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匿名
無効

「La número cinco」 (背番号5番のシャツ)
Letra : Reinaldo Yiso (1915-78)
Música : Orestes Cúfaro (1906-72)

ある土曜日の昼下がり 
クラブのサロンでチームの主将に 封筒が一通渡された
封を切り 読んだ主将は胸を打たれる
少し変わったその手紙 青い用紙のその手紙

“あなた方は明日 リーグの大きい試合ですよね
その試合を競技場で観られたら 僕の好きな色を
好きなチームのあの色を そこで叫べたら 死んでもいいなあ
だけど それは出来ないんです 僕はここに居るんだから
もう2年ほど前から 僕はこのムニス病院に居るんです
試合はラジオで聴いてます だから僕の好きなチームが勝ってることも
全部知ってます 
もしも もしも出来るなら あなた方が明日の試合で使う
あの背番号5番のシャツを 僕に呉れないかなあ
それは僕には 何よりもいい治療法(くすり)になります 
そしてね 死んだお袋だって あの青い空から感謝すると思います
ロベルトって訊いて下さい 僕のベッドは14番です 
月曜日に待っています 来て貰えるかどうか判らないけど”

手紙はそこで終わってた 
思わず頬に流れる涙 いかつい身体の主将の頬に

次の日 日曜の競技場で聞こえる声は 
いいぞそれ行け!「フィオラヴァンティ」!

そして翌日月曜日 その病院の二号棟
当番医はとても驚いた 
そこで見たのは男たち 11人の男たち 
そして5番のシャツを抱き 泣いて喜ぶ男の子

邦訳:大澤 寛