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匿名
無効

「La gayola」(刑務所)
Letra : Armando Tagini (1906-62)
Música : Rafael Tuegols (1889-1960)
驚いて逃げたりすんなよ 復讐しに来たんじゃないから
そう 丁度明日 俺は去っちまってもう戻らないんだ
別れの挨拶に来たんだ お前を真っ直ぐに見て
お前の瞳の奥を 静かにゆっくりと見つめて満足したいんだ
昔 そうしたようにな

一緒に昔を思い出そうと やって来たんだ
長いこと会ってない親友の二人みたいに
そして思い出したい 俺がまともな男だったあの頃を
世間の冷たさに耐えていた俺の 汚れてない善良な心に
着せかけてくれたポンチョみたいな お袋の優しさを 

或る晩 悩む俺の心に 訪ねてきたのは死だった
俺のあの優しいお袋が 天に召されたと
それからは夢を見ると お袋が天国から
お前のことを良い娘(こ)だ 何時もお前を信じろと言っているようだった

だけどお前は俺に酷いことをしたなあ  俺は復讐したくなって
そのときは心に ナイフを忍ばせたものだ
後になって正気に戻ると 俺のたった一つの希望を失くして
どうしようもない涙を 安酒場でぬぐったものさ  

俺は何年もの間 汚ない刑務所(むしょ)にぶち込まれていたんだ
或る日の午後 出してくれた それが俺には良かったのか 悪かったのか
当てもなくうろついた ボールみたいに転がり歩いた
パンの欠片の施しを受けに 何度も列に並んだものさ!
朝になって 何処かの家の前でのびて寝ていたこともあった

今はもう 俺には何も無い 逃げ込む場所もない それほど貧乏なんだ!
お前に会いに来たのは お前を許すためだけさ
誓って言うが お前があり余るほど幸せでいることで俺は満足なんだ
遠い所へ働きに行くさ 小銭を稼ぐために
棺桶に飾る花が無いと困るからさ                                邦訳:大澤 寛
desdén : (見下した)無関心、 蔑視
sediento :1.喉が渇いた   2. + de ~ ~を渇望した・に飢えた・に取りつかれた
envainar : 剣をさやに収める、  ~se = 悶着を起こす
sórdido : 汚れた、貧しい、さもしい
mendrugo : 固くなったパンの欠片