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「Abran cancha」(どけ、場所を空けろ) (ミロンガ)
Letra y música : Hilario Alberto Mastra (1909-76)
abrir cancha (ラ米)場所を空ける、道をつける
場末の町のミロンガよ
お前は 嫉妬深くて陰気なタンゴの女だ  
カンジェンゲの夜に 
キャラコを纏ったお前の身体を見て
お前を部屋に連れ込んだタンゴ野郎を騙したな * engrupir : (lunf.) = engañar, mentir
あいつはリズムを整えて
お前をミロンガと呼ぶことにした
そしてお前が動きの激しいケブラダ* を *quebrada : タンゴの踊りの動作のひとつ
学んで身につけた時
踊れる酒場に連れて行った
*meta y ponga : (l.p.) = Modismo que indica una acción intensa y sostenida
                  俗語で激しい動作を持続させること
お前は川筋の町では とても人気物になり
外国人がひとり現れて お前の様子が気にいって
フォックストロットで話しかけ 随分金を費って
或る晩 闇にまぎれてお前を町から連れ去った

場末の町のミロンガよ
お前は哀れなタンゴをあっさり見捨てたな   
向かいの角で待っているお前の情夫(いろ)と     
浮気心でタンゴを持ち上げるふりをして    
*dar dique = alardear, buscando imprecionar o seducir a alguien
              誰かに自分を印象付ける・誘惑するために見せびらかす・自慢する
そして自分がタンゴと別れてしまって
苛立ち 悩み ぐいぐい呑んで 船に乗り 
まっすぐヨーロッパに行ってしまった
ポスターを一枚 地べたに散らして

お前は川筋の町では とても人気物になり
外国人がひとり現れて お前を不幸へ連れて行った
そして栄光に包まれてタンゴがリズムに乗って戻って来たのを見て
後悔に苛まれて 場末の町にお前も戻って来た
邦訳:大澤 寛
故芝野史郎さんから随分以前に教わったのだが「Abran cancha」という題名の同名異曲は多い。タンゴで作詩 José Panizza作曲 Rosendo Mendizábal のもの、ミロンガで作曲 Héctor Varela & Alberto Nery のものなど。