない
    気の毒に お前のお袋さん 
    あんなに綺麗で あんなに良い人で
    俺を 息子のお前と同じように可愛がってくれた
    覚えてるだろう?

    嘆きを吐き出せよ 来て座れよ
    過ぎたあのことは忘れようぜ
    俺たちを10年もの間互いに遠ざけたあのことは
    だけど心は 嫌がらずに二人を繋いだ
    俺を見ろよ 長いこと会わなかったし
    話もしなかった
    二人とも歳を取ったのが分かるだろう 髪も白くなってる
    白髪で老けたことが分かる

    何もかも あの日の あのおさげ髪と 
    血の色より紅い唇のせいなのだ
    俺たちは二人とも 臆病じゃなかった
    お前は俺にナイフを投げた 俺はよけた
    とうに終わったことだ どうした? 泣いてるのか?
    なあ おい 俺の話がお前を傷つけたのなら
    お袋さんの亡骸に唇づけをして
    よかったら俺はもう行くぜ 俺にはどうでもいいことだ

    邦訳:大澤 寛

    匿名
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    「Paciencia」(我慢しよう)
    Letra: Francisco Gorrindo (1908-63)
    Música: Juan D’Arienzo (1900-76)

    昨夜(ゆうべ)もまた俺の目はお前を見た
    昨夜もまた俺はお前を傍に引き寄せた
    全てが終わったのにどうして俺はお前を見たのだろう
    俺とお前は二人とも 昔を見詰める他人同士
    過ぎた年月 人生は それが何だと誰が知るだろう
    何度も繰り返すことはせず 先ず正直に言ってしまう
    俺もお前も昨日には 戻ることなど出来もしない

    我慢しよう
    人生ってこんなものだ
    二人が一緒になりたかったのは
    それは紛れもない利己主義さ
    その利己主義が俺たちを
    別の人間に見せている
    何のために装う 取り繕うのだ?
    我慢しよう
    人生ってこんなものだ
    誰のせい罪でもない
    もし罪と言うものがあっても
    だからそっとお前に与えた俺の手が
    別れに震えることもなく

    みんな夢だったと思うことにしよう
    俺たちが探したものは嘘だったのだと
    こうして 心地よく 二人に安らぎが残る
    二人とも変っていないと信じ続ける安らぎが
    二十歳のあの頃の写真が一枚俺の手許にある
    お前がこの町の馴染みの太陽であった頃の
    あの頃のように綺麗なお前を 何時までも見たいものだ
    昨夜のことは 全く夢だったのだ

    邦訳:大澤 寛
    hacer(se) cuenta de ~~ (口語的)~~と考える・想像する 
    No hacía cuenta de hallarte aquí.
    Hazte cuenta de que ya no vuelva tu hijo.

    buenamente : 単純に・簡単に・容易に / 快く・喜んで(= por las buenas)
    英語のbeautiful

    匿名
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    「Palomita blanca」(白い子鳩)
    Letra : Francisco García Giménez (1899-1983)    
    Música : Anselmo Alfredo Aieta (1896-1964)
    あの娘(こ)がいないことは 私には苦しみ嘆くこと
    あの娘を思い出すと 時々は幸せなのだけど
    すぐに私を嘆きの中に閉じ込めて
    どんなに遠くに行ったとしても
    あの娘と一緒に居られなくては
    私を慰めてくれるものは何もない
    私が前に向かっても
    心は後ろに残される
    私が進む道は ひどく残酷に私を遠ざけて
    あの娘の愛の優しさを私から奪う
    そして私は 思い出の中だけであの娘に会い
    うっとりと声を聴き 切なくあの娘に唇付ける
    あの娘が傍に居るような気がする
    こうして 夢を見ながら
    私は さらに遠ざかる

    白い小鳩が飛んで行く
    あの娘の住む家の方に
    “白い子鳩よ 悲しく捨てられたものへの
    お前は想い出の便り!”
    私が恋い焦がれるあの娘に会ったら
    私が泣いているなんて言わずに あの娘に教えてやってくれ
    あの娘無しで生きるのが 愛する人を失うのが
    どれほど辛いことかと

    前に歩みを進めよう ぼろ切れみたいな私の服よ
    流れる風の中で 私たちは千切れ雲なのだ
    愛する者の不在の中で 人生は過ぎて行く
    愛するものに いつも別れを告げながら
    “白い小鳩よ!”
    夜も日も飛んでくれ 私の塒を探して
    そして静かに飛びながら 空に書いてくれ
    “あの娘は決してお前を忘れていない お前のことだけ思っている”と
    あの娘には判らないだろう
    愛するひとを 私は遠くに置き去りにはしなかったことを
    私の心にむごい試練を与える悩みが 
    ふと横合いからやって来て
    あの娘を呼んでいることを

    小道を彷徨い歩きながら
    暗い遠くに見つめている
    あの娘が捨てた故郷を
    あの娘が私の腕の中で泣いたのを
    別れにあの娘が振り向いて
    薄いハンカチを振ったのを
    そして遠く小さくなって行く
    あの娘の姿を
    そして私の心では 大きくなって行く
    あの娘の可愛さと 私のこの嘆きとが
    もうあの娘には会えないと

    邦訳:大澤 寛

    男歌・男の嘆き節なのだから、主語は“俺”としたいのだが、この歌詞には一種の優しさがある(=男っぽさが薄い)ので“私”としてある。

    Bien : (単数)ここでは“幸福”
    Embelesar : = encantar, fascnar, cautivar, seducer, embriagar
    Recordación : = memoria 想い出、追憶・追想   remembranza : 記憶、追憶・追想
    Pingo : (口語・俗語)襤褸、ぼろ布、 (複数)安物の服、 売春婦・あばずれ、 ほっつき歩く人
    Ir de pingo/pingonear : 女性が家事を放擲して出歩く
      (ル)で一般的には“馬” “愛馬”
    Nubarrón : 黒雲・雷雲・嵐雲
    Rigor : 厳格さ、手厳しいこと、冷酷  de rigor : いつもの・お定まりの  en rigor : 厳密に言えば
    Ladero/a : 横の・側面の
    Tibio : 2. 熱意の無い・気乗りのしない・煮え切らない
    Medir : (ラ米・アルゼンチン)medir las calles : 街をほっつき歩く・のらくら暮す・ぶらぶらする

    匿名
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    「Pampero」(大草原の寒風)
    Letra : Edmundo Bianchi (1880-1965)
    Música : Osvaldo Fresedo (1897-1984)
    (pampero : アルゼンチンのパンパ(大草原)にパタゴニアから吹き付ける寒風)

    我々の激しい精神の息吹
    高原を吹く風 健康の源
    比類無き我が国土の精神
    南米の息吹き

    野育ちの誇り高き自由を
    求める平原への呼びかけ
    荒削りの自由の優越性を唱える
    高貴な血筋の風

    パンペーロよ
    雄雄しく気高く 
    ガウチョたちの頬を打ちながら
    ソンブレロの鍔を上げることを
    教えた風

    パンペーロよ
    妥協することのの無い厳しい風
    我が国民は お前から学んだ
    外敵の侵入に 雄雄しく立ち上がることを

    邦訳:大澤 寛

    匿名
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    「Papá Baltasar」(バルタサール博士(さま))
    Letra : Homeo Manzi (1907-511903-94)                  
    Música : Sebastián Piana

    我が息子(こ)ペドロよ 眠りなさい
    バルタサール博士(さま)が 雲と空に包まれて
    もうお着きになるから 白い荷袋一杯に
    ガラガラを百個に 太鼓がひとつ
    長い紐の独楽がひとつ 貨車がひとつに
    小さな荷車
    我が息子(こ)ペドロよ 眠りなさい
    バルタサール博士(さま)が もうお着きになる
    駱駝を急がせて

    東方(オリエント)で お茶の色の髪をした天使が生まれ
    鳩が二羽と子牛が一頭 ベツレヘムから付いてきた
    偉い博士が三人で 青い星の裏側に 
    天使の揺り籠を探してる
    母親は聖母マリア そして子供はキリスト
    バルタサール博士(さま) 私の息子 息子ペドロを
    お忘れなく 私の息子はもっと色が黒くて
    もっと貧しいのですから

    バルタサール博士(さま) 息子ペドロが手紙を書きました
    そして白い翼の天使が それを運んでくれました
    息子は今 夢を見て居ります
    ガラガラと太鼓と 長い紐の独楽と 
    貨車と小さな荷車の夢を
    我が息子(こ)ペドロよ 眠りなさい
    バルタサールさまが 雲と空に包まれて
    もうお着きになるから

    バルタサールさまは御望みだ
    新しい兵隊をひとり 剣ひと振りと銃を一丁
    そして空へ昇るための ランプの気球をひとつ
    バルタサールさまは御望みだ
    白い道化も鉄道も 毛の長い熊も おが屑の子猫も
    バルタサールさま 私の息子 息子ペドロを
    お忘れなく 私の息子はもっと色が黒くて
    もっと貧しいのですから
    邦訳:大澤 寛

    匿名
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    「Para ti, madre」 (あなたのために 母さん)
    Letra : Venancio Clauso (1896-1956)
    Música : José Mocciola (1902-60)

    素晴らしく幸せだった 子供のあの頃
    幼年(こども)時代(のころ)は黄金(きん)と蜜 無邪気に祝福されていた
    いいことずくめのエデンの園で
    心は夢に満たされて いつも幸せだった
    母の慈愛 裏切らない優しい手
    この上ない優しさ 理想(ゆめ)の世界 薔薇色の
    幸せだった昔の 想い出だけが残されて
    辛くて惨い人生に 悩みとは何かを教わった

    私の心は血を流して
    ひどい苦しみに沈んでいます
    優しく暖かい住処(すみか)を欲しがります
    嘆きを唄に注ぎ込むのです
    失われた良いものを思い出すこの歌は 
    あなたのためのものです
    私の胸の鼓動が あなたの耳を撫でるでしょう

    あなたが居ない今 心の奥深くであなたを思うのです
    決して誰も あなたの尊い面影を消すことは出来ません
    あなたが居ない今 昔私が時々 あなたに多分少し冷たくしたことが
    深い苦しみになっています
    あなたの声は神の声 その木魂が私の耳に響きます
    打ちのめされた私に 生きろと励ましてくれる風なのです
    祈りながら私の額に唇付けしてくれる
    あなたはここには居ないけれど
    私にはとてもはっきりと見える灯りなのです

    邦訳:大澤 寛

    匿名
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    「Parece mentira」 (嘘みたいだな)
    Letra : Homero Manzi (1907-51)
    Música : Francisco Canaro (1888-1964)

    いつもの通りの男だよ 俺は決して変わっていない
    着ているものも昔のもので 俺の生き方も同じことだ
    だから 急には信じられないのだよ
    同じお前じゃないことが 昔のお前じゃないことが

    嘘みたいだな 何もかもが一撃で壊れるなんて
    嘘みたいだな 一番綺麗な夢だったものが俺たちの誓いを壊すなんて
    お前を見ていると 理由(わけ)は判らんが 俺には信じられない
    お前が 一度は愛した同じ女(ひと)だとは

    お前の瞳は 金の星
    魔法で誘うアザミの色
    夜が来ると俺の心で
    燃え上がるアザミの色
    俺を苦しめる百の罪
    俺を苦しめる百の罰
    お前の愛を求めて失われた俺の人生を
    縛り付ける 恐ろしい百の罰なのだ

    お前の町は変わらない 町角も変わらない
    訪れる夜は 昔と同じ夜だ
    あの狭い通りの隅に浮かぶ月も
    昔二人で見た月だ

    何もかも昔に似て 何も変わらず 何もかも同じだとしたら
    嘘みたいだな お前の生き方だけが変われるとは 
    お前を見ていると 理由(わけ)は判らんが 俺には信じられない
    お前が 一度は愛した同じ女(ひと)だとは

    邦訳:大澤 寛

    同名異曲が3つある。

    匿名
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    「Pasional」 (恋狂いの)
    Letra : Mario Soto (1912-95)
    Música : Jorge Caldara (1922-67)

    お前には判らないだろう 決して判らないだろう
    恋い焦がれて 何度も何度も死にたくなることの意味が
    お前には出来ないだろう 理解することが
    愛して 狂うとはどういうことか
    お前の唇は火を付ける お前の口付けは酔わせて
    拷問にかけるのだ 俺の理性(あたま)を
    渇き 俺を燃え立たせて
    俺の胸に情熱の火を付ける

    お前は 俺の中に釘付けになっている
    燃えるようなこめかみの鼓動に お前を感じる
    傍に居れば お前に恋し 離れて居れば
    もっとお前を愛する

    こんな風にお前を愛する 俺の命の恋人よ
    こんな風にお前を思う 俺だけのものだと いつも俺のものだと

    お前を失うのが怖い
    もう会えないと思うのが怖い
    どうしてこんな酷い疑いを持つのだろう
    どうして俺が血を流さねばならないのか
    唇付けの度に お前は気を失うのに
    だけど俺は苦しむ
    俺に血の中にお前が居るから
    そしてどんなときでも 熱く愛して
    お前に唇付けしたい

    何があるのだろう? お前の眼差しには
    お前が目を上げて俺を見るとき
    俺の中で
    強い愛の炎が燃えるのを感じる
    お前の手は 
    お前の女の魅力に俺を縛り付ける愛を
    解き放つ
    判っている もう決して俺の胸から 
    この愛を抜き去ることは出来ないことを

    何時もこんな風にお前を愛する お前は俺の中に釘づけされている
    肉に付きささった短剣のように
    そして 燃えるように 恋に狂って 焦がれて震えながら
    お前に抱かれて死にたい

    邦訳:大澤 寛

    Jorge Caldaraには何故か“P” で始まる曲が多い。「Patético 1948」「Pastoral1950」「Pasional 1951」「Por pecadora 1952」「Paternal 1959」など。

    匿名
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    「Pedacito de cielo」 (空のひとかけら)
    Letra : Homero Expósito (1918-87)           
    Música : Enrique Francini (1916-78)+ Héctor Stamponi (1916-97)

    家の格子*は            *reja は格子、鉄格子 昔は装飾でもあったが現在は全くの防犯用
    嘆きと愛の歌で染められていた
    夜は 格子にも からまる蔦*にも                    *hedera : (植物)アイビー、ヘデラ、 蔦
    古いバルコニーにも隈取りをした

    思い出す あの頃 お前はよく笑ったものだ
    私が一番良く出来た詩を読んで聞かせると
    そして 移り気な時が過ぎた今では
    あんな詩を読んだら 二人とも泣き出すだろう

    子供の頃は過ぎ去った 過ぎ去った
    家の格子は あんなに黙って眠っている
    そして あの空のひとかけらの中に
    お前の楽しさも 私の愛も 残してきた
    恐ろしく 性悪な 年月が過ぎた 
    決して実らない希望を捨てて
    思い出す お前のいたずらな仕草を
    ふと奪った あの唇(くち)づけのあとの

    多分* 風に冷やされたのだ       *ここのtal vez は“間違いなく”という気持ちだからあとに来る動詞は直接法
    お前の優しい笑いも 澄んだ声も
    多分 お前の眼の隈の中へ逃げ込んだのだ
    格子も からまる蔦も 古いバルコニーも                

    焦がした砂糖菓子の色をしたお前の瞳は
    日に照らされた遠くを見ていた
    そして今 お前は あの頃のように
    愛に震える ブロンズの格子を探そうとする
    邦訳:大澤 寛

    匿名
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    「Pequeña」 (おチビさん)
    Letra : Homero Expósito (1918-87)
    Música : Ósmar Maderna (1918-51)

    河は残り 月は去って行くところ
    誰も来たことは無く 来ることも出来ないところ
    花ざかりの詩(ことば)が 私と戯れるところ
    そこに私の 筆(ペン)の棲み家と愛の歌がある
    お前は 光りで濡れた*眼をして            * ojos mojados をojos bañados と唄う歌手もいる
    大きな不安で湿った手を持ち
    そしてお前の幻想の翼で
    私を連れ戻してくれた
    私の青春の日々へ

    おチビさん
    お前をおチビさんと言う
    声を限りに お前を
    おチビさんと呼ぶ
    私の夢
    こんなに お前を夢に見る
    こんなに お前を待っている
    おチビさん この歌と一緒に
    月よ
    何とよく知っていることか
    私のように愛することの
    甘い幸運を
    私の夢
    こんなに お前を夢に見る
    こんなに お前を待っている
    おチビさん 私の心の

    もうずっと待っている もっと待つだろう
    こんなにお前に来て欲しいのだから
    私が 月と花とを持つことが出来て
    お前の愛の唇付けが無い訳がない
    河は残り 月は去って行くところ
    誰も来たことは無く 来ることも出来ないところ
    そしてお前の幻想の翼で
    お前は私の孤独を喜びに変えるものになる

    邦訳:大澤 寛

    詩的な表現で娘を持つ(生まれて来るのを待つ)父親の気持ちを歌ったのだろう。

    匿名
    無効

    「Pero yo sé」 (だけど私は知ってるわよ)
    Letra y música : Azucena Maizani (1902-70)

    夜になって やっと起き出すんだね
    見栄っ張りが また別の恋を探しに出かけるのね
    いかす格好で 誇らしげに
    凄い車(Baqué *) にふんぞり返って         *二人乗りの小型車で1900年代初めに流行したという
    Corrientes を通って Florida を通って
    この上ない暮らしだよ
    凄い思惑* を一杯抱えて       *programa は普通の意味で使われている
    高い身分もお金も みんな手に入るだろうさ

    だけど 私は知ってるわよ
    あんたが 色恋沙汰に巻き込まれて
    悩みながら 生きてるってことを
    あんたが忘れたがってることを
    あんなに女を取り替えてさ
    私は知ってるわよ
    夜明けになって どんちゃん騒ぎが終わる時
    あんたの胸は 愛の想い出に塞がれて
    泣き出すことをね

    あんなにやんちゃで あんなに暴れて
    楽しむためだけの暮らしだったね
    いつもお金があったからだよ
    恋のさや当てでは いつも勝ったねえ
    あんたが 無造作に見せびらかす華やかさ
    他人(ひと)は それが上っ面だけだとは知らないさ
    あんたの 馬鹿な見栄っ張りで 
    上手く みんなを誤魔化してるのさ
    それを決して知られたくないんだろう
    邦訳:大澤 寛

    Ufano : ufanarse = 誇る・自慢する・見せびらかす
    Beguén : (ル)enamoramiento, apasionamiento // capricho amoroso
    Baqué : automóvil pequeño de dos asientos. Se usó en las primeras décadas del 1900 entre gente de buena posición
    Regio : 1.帝王の 2.豪華な・壮麗な 3.(ラ米)凄い・素晴らしい
    Muelle : (ルではない)形容詞(格式)1.柔らかい・ふかふかの 2.享楽的な・安楽な・気楽な
           vida muelle
    Pachá : = pashá La vive como un pachá/pashá.
    pasha : Modismo muy antiguo que significa vivir de lo mejor, a lo grande, dándose todos los gustos
    Necio : 馬鹿な・愚かな = tonto 強情な・頑固な = testarudo 愚か者・馬鹿もの

    匿名
    無効

    「Plegaria」 (祈り)     
    Letra y música : Eduardo Bianco (1892-1959)

    私の心に祈りが届く
    遠くの鐘の音に乗って
    祈りは心の安らぎと静けさ
    寄る辺なき人々の心のための
    礼拝堂のオルガンは
    全ての人の胸を打つ
    ひとつの心が膝まづき
    安らぎと赦しを請い願うとき

    何とみじめな私だろう ああ神よ
    どれほどの苦しみと悲しみが
    日が沈もうとするときに
    (祈りが一つ)
    ゆっくりと死んで行く
    (私の心に芽生えたものが)
    悩む心と行き違う
    (そして私は声高く祈りを捧げる)
    日が暮れて行くなかで

    告解をする美しい女(ひと)は死んだ
    死んで その悔い改めた心は
    この世から とても遠くへ飛んだ
    嘆くことも無く 慎ましく
    そして私は知った 静かな夜に
    苦しみの歌がひとつ聞こえるのを
    その悲しい心が 神よ その女(ひと)を許したまえ
    白い衣装*に身を包み 恋人への愛を歌うのを * mortaja = 埋葬のための白装束

    邦訳:大澤 寛

    匿名
    無効

    「Plomo」1947 (鉛=鉛のような思い出)
    Letra y música : Luis Rubistein (1908-54)
    もう失うものは無い
    そんなものは全部(みんな) 夢を見ながら失くした
    お前の愛 俺の初恋
    理由(わけ)もなく 何時とも知れず
    大きな星が消えたように消えた
    だから俺は 死んだように生きている
    思い出のぼろ屑と一緒に
    俺のぼろ布みたいな心は
    もう駄目だ 苦しみに疲れた
    もう失うものは無い
    そんなものは全部失くした あいつの愛に

    あいつの思い出が 鉛のようにのしかかる
    俺は あいつの姿を思って血を流す
    俺が沈む地獄のど真ん中で
    あいつの思い出が襲いかかる
    情け容赦もなく
    助けてくれ 神よ 助け出してくれ あいつの眼差しから
    俺の傷の血が止まらないから
    あの身を焦がす炎の中の
    俺を見てくれ 神よ 俺はもう駄目だ
    この苦しみには

    もう失うものは無い
    そんなものは全部(みんな) 全部失くした
    星が一つ 遠くに見えた
    そして 俺の希望の光は消えた
    あいつの愛を失くして
    古い物語の 残酷な結末で
    俺の傷は引き裂かれた
    終わりのない苦しさ
    俺の人生を粉々にした
    もう失うものは無い
    そんなものは全部失くした あいつの愛に                     邦訳:大澤 寛
    lontananza : 遠方、 (美術)遠景、背景   en entananza
    olvido : 3.愛情の喪失、 愛想づかし
    folletín : (新聞・雑誌の)連載小説  
    (侮蔑的に)大衆・娯楽小説  (テレビ)メロドラマ、嘘みたいな話
    harapo :2.ブドウなどの搾りかすを蒸留する最終段階で出来る蒸留酒

    匿名
    無効

    「Pompeya no olvida」(ポンページャは忘れない)
    Letra : Alejandro Szwarcman (1961- )
    Música : Javier González (n/d) 

    部屋の中で 4月は留まったまま
    時間は流れず 消え去ろうともしない
    Cachi 通りの 灰色の大きな家の屋根の
    日よけのアルミニウム(*1) の色に似た太陽が照らす

    午後になると あの頃と同じ敷石道が
    私に語りかける 4月に浮かぶ失われた過去を
    そして私は 奇抜ななりをして ジーパンに夢をつめて
    70年代(*2) の入口へ 戻って行く

    Pompeya は忘れていない Famatina(*3) に住んでいた
    アニスの匂いのするしゃれた小顔の女の子を 石蹴り遊びの恋を
    街角の匂いを 皆が今 あの娘を探している
    あれも4月だった

    誰も知らない あの娘が今も夢を見続けていることを
    そしてもう Cachi 通りを覚えていないかも知れないことを
    せめて覚えて置いて欲しい Beatrizお祖母ちゃんが
    もうずっと前から あの娘を探し回っていることを

    昼寝のまどろみに 4月は留まったまま
    私は 一面の敷石の広がりの中に居る
    トラックが1台 ゆっくりと坂道を揺るがせて行ったが
    見ていたあの小さな子供の影(*4) に気がつかなかった

    私が あの午後を見ていた影だった
    そして時々思うのだ 4月にPompeya 辺りで
    臆病な幽霊がひとつ アニスの匂いのするしゃれた小顔の女の子たちを
    連れ去るのだと 

    (以下 繰り返し)
    Pompeya は忘れていない Famatina に住んでいた
    アニスの匂いのするしゃれた小顔の女の子を 石蹴り遊びの恋を     
    街角の匂いを 皆が今 あの娘を探している
    あれも4月だった

    誰も知らない あの娘が今も夢を見続けていることを
    そしてもう Cachi 通りを覚えていないかも知れないことを
    せめて覚えて置いて欲しい Beatrizお祖母ちゃんが
    もうずっと前から あの娘を探し回っていることを
    邦訳:大澤 寛

    (*1) 太陽光を反射させて熱が家の内部に入るのを防ぐために屋根にかぶせるアルミ板。隠喩で“冷たい”とか“色褪せた”を言うのかも知れないが、ここでは具体的な屋根の覆いのこと。
    (*2) アルゼンチンの最後の軍政(Videla 将軍)がスタートしたのが1976年
    (*3) 前出のCachi もこのFamatinaもPompeya 区の通りの名前。
    (*4) 子供が事件の目撃者であるとはよくある

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