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匿名
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「Cafetín de Buenos Aires」(ブエノスアイレスの小さな酒場)
Letra : Enrique Santos Discépolo (1901-51)              
Música : Mariano Mores (1918-2016)

俺は餓鬼の頃 外からお前を眺めていたものだ
決して手の届かない物を見るように
冷たい窓ガラスに鼻を押し付けて
それから後もお前はただ生きようとした
俺と同じように
俺がもう少し年長(大きく)なると 驚く俺にお前は教えてくれた
タバコを 夢を信じることを 愛に希望があることを

今の俺の嘆きの中に
どうしてお前を忘れることが出来ようか
カフェティン デ ブエノス・アイレス
この世でお前だけが 俺のお袋に似ているのだ
賢さと命知らずが奇妙に入り混じったお前から
世渡りもサイコロも博打場も 俺は教わった
そしてもう自分を信じないと言う残酷な詩(うた)までも

お前は俺に 数少ない宝みたいな仲間をくれた
俺の生きている時間を元気づけてくれる連中を
幻想にとらわれるホセ
今でも信じて待つマルシアル
そして痩せのアベルは どこかへ行ってしまったが
今でも俺の道案内だ
決してものを訊ねたりしないお前のテーブルで
ある日の午後俺は 初めて夢を失くして泣いた
俺は苦しむために生まれた
年月を呑み暮した
そして戦わずに敗れた
邦訳:大澤 寛

前出の「Barra querida」や「Café la humedad」と似た雰囲気、即ち古い酒場とそこに集まった昔の仲間とそこで覚えた悪いことも思い出す“苦い青春回顧”というカテゴリー。