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「La cumparsita Ⅱ」
Letra y música : Geraldo Hernán Matos Rodríguez ()1897-1948
(1925年に作曲者Matos Rodríguez 自身による歌詞が付けられたもの。
Alfredo De Ángelis 楽団Néstor Rodi によるrecitadoが有名)

終わりの無い惨めさが
行列を作って
あの病んだ男の周りを
踊り狂っている
その男はもうすぐに
苦しんで死ぬんだ
だからその男は心の中で
苦しみ抜いてすすり泣いている
自分を傷つけた過去を
想い出しながら

あいつはお袋さんを捨てたんだ
お袋は身寄りもなく残された
あいつは熱に浮かされ
恋に目がくらんで
女の後を追った
その女は綺麗だった 魔物だったんだ
淫らな罪の花だった
飽きが来るまで
あいつの愛を弄(もてあそ)んだあげくに
あいつを捨てて
別の男の許へ去(い)った

長い年月(とき)が過ぎて
その男は母親の許へ帰りついた
病気と傷ついた心を癒すことが出来るかと
そして判ったのは
自分が捨てた 
あの優しいお袋さんが
去年の冬に
凍えて死んだことだ
その男は 今は独り見捨てられて
運命の淋しさに
苛々して 死を待っている
まもなくやって来る死を
他人(ひと)の冷淡(つめた)さが 悲しく
ゆっくりと心を浸して来る中で
自分が悪かったことへの
残酷な自責の念を
感じていた

影の中で
死を前にしたその男の
苦しい喘ぎが聞こえる
その男は微笑んでいる
甘い安らぎが訪れるから
あの優しいお袋さんが 天国から
苦しみを和らげてくれるように
その男の罪を許してくれたのを
感じたから

邦訳:大澤 寛