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匿名
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「Barrio de tango」 (タンゴの町)(1942)
Letra : Homero Manzi (1907-51)
Música : Aníbal Troilo (1907-75)
街区(まち)のひとかけら ポンページャ辺りの
鉄道が走る土手の傍らで 眠っている
踏切では 灯りがひとつ 揺れている
そして 汽車が産み出す別れの謎
月に吠える犬たちの声
玄関の扉に隠れた恋
そして 沼では 声を張り上げる蛙たち
遠くに聞こえるバンドネオン

タンゴの町 月と謎
遠い昔の通りは どうなっている!
今では覚えていない 古い仲間たち
どうしているんだ! 何処にいるんだ!
タンゴの町 あの頃の
ホアナ 金髪の 俺があんなに愛した
別れたあの午後から あいつを思って
俺が苦しんでるのを知ってるだろうか!
タンゴの町 月と謎
思い出の中から お前に再た会おう

口笛が重なる 向うの街角辺りで
倉庫には 肉*が詰まっている              *codillo は豚肉とくに膝から上の部分
もう決して汽車を見に出て来ない
蒼い顔した近所の女の嘆き
こんな風に思い出すぜ お前の夜を タンゴの町よ
空き地に入って来る荷車のある
月が水溜りで水しぶきを上げている*    *chapalear は(水の中で) パチャパチャ・ピシャピシャ音を立てる、 
そして 遠くに聞こえるバンドネオン                     (何かが緩んで)カタカタ音を立てる

邦訳:大澤 寛
1940年代の幾つかのタンゴの歌詞、例えばCátulo Castillo の 「Tinta roja」 と同様に、この歌詞も思い出を呼び醒ますために、権威づけられた伝統的な文学的命題である所謂Ubi sunt (¿Dónde están? 「彼らは何処へ行ったのか」「今何処にいるのか」)に訴えている。 (Eduardo Romano 「Las letras del tango」 p-319 から)