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大澤寛のタンゴ訳詞集

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    「Mi barrio tenía cosas」(俺の町にあったもの)
    Letra : Juan Bernardo Tiggi (1911-78)   Música : Pedro Noda (1901-67)

    俺はタバコを吸っている
    コオロギがしきりに鳴いている
    その退屈な声の響きが
    俺に昔を思い出させる
    俺が若くて ガライ*とパボン*の間の
    ポソス*という通りに住んでいた頃を
    俺の町よ 出来ることなら
    昔のお前に 今会いたいものだな
    慎ましくて綺麗で歌の好きだった
    *ガライ=Garay *パボン=Pavón *ポソス=Pozos すべて通りの名前
    俺の町には 今はもう無くて
    俺がどうしても忘れられない
    様々(いろん)なものがあった
    お袋やマリア・ロサ
    あいつとは結婚するつもりだった
    セントロ* には部屋を借りてあった
    ラバージェ*とパラナ-*通りの間に
    俺の町には
    俺がどうしても忘れられない
    色んなものがあった
    *セントロ=centro 中心街・街中・旧市街などをいう
      *ラバージェ=Lavalle も パラナー=Paraná も通りの名前
    俺はタバコを吸っている
    もうコオロギは鳴かない
    二十年が過ぎたのだ
    俺の町で 俺は他所者
    あの古い敷石を踏んで
    マリア・ロサは去って行った
    或る午後に 別れに向かって
    俺の町よ 出来ることなら
    敷石道に 書きたいものだ
    お前は俺の心の中にいると                  
    邦訳:大澤 寛

    匿名
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    「Mi Buenso Aires querido」(我が懐かしのブエノス・アイレス)
    Letra : Alfredo Le Pera (1904-35)      Música : Carlos Gardel (1890-1935)

    俺の愛しい町 ブエノス・アイレス
    再たお前に会えたなら 
    嘆きも すっかり消えるだろう*   
    俺が生まれた町の 街角の小さな街灯は
    俺の愛の誓いの見張り役だった
    静かな 小さな明かりの下であの娘(こ)に会った
    太陽に輝くような 俺のあの娘を
    俺が 只一つだけ愛する あの港町
    今日 運が良くて お前に再た会える
    バンドネオンの嘆きを聴く
    そして心は 解き放たれる
    *ここでの ”olvido” は単なる置き字だろう 1行目の “querido”との脚韻を合わせたもの

    華やかな 俺のブエノス・アイレス
    俺が命を終える場所
    お前に守られていると 幻滅することもなく
    歳月は飛び去って行き 悩みを忘れる
    想い出が 感動の甘い名残のように
    行列を作って過ぎて行く 判ってくれ
    お前を思い出すとき 心の悩みが晴れるのを

    場末の町の街角の小さな窓で
    花のような少女が微笑む
    俺も もう一度 あの瞳を見つめたい
    夢見るようなあの瞳を
    場末の狭い露地裏で 唄が聞こえる
    勇気を持て 元気を出せと
    希望と そして溜息の唄
    あの歌は 俺の嘆きの涙を拭ってくれる 

    邦訳:大澤 寛

    Centinela : (m) 歩哨・見張り(番)・監視(人)
    Rienda : 1.馬の手綱、 2.(複数)統率・采配・主導権・支配(権)・指揮(権)
          (l.p.)a rienda corta a rienda suelta
    Estela : 1.船の航跡・飛行機雲・煙などがたなびくこと  2.余韻・名残
    Olvido : 3.愛情を無くすこと・愛想づかし  olvidar 3.=愛情・愛着を無くす
    Cortada : (l.p.) calle corta, de pocas cuadras, generalmente son angostas

    匿名
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    「Mi noche triste」 (我が悲しみの夜)
    Letra : Pascual Contursi (1888-1932) Música : Samuel Castriota (1885-1932)

    俺の人生が 一番上手く行っていたときに
    お前は俺を捨てたなあ 俺を傷つけ 心に棘を残して
    俺はお前が好きだった お前がいれば楽しかった 
    俺はお前に 身を焦がすように惚れていたのに 
    もう俺には 慰めてくれるものも無いから
    お前を忘れるために 酔っ払うぜ

    部屋に戻っても 散らかっていて 
    何もかも 見捨てられて 悲しげで
    俺は泣きたくなる 
    自分を慰めようと 
    お前の写真を見つめて
    長い間 じっとしている
    夜になって 寝る時にも
    ドアを閉める気にはならない
    開けて置いたら
    お前が帰って来る気がするから

    何時だって お前がここに居るみたいに
    マテ茶もビスケットもあるぜ
    お前に見せたいものだ あの安物のベッドが
    二人が一緒じゃないのを見たら
    どんなに腹を立てるかを

    お前が 同じ色のリボンで飾った化粧瓶は
    ここにはもう残っていない
    お前が居ないので
    鏡は曇って 泣いたように見える

    ギターは 未だ化粧棚に吊るしてある
    誰も 弾いたり歌ったりはしないけれど
    部屋の灯りだって お前のいないのが判って
    俺の 悲しい夜を照らしてはくれない                              邦訳:大澤 寛

    匿名
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    「Mi ciudad y mi gente」(私の街 私の人々)
    Letra y música : Eladia Blázquez (1931-2005)

    セメントみたいに冷たく私に背を向けても
    通り過ぎる私に無関心でも
    ここは私の街 ここの人々は私のもの
    私が そこで死にたいと思う場所

    私の心のブエノスアイレスよ
    お前の街の景色に勝る場所は無いだろう
    そこで私は 来る日も来る日も 
    不安と 靴底と 着るものをすり減らす
    お前のものでない別の空の下では
    私は 誇りを持って生きることは出来ないだろう
    何故ならここでは タンゴが私を悩ませ 
    誰かの手の暖かさがあるから
    お金を稼ぐのは難しいことだから
    私はお前に似ているから 誰が何と言おうと
    ブエノスアイレスよ お前を私の街と呼ぶ

    お前がセメントみたいに冷たく私に背を向けても
    通り過ぎる私にお前が無関心でも
    私はお前と お前の人々が好き
    そしてその人々の中に 何気なくお前が居る
    私が居る
    私はお前に似ているから 誰が何と言おうと
    ブエノスアイレスよ お前を私の街と呼ぶ

    邦訳:大澤 寛

    espalda : (ラ米・ラプラタ)4.運・運命・宿命
    dar (volver) la espalda a ~ = ~に背を向ける・無視する
    gastar : (l.p.) bromear, burlarse de alguien
    suela : 靴底・靴の裏・裏皮
    sin querer : 不注意で・何気なく・思わず・無意識に

    匿名
    無効

    「Mi dolor」(俺の悩み)
    Letra : Manuel Meaños (1902-59)         Música : Carlos Marcucci (1903-57)

    俺は はるか遠くから戻って来る
    そこへは昔 悩みを忘れるために
    愛の約束を信じ 騙されて苦しむ心の
    安らぎを求めて行ったのだ
    悩みを癒す忘却に向かって
    俺は 苦しみながら旅立った
    あの頃抱いていた
    お前と一緒に暮らすという夢の
    惨めな名残りを連れて 

    そうだった
    俺はお前の心の奴隷
    移り気なお前の下僕
    そしてお前は俺に
    裏切りで報いた

    今では
    心の傷は癒えて
    もう決して お前に愛を乞い願うこともない
    昔の愛の苦しみを忘れに行ったあの遠くで
    別の愛の 目の眩むようなときめきと喜びを知り
    俺の苦しみはようやく癒えた
    俺は五感の全てを愛することだけに捧げた
    俺の心は新しい愛の純粋さを受け入れて
    間もなく昔の悲しみを忘れるようになった

    けれど今日 お前が傍を通るのを見て
    俺の心は激しく騒いで
    癒された筈のあの傷は 突然お前を見て
    傷口を開いた
    俺の苦しみを鎮めるには 
    新しい愛も忘却も十分な効き目はなかったのだ
    俺は再た お前に愛されたいと悩むのだ
    そして今 あの頃と変わることなく 
    俺はお前の愛の奴隷なのだ

    邦訳:大澤 寛

    Bálsamo : 慰め

    匿名
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    「Mi refugio」 (俺の隠れ家)
    Letra :Pedro Numa Córdoba (1897-1964)
    Música : Juan Carlos Cobián (1896-1953)
    もう終わった 俺の青春のとろけるような
    甘い魅力の馬鹿騒ぎは
    もう終わった 決して戻ってはこ来ない
    あの狂ったような夜遊びは
    俺はもう 何にでも笑い声をあげた
    あの陽気な若者じゃない
    俺は行く道を決めたんだ 父親になるって
    子供を作って* “良い人” になるって
    *A comprar nenes の解釈はこれでいいだろうか? ネイティヴにも難解だと。
    やっていたさ
    心の底から
    愛と喜びで 
    愛することへの渇望(かわき)に乾杯することを
    いつも俺は
    品があって 気前が良かった
    そして俺の派手なボヘミアン生活(くらし)には
    喜びにも不快感(げんめつ)があった
    悩みと共に快楽(たのしみ)の味を知った
    今の俺は 充分に転げ回った石ころなんだから
    優しい家庭の暖かさを求めるのさ

    美しい
    俺の愛の隠れ家
    綺麗な花に囲まれて
    そこには愛が震える
    いつも俺は
    お前に守られて
    老いることを防いで貰い
    悩みには 甘い慰めを求める
    お前の匂い立つユリの香には
    太陽のように清らかな女性の
    美しく 無垢な 善良な心がある

    俺は今では大人で真面目だ
    コートも上着も着込んで
    他人(ひと)は皆 俺のことを“さん” 付けで呼ぶ
    昔の俺がどんなだったか考えると怖い
    俺は歳を取り始めているんだ
    逸る気持ちは抑えねばならない
    品のある 健全な生活(くらし)をするために
    俺の愛の 夢の隠れ家で

    邦訳:大澤 寛

    タンゴには、数は少ないがこういう内容の歌がある。放蕩者だった男が心を入れ替えて家庭を持つ決心をするというもの。同じ味わいのものに 「Prisionero」 (「囚われ人」 詩Francisco García Giménez 曲Anselmo Aieta)がある。

    Correría : 2.短い旅・小旅行、 歩き回ること・徘徊  correrías nocturnas :夜遊び
    Rumbear : 1.ルンバを踊る  2.どんちゃん騒ぎをする・遊び歩く  3.進む・進路を取る
    Idolatría : 1.偶像崇拝  2.盲信、心酔、溺愛、偏愛
    Canto : 5.石ころ・円石
    Reparo : 1.不賛成・異議  2.遠慮・躊躇い・気おくれ 3. 修理・修繕、防御 .
    Lenitivo : 1.鎮痛剤・鎮静剤 2.(文語)苦痛を和らげるもの
    Espanto : (突然の激しい)恐怖、 (脅迫による)怯え、パニック状態

    匿名
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    「Mi taza de café」 (私のコーヒーカップ)
    Letra : Homero Manzi (1907-51)
    Música : Alfredo Malerba (1909-94)

    ガラス窓の向こうに 午後が終わろうとしている
    コーヒーカップを手に 私は物を思う
    想い出が 栄光が 悩みが
    そして 過ぎ去った時の光りと影が 行列を作る
    通りに人影は無くて空っぽだ 私の行く末のように
    昔の友を 愛を 諍いを
    人生の幻を 出会った嘘を
    コーヒーカップを手に 私は思い出す

    街よ 或る日私は 楽しくお前を識った
    栄光への詩と夢を持って来た
    下宿の部屋の高みから お前を眺めた
    私の心は 生きることに幻覚(めまい)を感じた
    私の故郷は遠かったし 遥かかなたに消えていた
    お前の夜は近かったし お前の夜は強かった
    お前の通りに連れて行かれて お前の輝きに騙された
    誰のせいでもなかった 私の他の誰のせいでも

    午後の風が カーテンを揺らす
    思い出の手が 私の心を締め付ける
    秋の憂いが 靄(もや)を深くして
    私の悲しみの割れ目に忍び込む
    無駄なペシミズムだ 悲しがるのは
    いつも昔を思って歩きまわる癖は
    過去の幽霊が 戻って来て居座る
    午後に私がコーヒーカップを手にする時

    邦訳:大澤 寛

    匿名
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    「Milonga de Mataderos」 (マタデロスのミロンガ)
    Letra y música:Edgardo Acuña
    *Mataderos は地名。ブエノスアイレス州北北西に位置する旧い街区で畜殺場が多かった

    皆さまにお持ちしましたこの唄の
    揺り籠の地はマタデロス
    私の思い出すところでは
    学校で習ったものじゃない
    どちらかと言えば街角で
    教わった悪(ワル)のこの気分

    私の唄うこのミロンガの
    唄う気持ちは夢心地
    他人様(ひとさま)が私に唄うから
    私も勝手に唄います
    私の方が本物と
    言っても 皆さん
    どうか怒らないで

    取り繕っては唄えません
    ミロンガの拍子は心の中で      dentro心の奥で・胸の底で  llevar調子・拍子をとる
    嘘をついては暮らせません
    人生が御伽(おとぎ)噺(ばなし)に変ります
    このミロンガは嘘をつきません
    ミロンガの拍子は心の中で

    このミロンガを私が踊るのは
    ブエノスアイレスに生まれた唄だから
    そして私も下町育ち
    そこの暮らしのスタイルも
    私を通りに押し出すような        trajinar忙しく立ち働く・あくせく働く
    せわしく働くひとたちも
    先刻(とっくに)承知しています

    さて皆さまに申し上げます
    この踊りとは 私を
    いつかどこかの中庭で
    捕まえてしまった幽霊です         espectro = fantasma
    牛飼いのひとりが口笛で
    この踊りを教えてくれました
    それ以来(から)私は世の中で
    これを踊りまくっています
    多分踊りの方が私を
    見識ってくれてることでしょう

    取り繕っては唄えません
    ミロンガの拍子は心の中で
    嘘をついては暮らせません
    人生が御伽(おとぎ)噺(ばなし)に変ります
    このミロンガは嘘をつきません
    ミロンガの拍子は心の中で

    このミロンガは嘘をつきません
    私もこのミロンガを胸の奥に

    邦訳:大澤 寛

    匿名
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    「Milonga de mis amores」(1937)(我が愛のミロンガ)
    Letra : José María Contursi (1911-72)
    Música : Pedro Laurenz (1902-72)

    お前の声が聞こえる
    幻想(ゆめ)のようなギターの音色に合わせて
    お前は昔のミロンガだ、、、俺はお前が育つのを見た
    粋で目立ちたがり屋の踊り手の衣装に抱かれて
    その踊り手は決して帰っては来ないのに!
    お前の他には多分誰にも判らなかった
    俺の街の悲しみや気持ちを
    それなのにお前は忘れられて 街角では
    ギターだけがお前を思い出している、、、お前と同じ土地っ子のギターが
    そしてそのギターの嘆き節の中で 俺の心が震えている!

    全てに疲れ果てて 俺は戻って来る
    俺の心で 過ぎた歳月が泣いている
    俺の命はひたすら 古い街の静けさだけを探し求める!
    そして何もかも変ってしまったのが判る お前の歌の他は
    俺のミロンガよ、、、
    開発が進んで 粉々に壊された
    俺の街の風情が全部(みんな)!

    忘れたい
    お前の歌の調べが 俺の心を悲しみで満たして行く
    この街角を 俺は幾度横切ったことか
    唇には楽しい口笛で そしてお前の歌が
    心を酔わせてくれた
    幸せだった
    花の咲かなかった春を癒してくれた
    たった一人の女の素直な愛に溺れて
    ミロンガよ、、、もう駄目だ、、、涙に負けた!
    忘れたい、、、 だけど再た思う!

    邦訳:大澤 寛

    匿名
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    「Milonga del soldado」 (兵士のミロンガ)
    Letra y música : Horacio Guarany

    私は兵士になりたい
    祖国を護るために
    そして奴らに “もうやめろ!”と言うために
    戦争をひき起こす奴らに

    私は兵士になりたい
    銃も持たず 剣も持たず
    燃える心に
    一羽の鳩を彫りつけた
    一羽の鳩を彫りつけた

    夜の最後の叫びのあとに
    星が 私の歌を目覚めさせる 兵士の歌を
    平和の兵士 愛の兵士
    ギターの心で 旗を揚げる

    私の銃は 花と歌
    華やぐ心の春に咲く
    死ぬのは嫌だ 命が大事だ
    私の命 友達の命

    旧い 断固とした 冷静な兵士
    他を重んじることを教え 自らも他を重んじる
    他を重んじることを教え 自らも他を重んじる

    人は皆 兄弟なのだから 兵士は皆 
    至上の自由と平和のための兵士であるべきだ
    至上の自由と平和のための兵士であるべきだ

    私に死ぬべき時が来たら 戦って死にたい
    手にはペンとギターを持って 待ちながら
    手にはペンとギターを持って 待ちながら
    邦訳:大澤 寛

    匿名
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    「Milonga en negro」(黒のミロンガ)
    Letra y música : Edmundo Rivero (1911-86)
    (Edmundo Rivero が俗謡を採詩・採譜・アレンジしたものとされている。 歌詞はHermanatango Letra-D掲載のもの。 仮に「黒いミロンガ」と訳したが「黒い衣装のミロンガ」「黒い人々のミロンガ」とすべきかもしれない)

    あそこの黒い家の中 黒い夜 夜更けの空の下
    黒い刻限に 黒い舞台が拡げられる
    家の主人は黒く そこに住むひとびとも
    だけどとても品のある 教養も欠けることのない
    黒いひとたち

    奥さんのトマサ夫人には 黒い娘がひとり居て
    ひとりの黒い若者が 結婚したいと申し出る
    そんな次第(わけ)で黒い花婿は 黒い思いにとらわれて
    結婚式の催しも 不思議な黒いものにしたいと

    黒い宗教(おしえ)に従って みんなは黒い教会へ
    そこでは黒い衣(ころも)着た 黒い司祭が待っていた
    教会の香り部屋では当番が 黒い背椅子に腰掛けて
    黒い男がもうひとり 黒い祈りを捧げつつ
    キリスト像に口づけを

    新婚夫婦も義父義母も黒い
    そして仮親たちもまた
    みんなの衣装もまた黒く
    つどう会衆もまた黒く
    その黒い集いには 黒いワインの香が匂う

    そしてみんなが座るところは
    テーブルクロスもテーブルも黒
    ゆったりとした黒い乾杯が済むと
    黒い部屋で踊る黒いタンゴ

    黒い披露の宴(うたげ)が済むと
    新郎新婦はその場を離れ
    黒いシーツの敷いてある

    黒い部屋へと上って行った               
    そこで真夜中になったとき
    黒い儀式が行われ
    黒い花嫁はベッドで眠り
    花婿は床で眠りについた              

    邦訳:大澤 寛

    匿名
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    「Milonga sentimental」(センティメンタルなミロンガ)
    Letra :Homero Manzi (1907-51) Música : Sebastián Piana (1903-94)
    お前を思い出すための
    切なく哀しいミロンガよ
    泣きながら嘆くひともある
    俺は歌うぞ 泣かないために
    理由(わけ)など何も告げないで
    あっという間に冷めた愛
    俺は自分を慰める
    女は裏切るものだなと 

    男だぞ お前を激しく愛するための
    男だぞ お前の幸福を願うための
    男だぞ 受けた仕打ちを忘れるための
    俺はもう お前を許したのだから
    お前が知ることは無いだろう
    お前は信じられないだろう
    俺がお前にひれ伏したら
    お前は笑い出すだろう

    それは容易(たやす)いことなのだ
    裏切りの恨みを晴らすのに
    相手に傷を付けるのは
    愛の行方を決めるのに
    ナイフで決着(しまつ)をつけるのは
    だけど容易いことじゃない
    愛の縺(もつ)れを断ち切ることは
    縺れが心の止まり木に
    固く結ばれている時は

    お前を居なくさせたミロンガ
    お前を思い出すミロンガ
    お前の家のバルコニーで
    誰にも歌わせたくないミロンガ
    お前が夜にやって来て 朝には帰って欲しいのだと
    時々はいいよと告げるため そして駄目だと叫ぶための                   邦訳:大澤 寛

    De golpe = de repente

    この曲および近代的なミロンガの誕生については石川浩司編 「タンゴ名曲事典」 に詳しい記述がある。

    匿名
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    「Milonga triste」 (悲しみのミロンガ)
    Letra : homero Manzi (1907-51) Música : Sebastián Piana (1903-94)

    いつも小道を辿(や)って来た
    髪をほどいたエプロン姿
    黒い瞳が輝いていた
    満月の灯りに照らされて
    俺はお前を傷つけた
    うぶなお前に唇付けをして
    罰でお前に打(ぶ)たれたが
    より痛むのはお前が居ないこと

    戻ったわ 白い道を通って
    戻ったわ 辿り着けないけど
    叫んだわ 長い叫びを
    歌ったわ 歌えないのに

    黒い瞳が閉じられて
    お前の顔は色を失くし
    鐘の音が聞こえても
    二人は黙り続けた
    月は海に沈み
    悲しみが俺の胸を打つ
    沢山のギターの絃で
    俺は後悔を紡いだ

    戻ったわ 古い道を通って
    戻ったわ 辿り着けないけど
    叫んだわ 居ないあなたの名前を
    祈ったわ 祈れないのに

    悲しみは 恥じらうお前を
    小道で愛したこと
    悲しみは それ以後(から)小道がお前を
    見ることがなかったこと
    墓地の静寂
    星たちの孤独
    こんなにも痛む想い出
    エプロン姿と三つ編みの

    戻ったわ もう無い道を通って
    戻ったわ 辿り着けないで
    叫んだわ あなたの優しい名前を
    泣いたわ 泣けないのに

    邦訳:大澤 寛

    匿名
    無効

    「Milonguera」(キャバレーの女)
    Letra y música : José María Aguilar (1891-1951)
    ピガルに出ている断髪の
    ミロンゲーラよ忘れたか
    お前の髪のその昔
    この上もない艶やかさ
    快楽と富を夢見て現実(うつつ)なき
    わが娘(こ)の髪を慈(いつく)しむ
    小(ち)さき母の手思わぬか
    或る夜お前は家を捨て
    大事にお前を育てた家を
    そしてお前は母を捨て
    一生お前を愛した母を
    恋と快楽追い求め
    女の苦界にのめりこむ

    幸せ多き家を出た
    断髪のミロンゲーラよ
    今もお前の過ち許す
    母の嘆きを忘れたか
    思い出さぬかあの男
    お前と家庭(しょたい)を築くべく
    働き続けたあの男
    慎み深く愚痴言わず
    そしてお前に裏切られ
    お前の記憶を祭壇に
    守り続けたあの男

    今は独りで捨てられて
    快楽の腕に嘆きつつ
    女の夢を捨てに行く
    噂に残る三つ編みの
    髪はこの世に残らぬが
    お前を嘆く人々の
    心に生きよその記憶
    邦訳:大澤 寛

    匿名
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    「Milonguita (Estercita)」(ミロンギータ)
    Letra : Samuel Linning (1888-1925)
    Música : Enrique Delfino (1895-1967)

    覚えてるかい? ミロンギータ
    昔のお前はチクラナで 一番綺麗な女の子
    短いスカート お下げ髪
    その三つ編みに 陽の香り

    あの頃の夏の夕べは ねえお前
    何を夢見ていたんだい?
    街角に流れるタンゴ聴きながら
    低声(こごえ)で愛を告げたとき

    エステルシータ
    現在(いま)の名前はミロンギータ
    快楽の夜の花 キャバレーに咲く華美(ぜいたく)の花
    ミロンギータ
    男がお前を駄目にした
    そして現在(いま)では心さえ お前は渡してしまうだろう
    素敵な衣装と引き替えに

    夜明けにキャバレーを出るときに
    ミロンギータ
    お前の心は寒さに震え 本当の気持ちを語るだろう
    “ああ もし誰かを愛せたら”と
    最後のタンゴの一節と 酒の合間に現れる
    金持ち男が キャバレーから
    お前をねぐらへ連れて行く
    なんて淋しいエステルシータ
    お前が泣いたら人は言う
    *“そりゃシャンパンのせいだよ”と
    邦訳:大澤 寛
    *この部分の解釈には2つの説がある。
    (A)シャンパンに(一般にアルコールに)酔って泣いている
    (B)シャンパンが(一般にアルコールが)欲しくて泣いて見せている

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