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匿名
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「Chiquilín de Bachín」 (recitado)

 このrecitado は、作曲者Ástor Piazzolla の夫人(当時)であったAmelita Baltar が歌うversion に付けられたもの。「Chiquilín de Bachín」 という作品がどのようにして生まれたか、その背景を窺い知ることが出来る。

El cuento que ahora voy a cantarte
pertenece a esa Buenos Aires un poco a contramano
que se hace a la medianoche y se manda a mudar con la primera luz del día
Puede ocurrir, ocurre, por igual en una fonda del bajo o en lugar de avenida Quintana
Pero el músico y el poeta sintieron ¡la cosa! de esta canción en una vieja parrilla vecina
del mercado del centro
Porque allí, comiendo un bife, les nació una vez
al descubrir en una punta del mantel de papel
la carita silenciosa y desconcertante del que iba a ser el protagonista
Era así uno de esos chicos de la noche que andan de la mesa en mesa
ofreciendo flores con el fajo del billetes en un bolsillo y un no sé qué de pena
antes de tiempo en los ojos y en el remiendo del fundillo
Tratando de seguir el rastro fugitivo de este diminuto personaje trágico
hicieron este valsecito con sabor a fábula porteña

“私がこれからお話しするのは、真夜中になると生まれて、朝日が射してくると消えてしまう、ほんの少し昔のブエノスアイレスでのことなのです。 それは今も、下町の居酒屋でも、Quintana 通りの何処かでも起きるでしょうし、現に起きていることです。 ですけど、音楽家と詩人は、中央市場の近くの古い焼肉屋で、この歌の心を掴んだのです。

そうです、焼き肉を食べながらこの歌が生まれたのは、安もののテーブルクロスの端っこの方に、これからこの歌の主人公になる男の子の、あの顔、黙りこくって困ったようなあの顔を見つけた時なのです。

その子は、夜毎テーブルを廻って花を売り歩く少年のひとりなのでした。ポケットにはその日の売り上げのお札の束、そしてその目にも、つぎの当たったズボンにも、何と言ったらいいのでしょう、大人になる前に知ってしまった悲しみのようなものを一杯にした男の子。

音楽家と詩人は、この悲しい小さな男の子の、すぐに消えてしまいそうな姿を追いかけようとして、この歌を、ブエノスアイレスのお伽噺のようなワルツを作りました”            (邦訳:大澤 寛)