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大澤寛のタンゴ訳詞集

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    「Fueron tres años」(三年過ぎて)
    Letra y música : Juan Pablo Marín (1928-87)

    話しかけてはくれないな 俺の宝もののお前
    話しかけてはくれないな ずっと俺を見ようともしない
    三年が過ぎたのだ 俺の命のお前
    お前の心から遠く離れて三年
    口を開いてくれよ 黙っていないで
    俺が死にそうなのが判らないか
    俺をこの苦しみから解いてくれよ
    お前が黙っているのは 俺に別れを告げているのだ

    人生なんて何だ
    泣くことなんかあるか
    運命なんて何だ
    俺には悩むことと苦しむこと
    だけどほんの少しだけ お前に唇付けさせてくれ
    そしたらすぐに俺は出て行くから
    俺をこの苦しみから解いてくれよ
    お前が黙っているのは 俺に別れを告げているのだ

    今も俺の唇には 別れの唇付けの熱さが残っている
    お前の黒い瞳が 俺に泣いてくれていたのが
    お前の嘘だったとはなあ
    口を開いてくれよ 黙っていないで
    俺が死にそうなのが判らないか
    俺をこの苦しみから解いてくれよ
    お前が黙っているのは 俺に別れを告げているのだ

    邦訳:大澤 寛

    「昔の女」 というジャンルもまたタンゴには数多い。そしてこのジャンルには男の泣き節という世界と, 落ちぶれた女を見て溜息をついているという光景とがある。後者には「Fangal」や「Vieja Recova」 など。

    匿名
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    「Fuimos」(昔の二人)
    Letra : Homero Manzi (1907-51) Música : José Dames (1907-94)

    (タイトルの邦訳を“昔の二人”としたことについて。スペイン語の動詞の活用時制のひとつである点過去には “昔は・以前にはそうだった・そう言うことをした” けれど “今は・現在はそうではない” という状態を表す作用がある。このタイトルも “昔恋人同士だった二人” だが “今はもうそうではない” という気持ちをあらわすものだろう)

    お前の人生の 残された時間の中で
    俺は 吸いがら*と疲れを運ぶ雨みたいなものだった     *cenizaは複数形で“死体”“遺体”の意もある
    こぼれた酢の雨だった 
    お前の全ての傷に とどめを刺すように撒き散らされた酢の雨
    俺のせいで お前は雪の中の燕だったし
    雨を降らさない雲のせいで お前は汚れた薔薇だった
    お前と俺は 決して実現しない希望(ねがい) いつも何か足りない
    穏やかな午後を夢みることの出来ない希望(ねがい)だった
    お前と俺は 許しを請わない旅人だった 祈りを捧げることもしない
    泣くこともしないで ふと死んでしまった旅人だった

    出て行けよ!
    判らんのか? お前は自殺するようなものだ
    判らんのか? 俺がお前に訴えていることが
    出て行けよ! 
    お前のことで嘆いている俺に キスなんか要らない
    もうお前のことで嘆きたくはないんだ!
    判らんのか? 
    俺の悩みなんかは 
    俺の最後の愛から逃げたお前の愛と一緒に
    捨てられてしまえばいい
    出て行けよ!
    判らんのか? 俺はお前を救おうとしている
    判らんのか? 俺はお前を今 愛している
    俺について来るな! 俺の名を呼ぶなよ! キスなんかするな!
    俺のことで嘆くな! もう俺を愛することなどない!

    お前と俺は 行き止まりの道を
    夜に歩く予感に怯えた
    愛と人生の荒波に揉まれた
    難破船に残された 青白い死体
    お前と俺は 荒れ狂う風に押しつぶされた
    古い過去から戻って来る影の その二つの影みたいなものだった

    お前と俺は 決して実現しない希望(ねがい) いつも何か足りない
    穏やかな午後を夢みることの出来ない希望(ねがい)だった
    お前と俺は 許しを請わない旅人だった 祈りを捧げることもしない
    泣くこともしないで ふと死んでしまった旅人だった

    邦訳:大澤 寛

    匿名
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    「Fujiyama」
    Letra : Cátulo Castillo (1906-75) Música : Aníbal Troilo (1914-75)

    (Ⅰ)
    八月を照らす月が 菊を色付かせた
    灯心草や*zen-zenに覆われたお前の風景を横切って歩いた    *zen-zen不明  チェック中
    私はお前に 私のタンゴを リアチュエロの声で歌った
    するとお前は私に あの畳の部屋でお茶を点ててくれた、、、!
    その時 折り畳まれたような茶室の屋根は
    私に 老いることのない時の秘密を教えた
    Fujiyamaを見ながら 甘(アー)桃(モンド)も 夢も 唇付けも 
    蕾を膨らませた、、、もうそんなことは無くなった、、、!

    (Ⅱ)
    Fujiyamaよ
    あの優しい眺望(ながめ)から 
    激しく私を呼んでくれる、、、!
    Fujiyamaよ
    静かな雪に包まれた
    あらゆる物事の そして私に起きたドラマの
    中心であるかのような、、、!
    Fujiyamaよ
    私に忠実な 愛の見張り人
    私は何時の日か戻って来よう
    一羽の雀を供に連れて
    紙の船に乗って、、、!

    燕は知っているだろうか
    桜の蕾が膨らんだことを、、、?
    あの月は 何を照らそうとしているのかを、、、?
    Fujiyamaで 三味線を弾きながら 想い出がひとつ枝を伸ばして
    私を呼んで 呼んで 呼び続けているのを、、、!

    邦訳:大澤 寛

    匿名
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    「Fumando espero」(待つ間の煙草)
    Letra y música : Félix Garzo (n/d)+ Juan Viladomat Masanas (n/d)

    煙草を吸うのは 嬉しいことよ
    気持ちが良くて セックスの感じ
    煙草を吸いながら 
    好きな男を待つの
    明るい窓の
    ガラス越しに
    そして煙草を吸ってる間は
    人生を無駄にしてないわ
    煙草の煙をくゆらせながら
    いつも私はまどろむから
    ソファーに寝そべって
    煙草を吸うし 愛し合う
    好きな男が 幸せそうに
    私に惚れているのが判る
    その男の唇を
    ほどよく慣れた唇付けを感じる
    戯れの恋を
    もっと強く感じるわ
    その男の眼が
    愛に渇いているのを見ると

    だから私は好い気分なの
    私がエデン*を吸うことは                           *Edén は煙草の銘柄のひとつ
    あなたの唇(くち)から煙を頂戴
    頂戴よ 気持ちが昂ぶるから
    早くしてよ 
    喜びに狂いたいの
    夢を見るような
    煙の温もりを感じて
    たった今 愛の燃える火を
    付けてくれた煙の

    煙と一緒に過ごす
    落ち着かない時間は悪くないわ
    煙は渦を巻いて天上の夢のよう
    そして煙は雲になる
    その雲は栄光に昇りつめて
    栄光に包まれた火花が星になるの
    澄んで輝く
    明るく美しく光る星に

    邦訳:大澤 寛

     (作詞・作曲は珍しくスペイン人。歌詞には全くルンファルドは使われていない。綺麗なメロディーでArgentino Ledesma がHéctor Varela 楽団で歌ったものが良く知られている。歌詞の内容はかなり際どいもの。商売女がソファーに寝そべって煙草を吸いながら馴染みの客が来るのを待っている間の性的な物思いを歌ったもの)

    匿名
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    「Garúa」(氷雨)
    Letra : Enrique Cadícamo (1900-99)                           
    Música : Aníbal Troilo (1914-75)

    なんて退屈な寒い夜だろう
    風は奇妙(おかし)な嘆きを運んで来る
    夜は 暗闇を集めた穴みたいだ  
    その暗闇に向かって ゆっくりと俺は歩いて行く
    そして氷雨が勢いを強めて俺の心に棘を刺す
    こんなに寒くて 俺に似た夜に
    俺はいつも 同じことばかり思い
    奈落の闇に沈むのだ
    あの娘(こ)の面影を消したい 捨てたい
    忘れたいと 思うけれど
    余計に思いだしてしまう

    氷雨よ
    悲しみに沈んで 苦しむ俺の心が
    お前の氷るような冷たさを感じながら
    独り 淋しく 歩道を通って行く
    あの娘(こ)は俺を忘れ
    今 俺の心に穴を開けたのだ

    彷徨いながら
    暗闇の中の子鬼のように
    俺の心はあの娘(こ)を探し 呼び続ける
    氷雨よ
    淋しさに 空までが 泣き出したぜ

    なんて退屈な寒い夜だろう
    角を曲がる人影も無い
    通りのアスファルトを
    消えそうな街灯の光が照らしている
    俺はカードの捨て札のように
    いつも独り 離れて 思いだしながら歩く
    ずぶ濡れの 冷えた 俺の心の水溜りに
    雨は滴り落ちる
    そして 俺のこの悩みを嘲りながら
    風は今も 俺を押しながら
    吹き過ぎて行く

    邦訳:大澤 寛

    Hastío: 1.(食物への)嫌悪感、 むかつき・吐き気  2.退屈=飽き飽きすること
    Púa : とげ、針   (弦楽器の)爪・ピック
    Abismarse : + en ~ に耽る、 (奈落・深淵に)落ちる
    Transido : (格式)+ de苦しむ、 ぐったりしている
    Tapera : 廃墟・廃屋・廃村、  (ル)落ち込んだ気分
    Gotera : 雨漏り(のしている場所)、水漏れ
    Mortecino : 活気の無い、 消えそうな、弱い、おぼろげな

    匿名
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    「Garúa」(氷雨)
    Letra : Enrique Cadícamo (1900-99)                           
    Música : Aníbal Troilo (1914-75)

    なんて退屈な寒い夜だろう
    風は奇妙(おかし)な嘆きを運んで来る
    夜は 暗闇を集めた穴みたいだ  
    その暗闇に向かって ゆっくりと俺は歩いて行く
    そして氷雨が勢いを強めて俺の心に棘を刺す
    こんなに寒くて 俺に似た夜に
    俺はいつも 同じことばかり思い
    奈落の闇に沈むのだ
    あの娘(こ)の面影を消したい 捨てたい
    忘れたいと 思うけれど
    余計に思いだしてしまう

    氷雨よ
    悲しみに沈んで 苦しむ俺の心が
    お前の氷るような冷たさを感じながら
    独り 淋しく 歩道を通って行く
    あの娘(こ)は俺を忘れ
    今 俺の心に穴を開けたのだ

    彷徨いながら
    暗闇の中の子鬼のように
    俺の心はあの娘(こ)を探し 呼び続ける
    氷雨よ
    淋しさに 空までが 泣き出したぜ

    なんて退屈な寒い夜だろう
    角を曲がる人影も無い
    通りのアスファルトを
    消えそうな街灯の光が照らしている
    俺はカードの捨て札のように
    いつも独り 離れて 思いだしながら歩く
    ずぶ濡れの 冷えた 俺の心の水溜りに
    雨は滴り落ちる
    そして 俺のこの悩みを嘲りながら
    風は今も 俺を押しながら
    吹き過ぎて行く

    邦訳:大澤 寛

    Hastío: 1.(食物への)嫌悪感、 むかつき・吐き気  2.退屈=飽き飽きすること
    Púa : とげ、針   (弦楽器の)爪・ピック
    Abismarse : + en ~ に耽る、 (奈落・深淵に)落ちる
    Transido : (格式)+ de苦しむ、 ぐったりしている
    Tapera : 廃墟・廃屋・廃村、  (ル)落ち込んだ気分
    Gotera : 雨漏り(のしている場所)、水漏れ
    Mortecino : 活気の無い、 消えそうな、弱い、おぼろげな

    匿名
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    「Gran Hotel Victoria」
    Letra : Carlos Pesce (1901-75)
    Música : Feliciano Latasa (1870-1906)

    俺の夢と喜びの あの古いホテル
    狂った愛の幸せな時を育んでくれた
    俺は 今思い出すぜ あの頃を
    お前が 俺の歌の変わらぬ証人だった頃をAA
    ホテルビクトリアよ お前には
    俺が淋しくて泣いた理由(わけ)が判ってた
    明日お前は 人々に忘れられて
    ただタンゴだけが お前を思い出すのが判るだろう

    ホテルビクトリアよ あれは20年(1920)のことだった
    お前の扉(ドア)から 俺の愛が旅立ったのは
    そしてその時から 俺は 
    俺の哀れな心を蝕んで行く悩みを抱いているんだ
    お前が あの不実な女が俺の愛を打ち砕いたように
    ハンマーで殴られて取り壊された今
    思い出はとても苦いものさ
    時代が連れ去った夢だぜ

    邦訳:大澤 寛

    匿名
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    「Gricel」(グリセル)
    Letra : José María Contursi (1911-72)
    Música : Mariano Mores (191802016)
    お前の心をとらえようなどと
    決して考えてはいけなかった
    だけど俺はお前を探して
    或る日とうとう見つけたのだ
    お前を気遣うこともせずに
    唇付けでお前を酔わせたのだ
    お前の夢はガラスのようだった
    俺が別れた時に壊れた
    俺は二度と 二度と戻らなかったから
    どんなに悲しんだことだろう!

    私のことを忘れないで
    あなたのグリセルをと
    お前は言った 
    あのキリスト像*に唇付けしながら
    そして今 俺は狂って生きている
    お前を忘れてはいないのだ
    お前は俺を覚えていなくても
    グリセル! グリセル!
    *願いごとをする時や、嫌なことが起きないようにしたい時などに触れたり唇付けをする “お守り” のようなもの。キリストの像などが一般的。
    あれから お前の声が欲しかった
    お前の熱い眼差しも
    そして狂ったようにお前を探したが
    もう決して見つけることはないだろう
    他の女の唇付けに酔って
    俺の人生はまやかしなのだ
    俺は グリセル これからどうなるだろう?
    神の掟には従ったぜ
    もう罪は償ったのだ 俺は
    お前にあれほど悪いことをした俺は 

    邦訳:大澤 寛

    匿名
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    「Hacelo por la vieja」  (そうしろよ、お袋のために)
    Letra : Carlos Viván(1903-71) + Héctor Bonatti (1902-61)            
    Música : Rodolfo Sciammarella (1902-73)
    俺をよく見ろ 弟よ
    俺の病気は重いのだ
    俺にはちゃんと判ってる
    もうすぐ迎えが来ることが
    だから頼むよ 弟よ 
    文句言わずに聴いてくれ
    年季の入ったコソ泥で
    いつも酔ってて女が好きな
    そんなお前に頼むのだ
    俺にはこの世で誰もいない
    お前とお袋だけなのだ
    俺のせいで 哀れなお袋が
    どんなに泣いたか知ってるな
    だけどお前は間に合うぞ
    出来たら足を洗うのだ
    そしたら後悔せずに済む
    俺が後悔したように

    そうしろよ お袋のために
    仲間から足を抜け
    今みたいな暮らしを続けたら
    どうなるか判るだろう
    人生を浮かれ騒いで暮したら
    危ないことが判らんか
    そうしろよ お袋のために
    俺のためにでなくていい

    弟よ 俺は死からは逃げはしない
    気休めなんか要らないぜ
    だけど 何のために俺は嘆くのか
    どんなにお袋が 哀れなお袋が
    マリア様の祭壇に灯を上げても
    起きてしまったことなのに
    俺は自分が死ぬことも
    手の打ちようが無いことも
    俺にはちゃんと判っている
    昨夜 哀れなお袋が
    誰もいないのを見定めて
    俺が眠っていると思い込み
    泣きながら俺に唇付けようとした
    俺は寝ている振りは出来ずに
    お袋に唇付けして 抱きしめて
    言った “母さん” 
    “俺はもうすぐ死ぬんだ” と

    邦訳 : 大澤 寛

    この歌にはPugliese + Morán の絶品がある。 
    我が国の流行歌で内藤康子の “弟よ” をつい思い浮かべる。

    Campanear : (en general) mirar,
    estudiar detenidamente a una persona en sus actitudes y procederes mirar atentamente lo que sucede, sin intervenir
    vigilar el campana
    Palmera : pobleza, enfermedad, abatimiento(落胆・衰弱・憔悴)
    Chorro : (en general) ladrón,
    Escabiador : ebrio consuetudinario(慣習の・慣例上の), borracho, curda
    Mujeriego : 女好きな男性・漁色家
    Abrirse : abandoner algo momentanea o definitivamente
    Abrirse de de la barra de amigos, de la bebida, de la farra, del vicio etc.
    Farra : お祭り騒ぎ
    Engurpir : engañar, mentir
    Afligir : 苦しめる・悩ます、 深く悲しませる
    Cana : (en general) policía, agente de policía, vigilante, cárcel, proisión, comisaría

    匿名
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    「Harina y pan」(小麦粉とパン)
    Letra : María del Mar Estrella (n/d)
    Música : Carmen Guzmán (1925-2012)

    唄うことが許されないなら
    何のために私は生きるのだろう
    私が紡ぐ唄の数々が半分に千切られるなら
    生きていることは 時として痛みになるもの
    人の歩みは鈍くなり 夢までも死んで行くもの
    夢が飛べなくなるときには
    そんな時私は低く唄う 唄う喜びのために
    そして苦しみが重なるたびに 私の孤独が深まってゆく

    私は水が無くても生きられる パンが無くても生きられる
    だけど夢が無くては生きられない まして自由が無ければ
    誰が私に夢を呉れる? 夢だけを
    貧しいものの夢 小麦粉とパン
    誰が私に呉れる? 永遠のひとかけらを買う夢を

    坂道はいつも苦しい 向かい風が強いときは
    だけど夢が背中を押してくれる 坂を上りきるために
    命は命のために苦しむ 死は二度と無いのだから
    そして私は 命と死の狭間に私の自由を探すのだ
    唄うためでないのなら 何のために私は生きるのだろう
    唄が民衆のものでないなら 唄うことなど何になる

    私は水が無くても生きられる パンが無くても生きられる
    だけど夢が無くては生きられない まして自由が無ければ
    誰が持っている? 永遠のひとかけらを買う夢を
    誰が夢を欲しがる? 夢だけを
    貧しいものの夢 小麦粉とパン

    誰が夢を欲しがる? 夢だけを
    貧しいものの夢 小麦粉とパン

    邦訳:大澤 寛

    匿名
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    「Hasta siempre, amor」(1953)(再た会おうぜ、なあ)
    Letra : Federico Silva (1920-86) Música : Donato Racciatti(1921-2000)
         (hasta siempre : 別れの挨拶だが再会の期待を込めているもの “再た会おうよ” “再た会えるね” という気持ちを表す。この曲のタイトルには 「永久(とわ)に別れを」 という先人の名訳がある)
    再た会おうぜ なあ
    他の男のところへ行っても
    別れて苦しむことになる
    今と同じように 同じように
    再た会おうぜ なあ
    お前に嫌われる苦しさを分け合った
    俺のような心には
    出会うことは無いだろう
    そしてお前は探し求めるだろう
    俺がお前に与えたような 愛の手を
    そうすることでしか 思い知ることはないだろう
    お前を愛することで 俺がお前を失ったことを

    再た会おうぜ なあ
    他の男のところへ行っても
    別れて苦しむことになる
    今と同じように 同じように
    再た会おうぜ なあ
    今 俺の思い出は血を流す
    新しく心に刺さった棘のように
    再た会おうぜ なあ
    寒い夜に 俺の夢を見ても
    俺はもういない

    俺も別の恋をしてるのを見ても
    声をかけるなよ
    待つことは無駄なんだから
    希望が無くなってから
    再た会おうぜ なあ
    他の男のところへ行っても
    別れて苦しむことになる
    今と同じように 同じように                            邦訳:大澤 寛

    匿名
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    「Igual que una sombra」(影のような)
    Letra : Enrique Cadícamo (1900-99)        
    Música : Osvaldo Pugliese (1905-95)

    一年が過ぎた今日 あの娘(こ)を見かけた
    今日 私の心の傷とすれ違いながら
    ミモザのような美しい 私の人形が歩いていた
    他の男と一緒に 私の夢が歩いていた
    私の人生のあの夢が
    だけどあの娘(こ)の心は変わらない
    いつも 私の愛の中にいるから
    そして私の 星のない夜には
    あの娘は私の 大きな悩み

    あの娘は 
    思わずあの娘を呼ぶと
    私の額を曇らせに来る影
    私の過去(むかし)
    私の現在(いま)
    私は 私の心からその影を消せない
    あの娘は 私が作る詩の中に
    あの娘は 私の苦しみの中に
    あの娘は 詩人である私の痛みの中に
    タンゴの暗い根のように
    私の心に生きている

    そして再た 冬が来る
    愛の無い私の暮らしには
    待ちわびるあの娘の声は無く
    あの娘の無垢な優しい言葉も聞けない
    なんと虚しい私の暮らし!
    だけど 同じことさ
    いつも 私の愛の中にいるから
    私の作る悲しい詩は あの娘のもの
    苦しみのタンゴなのだ
    邦訳:大澤 寛

    Cuarteta : 各行が8音節の4行詩 
    =redondilla=4行詩 1行目と4行目、2行目と3行目がそれぞれ韻を踏む
    Ternura : 2.甘い言葉
    Nublar : 暗くする、覆い隠す、曇らせる  暗い影を投げる

    Letra-D 所収の歌詞とtodotango のCaló + Iriarte の歌詞は微妙に違うところがある
    Osvaldo Pugliese + Adrián Guido 1991年録音 EMI 好演

    「La vi llegar」 と曲想が似ている?
      Caló + Iriarte, Pugliese + Maciel が取り上げていることも

    匿名
    無効

    「Ilusión marina」(海の夢)
    Letra y música : Gerónimo Sureda (1906-64) + Antonio Sureda (1904-51)
    灯台守の老人の娘は あの淋しさが生んだ王女様(プリンセス)
    漁師たちは娘に 愛をこめて告げたものだ 
    この海の 一番綺麗な 一番白い真珠だと
    水夫たちが歌ったのは この娘のためだった
    愛に飢えて 静かな海を渡る水夫たちが
    優しさをこめた唄で いつも娘に告げたものだ
    灯台よりも 太陽よりも その娘の瞳は輝いていると

    そして あの水夫たちの甘い言葉を聞き
    娘は 喜んで微笑んだものだ
    みんなが希望を持てるように
    気立てのいい娘で みんなを愛していたから
    水夫たちの歌にある夢は その娘の心に
    喜びをあふれさせたものだ
    そして そんな場所(ところ)で一人になると その娘もまた
    女の子たちが皆そうするように 夢を紡いだ

    或る日 舵をなくして宛てもなく
    航海を続けていた船のキャプテンが
    灯台で 輝くように美しい娘を見たという
    そして 心の船の行く先を その娘の瞳に決めたのだ
    すると その美しい海の王女様(プリンセス)は
    情熱(こころ)をこめて 愛の仕草をそのキャプテンに与えたのだ
    そして今 あの荒くれの漁師たちは嘆いて
    海の一番綺麗な真珠を 愛が奪い去ったと言う

    船首(へさき)で声を合わせて 荒くれた唄を歌う 
    海の狼*たちは もう来ない     *“Lobo marino” は“アシカ”のことだが、ここでは海の狼として置く
    灯台は 深い悲しみに沈み
    狼たちの心の嘆きは深まる
    そして 暗い悲しい夜には
    灯台の灯りが そうした船を見つけると
    あの娘のつぶらな瞳を思い出し
    時には涙ぐむものたちもいる                         邦訳:大澤 寛

    匿名
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    「Jacinto Chiclana」(ハシント・チクラーナ 人名)
    Letra : Jorge Luis Borges (1899-1986)    Música : Ástor Piazzolla (1924-92)

    わたしは覚えています それはBalvanera でのことでした
    遠い昔の或る夜 誰かが Jacinto Chiclana とかいう名前を口にしたことを
    そして何やら 或る街角と ナイフを使った争いのことも話されていたことを
    長い時が過ぎて その争いのことも ナイフが光ったことも
    忘れ去られています
    dejar caer : 口を滑らす・ふと漏らす
    un tal : ~とか、そんな風な
    何故この名前が わたしに取り憑いているのか 判りません
    どんな男だったのか 知りたいものです
    背が高く しゃきっとして そして真っ直ぐな心を持った男だと思います
    声を荒らげることもなしに 生命を賭けることが出来るような

    (以下の斜体部分はrecitado = 語り)
    あの男のようにしっかりと 大地に足を下ろした人は 誰もいないでしょう
    愛についても 戦いについても あの男ほどの人は 誰もいないでしょう
    果物畑と 家の中庭と 
    そしてあの時の 名も無い街角でのあの男の思いがけない最期を
    見下ろして Balvanera の塔が立っています
    cualquier/ra : どこにでもあるような・名も無い
    神様だけに判ることでしょう あの男の誠実さは
    皆さん わたしは唄います あの男の名前に秘められたことを
    いつも勇気を持つことです 希望を持つことは決して無駄ではありません
    それではどうぞ
    Jacinto Chiclana に捧げるこのミロンガを
    laya:(文語) 性質、種類
    cifrarse : 暗号化する・内に秘める

    ハシント・チクラーナという人物像はガウチョを描いたものだろうか。文豪ボルヘス(Jorge Luis Borges 1899-1986)にはタンゴに関係する詩も多い。「Alguien dijo al tango」(誰かがタンゴに告げた)「A don Nicanor Paredes」(ニカノール・パレーデスに捧ぐ)「El títere」(操り人形)そして大作「El tango」など。
    それらの詩の多くにピアソラ(Ástor Piazzolla 1924-1992)が曲を付けている。
    邦訳:大澤 寛

    匿名
    無効

    「Junto a tu corazón」 (お前の心の傍で)
    Letra : José María Contursi (1911-721916-78)
    Música : Enrique Francini () + Héctor Stamponi (1916-97)

    俺には嫌な夜だな
    部屋の何もかもが冷えている
    みんなお前のせいだよ なあ
    荒れているのも 不機嫌なのも
    俺の人生の全てを お前にやった
    この愛も一緒に
    俺は傷ついた鳩みたいなものさ お前の心に寄り添う
    塒と暖かさを探した

    今日も昨日と同じように
    哀れな俺の目には光りはない
    俺の眠れぬ夜には お前が居るだけだ
    俺の痛みを嘲笑うかのように
    今日も昨日と同じように
    再たおれは独りきりになる
    お前の仕打ちは酷かったんだ
    俺の愛を忘れて去(い)ってしまった

    今日も昨日と同じように
    再た俺は幻影(かげ)に包まれる
    そんな幻影のひとつになる
    お前をもっと想い出そうと
    今日も昨日と同じように
    今日も昨日と同じように お前を愛している!
    俺は何処までも 身体を引き摺って行こう
    お前は 俺の中に生き続ける

    もし何時か お前の心が
    過去の想い出に酔うことがあっても
    考えるなよ なあ お前の仕打ちに
    俺が恨んでいるなんて
    俺は 俺の傍で血を流すこの愛と
    一緒に暮らし続けて
    俺の涙で死装束*を作ろう                         mortaja = (埋葬のための)白衣
    あの死んだ過去のために

    邦訳:大澤 寛

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